UFCで再起を懸ける朝倉海選手が適正階級バンタム級でオクタゴン初勝利へ「日本のチームと一緒に勝ちたい」
【©️UFC JAPAN】
2026年5月30日に中国・マカオのギャラクシー・アリーナで開催される『UFC Fight Night: Song vs. Figueiredo』で、朝倉海選手(ジャパントップチーム)が、米国のキャメロン・スモザーマン選手と対戦を予定している。
UFCでの初勝利、そして再起を懸けた重要な一戦となる。
これまでフライ級で戦ってきた朝倉選手だが、今回から本来の主戦場であるバンタム級へ回帰。“適正階級”で再スタートを切り、自身の真価を世界最高峰の舞台で示そうとしている。
▪️「今までなかった不安」連敗の中で向き合った現実
試合に先駆けて公開された『朝倉海ドキュメンタリー』(U -NEXT)では、朝倉選手が現在の胸境を率直に明かしている。
UFC参戦後、ティム・エリオット選手戦を含めて2連敗。キャリアで初めて味わう連敗での挫折に、「どこか不安もある」と、これまで感じたことのない感情と向き合っていることを告白した。
そうした中、ヘッドコーチとして迎えたのが、元UFCファイターで戦国フェザー級の初代王者経歴を持つ金原正徳氏だった。
朝倉選手は「どうしたらいいのか悩んでいた時に、金原さんから連絡をいただいた。MMAへの理解も深く、実績もある方なのでお願いした」と経緯を説明。
現在は「すべてがつながって、総合格闘技として完成度が高まっている感覚がある」と、
確かな手応えを口にしている。
▪️最悪のケースを想定した練習で見えた成長
今回のキャンプでは、従来以上にグラップリング強化へ時間を費やしている。
これまでは「テイクダウンを取らせなければいい」という考え方が中心だったというが、現在はあえて不利なポジションを作り、そこから脱出するシチュエーショントレーニングを徹底。苦手分野と真正面から向き合っている。
朝倉選手は「わざと厳しい展開を作る練習を積んできたことで、自信がついた」と語る。
一方で、前戦のティム・エリオット選手戦については、「頭が真っ白になった」と振り返った。対策は十分に準備していたものの、実戦では焦りが先行し、本来の動きを出せなかったという。
「“またやられるかもしれない”という焦りがあった」と語り、UFCという舞台特有のプレッシャーの大きさも明かした。
今回の大きなテーマとなるのが、フライ級からバンタム級への階級変更だ。
朝倉選手は以前から「次戦からバンタム級へ戻す」と決めていたといい、中国・上海のUFCパフォーマンス・インスティテュート(PI)での測定結果が、その決断を後押しした。
PIの専門スタッフによると、朝倉選手は上半身のパワーやスピードが非常に優秀で、数値的にもバンタム級上位クラスに匹敵。さらに、フライ級まで落とすには過度な減量が必要であり、身体への負担も大きかったという。
朝倉選手自身も「以前の映像を見るとガリガリだった。あれでは力が出ない」と苦笑いを浮かべる。
現在は筋肉量を戻し、コンディションも大幅に改善。怪我のリスクも減り、
「普段の練習に近い身体で試合に臨める」と語っている。
今回対戦するスモザーマン選手は、前戦で減量トラブルにより救急搬送された経験を持つ。両者にとって、コンディション調整も勝敗を左右する重要な要素となりそうだ。
朝倉選手は「一番いい準備ができている」と語る一方で、
「これまで“絶対大丈夫”と思っていて結果が伴わなかった」と複雑な胸中も吐露する。
それでも、「もう一度チャンスをもらえた。期待に応えないといけないし、“俺はこんなもんじゃない”という気持ちもある」と、静かに闘志を燃やした。
なお、兄の朝倉未来選手は今回はセコンドに入らず、日本チーム中心の体制で試合に臨む。
“適正階級”で迎える再起戦。朝倉海選手が、
ようやく本来の力を武器にオクタゴンで証明できるか!?
【文:高須基一朗】

