【卓球】早田ひな選手含む日本勢 カザフスタンからマカオへ 日本に戻る間もない世界転戦 WTTの年間日程が映すトップ選手の過酷な現在
【©️WTT】
卓球女子の早田ひな選手が、またしても次の戦いへ向かう。
カザフスタンで開催された「WTTコンテンダー・アルマトイ」で女子シングルス準優勝を果たした早田選手は、決勝からわずかな時間を置いて、次の舞台となるマカオへ。
9月8日から13日まで行われる「WTTチャンピオンズ・マカオ」に出場する。
アルマトイ大会の決勝は9月6日。早田選手は同学年の平野美宇選手と対戦し、1―4で敗れて頂点には届かなかった。それでも翌7日には自身のインスタグラムを更新し、応援への感謝を伝えるとともに
「引き続き明日からチャンピオンズ・マカオ頑張ります」と投稿した。
敗戦の余韻に浸る時間さえ、ほとんどない。
次の大会へ向けて気持ちを切り替え、再びラケットを握る。
現在の世界トップクラスの卓球選手には、こうした「連戦」が日常となっている。
今回の流れを日程で追うと、その過密さが見えてくる。
早田選手がアルマトイで決勝を戦ったのは9月6日。そこから次のWTTチャンピオンズ・マカオへと移動し、早田選手の女子シングルス初戦は10日に予定されている。
つまり、ひとつの国際大会を最後まで戦い抜いた直後に、別の大会へ移動して再び世界のトップ選手と対峙するスケジュールだ。
しかも、早田選手はアルマトイで準優勝。決勝まで勝ち上がったということは、それだけ多くの試合をこなした後で次の大会へ向かうことを意味する。
「大会に出場する」という一言では表現しきれない。
試合、移動、練習、コンディション調整。
そのすべてを短期間で繰り返していく。
■マカオには日本勢が続々
WTTチャンピオンズ・マカオには、早田選手だけではなく、多くの日本勢が登場する。
張本選手は第1シードとして大会初日の8日にゾン・ジエン選手と対戦。
大藤選手も同日にサマラ選手と顔を合わせる。
早田選手は10日にウクライナのマルガリタ・ペソツカ選手と対戦。
橋本選手も同日、プエルトリコのアドリアナ・ディアス選手との初戦に臨む。
世界ランキング上位の選手が集まるWTTチャンピオンズだけに、
一戦一戦の重みも大きい。
今回は世界ランキング1位の孫穎莎選手、2位の王曼昱選手が不在。
その中で、世界6位の早田選手たちが
どこまで勝ち上がれるかにも注目が集まる。
WTTチャンピオンズ・マカオ 日本勢8選手
男子
- 松島輝空選手
- 張本智和選手
- 戸上隼輔選手
- 宇田幸矢選手
女子
- 張本美和選手
- 大藤沙月選手
- 橋本帆乃香選手
- 早田ひな選手
■「日本に戻る」こと自体が難しくなるWTTの年間構造
早田選手の今回の連戦を考えるうえで見逃せないのが、
WTTそのものの年間スケジュールだ。
WTTは2026年シーズンについて、4大会のGrand Smashを頂点に、
6大会のWTT Championsを組み込むなど、
世界各地を舞台にした大規模な年間日程を設定している。
シーズンは1月のドーハからスタート。
WTT Champions Doha、WTT Star Contender Dohaと中東で大会が続いた後、
シンガポール、欧州、アジア、北米など世界各地へ舞台が移っていく。
さらに4月末から5月にかけては、ロンドンでITTF世界チーム選手権が開催された。
大会期間は4月28日から5月10日までで、
男子64チーム、女子64チームが参加する大規模大会となった。
年間を通して世界大会が配置されているため、ランキング上位の選手にとっては、
一つの大会が終わればすぐ次の大会を見据える必要がある。
■先月8月には「横浜→スウェーデン」という異例の近接日程も過密
2026年のスケジュールを象徴するのが、8月の大会配置だ。
WTT Champions Yokohamaは8月4日から9日まで開催。
その直後、Europe Smash-Swedenが8月8日から16日までの日程で行われた。
大会期間が重なる形となり、WTT 競技団体も
横浜からスウェーデンへ直接移動する選手について、
移動、練習、回復面で厳しい日程になることを認識していると説明した。
このケースは、世界を転戦する現在の卓球界を象徴している。
日本で大会を終えたからといって、必ずしも自宅へ戻れるわけではない。
次の開催地へ直接向かう。
それがランキング上位を争う選手たちの現実だ。
■年間35大会の「Feeder Series」も存在
さらにWTTの年間日程を細かく見ると、その規模はトップカテゴリーだけではない。
2026年のWTT Feeder Seriesは最大35大会。
1月7~11日のインド・ヴァドーダラー大会から始まり、
11月28日~12月2日のポーランド・グダニスク大会まで、
約11カ月にわたって世界各地で大会が組まれている。
欧州だけでもドイツ、フランス、オーストリア、ポルトガル、ポーランド、チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチア、トルコ、コソボなどが開催地となっている。
アジアでもインド、タイ、ウズベキスタン、ラオス、モンゴルなどで大会が開催。
つまり、WTTは一部の大型大会だけで構成されているわけではない。
ランキングポイントを争い、世界ランキングを維持・上昇させるための大会が、
年間を通じて地球規模で連続している。
ほぼ毎週大会があるわけで休息する時間が無いのが現実。
■「休む」ことも競技力の一部と選手は吐露
もちろん、すべての大会にすべての選手が出場するわけではない。
選手には大会を選択し、休養期間を設ける判断も求められる。
それでも世界ランキング上位を維持するには、主要大会で結果を残し続けなければならない。
試合数が増えれば、移動も増える。
移動が増えれば、練習や身体のケアに使える時間は限られてくる。
そのためWTTは、選手の負担軽減を目的として日程や大会運営の改善にも取り組んでいる。大会での理学療法士によるサポートを拡充し、移動による負担を抑え、回復や準備の時間を確保することを掲げている。
世界を舞台に戦うことは華やかに見える一方、その裏側には細かなコンディション管理が存在する。
これについては、世界で活躍する他国のトップ選手たちが
過密スケジュールで疲弊していることをたびたびSNS投稿で吐露している事を散見できる。
■アルマトイからマカオへ―早田ひな選手たちが見せる「止まらない姿勢」
今回の早田選手の動きは、その象徴ともいえる。
9月6日にアルマトイで決勝を戦い、準優勝。
翌7日にはファンへ感謝を伝え、同時に次のマカオ大会へ向かう決意を発信した。
そして8日から始まるWTTチャンピオンズ・マカオへ。
敗戦を引きずるのではなく、次の舞台へ視線を向ける。
「引き続き明日からチャンピオンズマカオ頑張ります」
SNSで発信した その言葉から伝わるのは、世界の頂点を目指して戦い続けるトップアスリートの強い意志だ。
日本を拠点とするファンからすれば、選手が国内でプレーする姿を見る機会は限られる。
2026年のWTT年間カレンダーが示しているのは、
卓球が、もはや一つの国だけで完結する競技ではないという事実だ。
世界各地を巡りながら、体調管理とプレイができる体づくりと体力で結果を積み重ねる。
その過酷な環境下で、早田選手たちは毎週 次の一戦へ向かう。




