涙の理由、そして共感の連鎖—Netflix新作『スターティング5』が映す“リアル”の力
【©️Netflix】
NBAファイナル2025の舞台裏で起きた感動の瞬間が、
スクリーンを超えて多くの視聴者の心を打っている。
10月15日(現地時間14日)、インディアナ・ペイサーズの
タイリース・ハリバートンが、自身のSNSで
Netflix新作ドキュメンタリー『スターティング5』
第2弾の予告動画を公開した。
映像の中で、ハリバートンはかつてのペイサーズの英雄レジー・ミラーからビデオメッセージを受け取り、涙をこらえきれずに頬を伝わせる。ミラーは「彼は全てを懸けた」と語り、ケガを抱えながらチームをファイナルへ導いた若き司令塔を称えた。
ハリバートンは「必ずペイサーズのユニフォームを着て戻る」と静かに誓う。その一言が、ドキュメンタリーの核心を物語っている。
■ ドキュメンタリーが“ヒーロー”を人間に戻す
こうしたスポーツドキュメンタリーが近年高い人気を集める理由は、「勝敗」ではなく「人間」を描く点にある。
『スターティング5』シリーズは華やかなNBAの裏側で、選手たちの葛藤、痛み、そして誇りを丁寧に掘り下げる。ハリバートンの涙は、単なる感動演出ではない。視聴者はその涙の“理由”を自分の人生と重ね合わせ、共感を覚えるのだ。
Netflixが手がけた『F1:栄光のグランプリ』や『クォーターバック』なども同様に、舞台裏を“人間ドラマ”として描くことで、競技ファン以外にも広く支持を得てきた。勝利の歓喜や敗北の悔しさがリアルに映し出される瞬間こそ、いまの時代の視聴者が求める「本物の物語」なのだ。
■ SNS時代における“真実の証言”
SNSでは、ドキュメンタリーの断片がリアルタイムで拡散される。ハリバートンが涙を流すシーンは、数時間で世界中のファンの間に広まり、励ましのコメントが相次いだ。
作られたヒーロー像ではなく、傷つきながらも前に進む“等身大のアスリート”の姿が、人々の心を動かす。そこにあるのは演出ではなく、「証言」だ。
■ 「スターティング5」第2弾は10月16日配信開始
シリーズ最新作では、ハリバートンに加え、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(サンダー)、ジェイレン・ブラウン(セルティックス)、ジェームズ・ハーデン(クリッパーズ)、そしてケビン・デュラント(当時サンズ)が登場。
それぞれの選手がキャリアの分岐点で何を考え、何を捨て、何を掴もうとしているのか——。その“決断の裏側”が描かれる。
ドキュメンタリーが人気を集めるのは、視聴者がその「裏側」に真実を求めているからだ。
輝かしい舞台の陰にある苦悩や涙は、誰にでもある人生の瞬間と地続きである。