【NBA】ペイサーズがわずか6人でホークスに挑む異例の事態 約200億円規模の戦力が欠場、残された選手たちが見せた驚異の粘りも5連敗

2026.11.3

 

2026年11月2日(現地時間)、インディアナ・ペイサーズはホームのゲインブリッジ・フィールドハウスでアトランタ・ホークスと対戦した。

しかし、この日のペイサーズは通常の試合とはまったく異なる状況に置かれていた。故障者の続出に加え、連戦に伴う休養などが重なり、試合に出場できる選手はわずか6人。通常ならベンチに控える選手を含めて複数の交代要員を確保するNBAにおいて、極めて厳しいローテーションを強いられた。

それでもペイサーズは最後まで勝負を諦めず、ホークスを追い詰める展開を演じた。最終的には104-108で敗れ、連敗は5に伸びたものの、限られた戦力で見せた戦いぶりは強い印象を残した。

 


▪️極めて異例 出場可能な選手はわずか6人


今回の事態は、単に主力選手が数人欠場したというレベルではない。

ペイサーズは試合前の段階で11人が欠場。AP通信によると、リック・カーライルHCは試合開始のおよそ90分前には7人を起用できる見通しだったが、その後、ケリー・オーブレJr.が膝の打撲によって急きょ欠場となり、最終的に6人しか残らなかった。

カーライルHCは、この状況について複数の事情が同時に重なった「完璧なまでの不運」という趣旨の説明をしている。

欠場者には、チームの中心選手であるタイリース・ハリバートンやパスカル・シアカムも含まれていた。さらに、T.J.マコネル、アンドリュー・ネムハード、アーロン・ネスミス、オビ・トッピンら、普段のローテーションを支える選手たちもコートに立てなかった。

欠場理由は一様ではない。ハリバートンはハムストリング、マコネルも同じくハムストリングの問題を抱え、ネスミスはハムストリング、ネムハードは頸部、トッピンは腰部の負傷など、それぞれ異なる事情を抱えていた。

一方、シアカムは休養による欠場で、連戦の日程も選手起用に影響した。つまり、長期離脱を伴う負傷者だけでなく、コンディション管理や休養の判断も重なった結果だった。

 

▪️1948年の記録だけでは語れない歴史的な異例さ

今回の試合をめぐって注目されるのが、NBAの歴史における少人数での試合という問題だ。

報道によると、ペイサーズが1試合で起用できる選手を6人にまで減らしたのは2004年以来。さらに、シーズン序盤に6人で試合を戦うケースは極めて珍しく、2009年11月24日にゴールデンステート・ウォリアーズがダラス・マーベリックスと対戦した試合以来の異例の状況とされる。

2009年の試合では、選手たちが試合中に足のけいれんへの処置を受けながらプレーを続け、ウォリアーズが111-103で勝利したというエピソードも残っている。

なお、1948年のレイカーズが開幕3試合目に5人でプレーしたという記録と、今回の「シーズン序盤に6人で戦った」という記録は、比較する条件が異なる。したがって、単純に約80年ぶりと断定するのではなく、2009年以来のシーズン序盤の異例のケースとして紹介するのが正確だろう。

 


▪️2ウェイ契約の選手も先発 普段とは異なる6人の布陣


この日の先発メンバーは、ジェイ・ハフ、クエントン・ジャクソン、ジャレース・ウォーカー、ジェイレン・スローソン、ブレーデン・スミスの5人だった。

注目されたのは、ブレーデン・スミスとジェイレン・スローソンが2ウェイ契約の選手だったことだ。

2ウェイ契約とは、NBAチームと傘下のGリーグチームの双方でプレーできる契約形態。通常のNBA契約とは異なり、出場可能なNBA試合数などに一定の制限が設けられている。

つまり、ペイサーズは普段から主力として起用される選手だけでなく、Gリーグでも活動する選手たちに大きな役割を託さざるを得なかった。

スミスにとってはNBAキャリア初の先発出場。限られた選手しかいない状況で、若手選手にとっては自身の能力を示す大きな機会にもなった。

 


▪️15点差から追い上げ、試合終盤まで勝負を持ち込む


試合はホークスが序盤から主導権を握った。

第1クォーターを37-29、第2クォーターを31-27とし、前半を68-56で折り返したホークス。豊富な選手層を活かしながら得点を重ね、ペイサーズにとっては厳しい展開となった。

第3クォーターには最大15点差まで広げられたが、ペイサーズはここから粘りを見せる。

主力不在のなかでも攻撃の手を緩めず、第3クォーターを23-19で上回ると、第4クォーターにも追撃を続けた。

試合終盤にはクエントン・ジャクソンが相手のニッケイル・アレクサンダーウオーカーからスティールを奪い、そのままレイアップを成功。残り1分36秒に104-106と2点差まで迫った。

さらにジャクソンには逆転の可能性を広げる3ポイントシュートの機会も訪れたが、残り43.1秒のシュートは決まらなかった。

ホークスはその後、オニエカ・オコングが残り10.2秒にジャンプシュートを成功させ、108-104と勝利を決定づけた。

15点差をつけられながらも、試合終了直前まで相手にプレッシャーをかけ続けたペイサーズ。人数の少なさを感じさせない粘り強さを見せた。

 


▪️ハフ22得点、ジャクソン20得点 若手スミスも19得点10アシスト


ペイサーズを支えたのは、限られた出場機会をつかんだ選手たちだった。

チーム最多の22得点を記録したジェイ・ハフは、インサイドを中心に得点を重ね、攻撃の軸を担った。

クエントン・ジャクソンも20得点を挙げ、終盤にはスティールから得点を決めるなど、最後まで逆転への可能性を残した。

さらに、NBA初先発となったルーキーのブレーデン・スミスは19得点10アシストを記録。得点とアシストの両面で存在感を示し、ダブルダブルを達成した。

そのほか、ジャレース・ウォーカーが15得点、ジェイレン・スローソンが12得点、途中出場のコービー・ブラウンも16得点を記録したとAP通信は伝えている。

6人全員が得点を記録し、限られたメンバーで合計104得点を挙げたことも、この試合の特徴だった。

 


▪️ホークスはアレクサンダーウオーカーが34得点 前半だけで3ポイント15本


一方、勝利したホークスでは、ニッケイル・アレクサンダーウオーカーが大活躍した。

34得点を記録し、3ポイントシュートは9本成功。自身のキャリア最多タイとなる成功数で、ペイサーズの追撃を振り切る原動力となった。

さらにホークスは前半だけで3ポイントシュートを15本成功。球団の前半における成功数記録に並ぶ内容だった。

CJ・マッカラムも13得点12アシスト9リバウンドと、トリプルダブルにあと一歩と迫る総合的な活躍を披露。コーリー・キスパートとルゲンツ・ドートもそれぞれ14得点を挙げた。

ホークスは選手層の厚さを活かして試合を優位に進めたものの、終盤には6人で戦うペイサーズの反撃を受け、最後まで気の抜けない試合となった。

 


▪️欠場組の年俸は約305億円 出場した6人との差は歴然


今回の試合でもう一つ注目されたのが、欠場選手と出場選手の年俸総額の違いだ。

AP通信によると、欠場した11人の今季年俸は合計約1億9300万ドル(約305億円)。一方、実際にコートに立った6人の年俸総額は約1500万ドル(約24億円)だった。

つまり、ペイサーズは約305億円相当の選手たちを欠いた状態で、約24億円の年俸総額となる6人だけでホークスと対戦したことになる。

この数字は単純な選手の能力差を示すものではないが、今回の試合がいかに特殊な戦力状況で行われたかを理解する材料にはなる。

AP通信は、欠場した11人がチームの給与総額の約93%を占めていたと報じている。

ペイサーズは今回の敗戦で5連敗となり、開幕からの成績は2勝6敗。チームとしては厳しいスタートが続いている。

ただし、今回のホークス戦については、通常の戦力状況での敗戦とは分けて考える必要があるだろう。