「本物はここにいる」 陽勇選手が1R圧勝 元フルコン王者がONEで13戦無敗、ロッタン&スーパーレックに宣戦布告…動き出した“次世代の主役”
【©️ONE Championship 】
アジア最大級の格闘技団体 ONE Championship のリングで、
日本人ファイターの新たな時代を予感させる一戦が生まれた。
3月14日に行われた大会で、日本の新鋭・陽勇 選手が
タイの実力者 スーブラック を1ラウンドTKOで圧倒。
無敗記録を13に伸ばし、試合後には王者級のビッグネームへ堂々と宣戦布告した。
「ロッタン、スーパーレック。今年中に戦いましょう」
リング上で放たれたその言葉は、日本格闘技界に静かに広がり始めている“世代交代”の象徴とも言える。
▪️フルコン空手王者から世界舞台へ
陽勇は、フルコンタクト空手のトップ戦線で名を上げた異色の経歴を持つ。
第1回 全日本学生フルコンタクト空手道選手権(軽量級)優勝
第7回 JFKO全日本フルコンタクト空手道選手権(軽中量級)優勝
空手界で数々のタイトルを手にした後、キックボクシングへ転向。国内団体を経て2024年にONEへ参戦すると、瞬く間に存在感を示した。
特に2025年、無敗同士の対決となったジョーダン・エストゥピニャン戦をTKOで制した試合は、関係者の間でも「世界トップクラスに通用する」と評価を高めるきっかけとなった。
そして今回の勝利で戦績は 13戦13勝(5KO)。
無敗のまま世界の舞台を駆け上がっている。
強豪スーブラックを圧倒した「完成度」
対戦相手のスーブラックは、ONEでKOを量産してきた人気ファイターだ。
2023年の参戦以降、連続KO勝利とボーナス獲得で一躍スターに躍り出た攻撃型ファイターで、経験値では陽勇選手を大きく上回る。
しかし試合が始まると、主導権を握ったのは若き日本人だった。
サウスポー同士の展開の中、陽勇選手は序盤から左カーフキックで主導権を掌握。
鋭い左ストレートで相手の体勢を崩すと、後ろ蹴りで最初のダウンを奪う。
さらにラッシュをかけ、ボディへの連打で追加ダウン。
スーブラックも強打で反撃したが、最後は陽勇の得意技―左のテンカオ(ヒザ蹴り)が腹部に突き刺さり、レフェリーが試合を止めた。
結果は 1ラウンドTKO。
世界で戦い続けてきたタイの実力者を、まったく問題にしない内容だった。
▪️「試合を見返すのが嫌だった」
試合後のインタビューで、陽勇選手は意外な言葉を口にした。
前戦の勝利にも満足していなかったというのだ。
「エストゥピニャン戦の映像を見返すのが嫌なくらい、まだまだだと思った。だから次は同じことをしないと決めて練習してきました」
その言葉通り、この日のパフォーマンスは別次元だった。
完成度、攻撃力、冷静さ―すべてが一段階引き上げられていた。
▪️「今年中にベルトを獲る」ロッタン、スーパーレックへ宣戦布告
そして勝利の余韻が残るリングでフライ級の頂点に向けて明確な目標を掲げた。
対戦を望む相手の名前として挙げたのは、
ロッタン・ジットムアンノン
スーパーレック・キアトモー9
いずれもONEフライ級を代表する世界的スターである。
「今年中にフライ級のベルトを獲ります」
さらに大会側からは 5万ドル(約800万円)のボーナス が贈られた。
▪️日本格闘技界に訪れる“世代の転換点”
かつて世界の舞台で日本の存在感を示したのは、レジェンド級のファイターたちだった。
しかし近年、世界のキックボクシングはタイ勢や欧州勢が主導権を握っている。
そんな中で、20代の新世代ファイターが世界の中心へ歩みを進めている。
試合後、陽勇選手は英語でこう言い切った。
「日本人スターはたくさんいる。でも本物はここにいる。僕だ」
その言葉は決して大言壮語ではない。
むしろ、この日の試合内容こそが何よりの証明だった。
【文:高須基一朗】



