MLB、ロボット審判を来季から導入へ 賛否渦巻く自動判定システム
【©️Gray Media, Inc.】
メジャーリーグ機構(MLB)は23日(日本時間24日)、
2026年シーズンから自動ボール・ストライク判定(ABS)の
チャレンジシステムを正式採用すると発表した。
オープン戦からポストシーズンまで全試合で適用される見通しだが、
“人間の目”に依存してきた野球文化に大きな変化をもたらす。
ABSは、カメラによって投球の軌道を測定し、ストライクゾーンとの比較で判定する仕組み。従来の球審による判定は残しつつ、投手・捕手・打者が異議を唱えた場合に限り、チャレンジが可能となる。各チームは最大2回のチャレンジ権を持ち、成功すれば権利は保持される。判定はスコアボードに表示され、約15秒で完了するとされる。
MLBは2022年からマイナーでテストを重ね、2025年にはオープン戦やオールスター戦で実験的に導入してきた。しかし、今回の決定は6人のオーナー、4人の現役選手、1人の審判で構成される競技委員会の投票によるもので、すべての関係者が納得しているわけではない。
実際、選手の中には「完全自動判定では試合の流れが機械的になりすぎる」と懸念する声が根強い。審判団にとっても、長年培ってきた“人間らしい判定”の価値が軽視されるのではとの不安が残る。
一方で、誤審による試合の行方を左右する事態を防ぐ手段としては歓迎する意見も少なくない。特にポストシーズンの大一番で「1球の誤審」が議論を呼ぶたび、導入を求める声は高まっていた。
ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「ファンの声に耳を傾け、マイナーで徹底的にテストした。誤審を減らしつつ、試合のテンポを守るバランスを取った」と胸を張る。しかし、“球審の権威”が揺らぐなかで、野球本来の魅力がどう変化していくのか。ロボット審判の導入は、新たな時代の到来と同時に、伝統への挑戦でもある。