爆笑問題×明石家さんまさん 45分止まらぬ即興漫才 予定調和を拒む「芸人の本能」が舞台を支配した夜
お笑いコンビ「爆笑問題」が所属する事務所・タイタンのライブ30周年記念公演が2月6日、東京・渋谷のLINE CUBE SHIBUYAで開催された。
そのクライマックスに現れたのが、ゲストの明石家さんまさん(70)だった。
爆笑問題とさんまさんによる即興のトリオ漫才。
あらかじめ用意された“完成形”はない。あるのは、舞台に立った瞬間から立ち上がる芸人同士の呼吸と、笑いに身を委ねる覚悟だけだった。
まず火蓋を切ったのは、太田光さん(60)とさんまさんによるユニット「古希還暦」。
昨年10月のTBS「お笑いの日」以来の再演だ。
太田光さんが「M―1、一緒に出ましょうか?」と無邪気に投げると、さんまさんは即座に「時間オーバーで予選落ちるで」と切り返す。計算を感じさせないテンポの応酬に、客席は早々に沸点へと達した。
当初30分とされていた持ち時間は、気がつけば軽々と突破。
舞台上の熱量は抑制不能となり、全国の映画館で中継されている「タイタンシネマライブ」の終了時間を気にした田中裕二さん(61)が「長いよ!」と乱入する事態に発展した。
10歳年上のさんまさんに対し、思わず「お前らが…」と口を滑らせた田中さんは、即座に太田さん、さんまさんから集中砲火のツッコミを浴びる。
即興、脱線、暴走・・・すべてを飲み込みながら、舞台は約45分間ノンストップで走り続けた。最後は後輩芸人が舞台袖から総出で制止し、まさかの“強制終了”。
予定調和とは無縁のまま、興奮の幕が下りた。
この暴走劇は、単なるハプニングではない。そこには、芸人としての関係性と覚悟が色濃くにじんでいた。爆笑問題にとって、さんまさんは仕事がなかった時代に「待ってるよ」と声をかけ続けてくれた恩人。一方、さんまさんにとって太田光さんは、60歳で考えていた引退を思いとどまらせた存在でもある。
太田さんは、引退を口にしていた当時を振り返り、「“落ちるところを見せてくれ”って言ったのに、落ちない」と語る。その言葉は笑いを誘いながらも、頂点に立ち続ける先輩への最大限の敬意だった。
さらに太田さんは、さんまさんの舞台裏をこう明かす。
「リハーサルのたびに新ネタを持ってくる。練習にならない。この前なんてネタ合わせが1時間50分ですよ」。年齢やキャリアに甘えず、常に“今が一番面白い自分”を更新し続ける姿勢。そこに、芸人・明石家さんまさんの本質がある。
「本当に宝物のような時間でした」。感無量の太田さんに対し、さんまさんは「また来年出るわ。まだ半分ネタ残っているからな」と軽やかに応じた。
時間も段取りも超えてなお止まらない笑い。制止されて終わるほどの舞台こそ、芸人魂が本物である証明だった。

