「スーパーガール」が75秒で散った日…涙のグローブ置き アンナ・ジャルーンサック、敗戦直後に電撃引退

2026.3.14

【©️ONE Championship 】

アジア最大級の格闘技団体 ONE Championship のリングで、

かつて“スーパーガール”の異名で恐れられた

若きムエタイファイターが、静かにグローブを置いた。

わずか75秒後で悶絶のTKO負けとなった。


 

▪️75秒で終わった復帰戦

3月14日に行われたONEアトム級ムエタイ(52.2kg契約)で、

タイの アンナ・ジャルーンサック は

香港の ユー・ヨウ・プイ に1ラウンド1分15秒、TKO負けを喫した。

試合後、アンナは涙ながらに現役引退を表明。リング中央にグローブを揃えて置き、深く一礼した。

この試合は、アトム級トップ戦線で活躍してきた“スーパーガール”の復帰戦でもあった。しかし、リングに戻ったその夜、彼女のキャリアはあまりにも短い時間で終わりを迎えることになる。

 

▪️世界の強豪を破ってきた若きスター

アンナはこれまで、ベラルーシの強豪 エカテリーナ・ヴァンダリーバ やスペインの ララ・フェルナンデスを破り、ONE女子ムエタイのトップ戦線で存在感を放ってきた。

唯一敗れていた相手は同門のスター選手 スタンプ・フェアテックス のみ。だが2023年11月、スペインの クリスティーナ・モラレス に初回TKO負けを喫して以降、試合から遠ざかっていた。

リング外でも注目度は高く、水着ブランドのモデルを務めるなど、格闘技界でも異彩を放つ存在だった。

 

勝敗を分けたボディブロー

試合は開始直後から激しく動いた。

前へ出たのはプイ。

パンチを振りながら距離を詰める相手に対し、アンナは首相撲からヒザ蹴りで迎え撃つ。ムエタイらしい組みの攻防が続く。

しかし流れを引き寄せたのは、プイの前進圧力だった。

打ち合いの中で放たれた左ボディが2発、深く突き刺さる。

アンナは苦悶の表情を浮かべてダウン。

レフェリーが試合を止めた。時計はまだ1分15秒しか進んでいなかった。

 

▪️「契約を失うのではと不安だった」

勝利したプイは、歓喜の涙を浮かべながらこう語った。

「スーパーガールは首相撲で来ると思っていたので、対策練習を徹底しました。耳がカリフラワーになるほどです」

さらに、ここ最近の連敗で感じていたプレッシャーも明かした。

「正直、ONEとの契約を失うのではないかと不安でした。でもまだここにいられる。この勝利は本当に大きいです」


 

その後、敗者となったアンナがマイクを握り、涙をこらえながら語った。

「全力は尽くしました。でも長い間・・・試合をしていなくて、ケガもありました。言い訳はしたくありません。相手が強かった」

そして、かつての自分を見せられなかった悔しさをにじませた。

「みんなが思う“スーパーガール”のパフォーマンスを見せたかった。同じ強さの自分として戦いたかった」

私生活で困難があったことも示唆しつつ、最後に団体への感謝を述べた。

「自分の可能性を信じてくれたチャトリCEOに感謝しています。小さなジムだった私たちがここまで来られたのはONEのおかげです」

そう語ると、アンナはグローブをリング中央に置き、深く頭を下げた。


【文:高須基一朗】