ONE=タイ・ルオトロがMMAわずか3戦目で世界王者!絶対王者クリスチャン・リーを左で沈め、鮮やかなリアネイキドチョークで二冠達成

2026.11.7

グラップリング界を代表する若き才能が、MMAの頂点まで一気に駆け上がった。

11月6日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Friday Fights 177 & The Inner Circle 37』。メイン級の注目を集めたONEライト級MMA世界タイトルマッチで、挑戦者タイ・ルオトロが王者クリスチャン・リーを1ラウンド2分08秒、

リアネイキドチョークで下し、新王者に輝いた。

注目すべきは、その勝ち方だ。

グラップリングを最大の武器とするルオトロは、打撃でもリー選手に真っ向から挑み、左のクロスでダウンを奪取。そこから一気にマウント、バックポジションへと移行し、最後は得意の寝技でタップを奪った。

MMAデビューからわずか3戦目。しかも相手は、ONEライト級とウェルター級の頂点を経験してきた実力者だ。グラップリングの実績だけでは測れない、ルオトロのMMAファイターとしての進化を印象づける勝利となった。

 


▪️絶対王者クリスチャン・リーに突きつけた現実


クリスチャン・リー選手にとって、今回はライト級王座の防衛戦だった。

リー選手は2022年11月、キャムラン・アバゾフ選手をTKOで下し、ウェルター級王座を防衛。その後、妹のヴィクトリア・リーさんを亡くしたこともあり、競技生活から一時離れていた。

2024年12月にアリベック・ラスロフ選手との試合で復帰したものの、この一戦はノーコンテスト。2025年11月の『ONE 173』ではラスロフ選手との再戦を制し、2ラウンドKOでライト級王座の防衛に成功していた。

そんな実績十分の王者が、今回迎えた挑戦者はMMAでまだ2勝のタイ・ルオトロ選手だった。

試合前、リー選手はグラップリングとMMAの寝技は別物だと指摘。5ラウンド制の世界タイトルマッチを戦うには、異なるレベルの経験が必要だとして、ルオトロ選手の準備不足を示唆していた。

確かに、純粋なグラップリング競技とMMAでは、打撃への対応、ポジションの取り方、攻防の組み立てなど、求められる能力が異なる。

しかし、ルオトロ選手はその懸念を結果で覆した。

 


▪️左の一撃で王者を崩し わずか2分08秒で決着


試合は開始直後から、両者が慎重に距離を測る展開となった。

ともにサウスポー構え。ルオトロ選手は前蹴りやローキックを織り交ぜながら前進をうかがい、リー選手も左ローを返して応戦する。

リー選手は相手のパンチを冷静にかわし、蹴り技でも存在感を示した。ルオトロ選手の後ろ回し蹴りをかわすと、左の蹴りを返し、右のサイドキックも繰り出す。

一方のルオトロ選手も、右ハイキックから右フックにつなぐなど、積極的に打撃を仕掛けた。

試合が動いたのは、リー選手が左フックで踏み込もうとした瞬間だった。

先に距離を詰めたルオトロ選手は、内側から右を差し込み、続くワンツーの左ストレートを打ち抜く。

この一撃を受けたリー選手がダウン。

ルオトロ選手は間髪入れずに上を取り、マウントポジションから攻め込む。立ち上がろうとするリー選手の動きを逃さず、背後に回り込んでバックポジションを確保した。

そして、最後はリアネイキドチョーク。

ボディトライアングルで相手の動きを封じながら首を絞め上げると、リー選手は抵抗を続けたものの、ついにタップ。1ラウンド2分08秒、ルオトロ選手が一本勝ちを収めた。

グラップリング王者らしいフィニッシュではあったが、そこに至るまでの打撃の組み立ても見逃せない。寝技で勝負するための展開を、自らのパンチで切り開いたことが、この試合の大きなポイントだった。

 


▪️「1ラウンドで終わらせる」体調不良を乗り越えた勝利


試合後、2本の世界王座ベルトを肩にかけたルオトロ選手は、安堵の表情で喜び。

「最高だ。これまでの人生を懸けて戦い続けてきた。今、どんな気分かって?最高だよ。この1週間、みんなから試合後の気持ちを聞かれていたけれど、想像もつかなかった。試合中はずっとクリスチャンのことを考えていた。そして今、こうして両方のベルトを肩にかけている。本当に最高の気分だ」

また、打撃面について評価されたことにも反応。世界最高のチームと準備を重ねてきたことを強調し、ここ数カ月の努力が試合で実を結んだと振り返った。

さらに、試合前のリー選手とのやり取りについても言及。試合中に互いに言葉を交わす場面があり、過去の経験を踏まえて感情的にならないよう意識していたという。

そして、印象的だったのが試合前のコンディションについての告白だ。

「今週はずっと体調が悪くて最悪だった。チームには『2ラウンド目まではいかない。1ラウンドで決める』と伝えていた。何があっても、1ラウンドで終わらせるつもりだった」

実際、その言葉どおりに試合を終わらせた。王者を相手にした大舞台で、自ら掲げた目標を実現したことになる。

 


▪️10万ドルのボーナスも獲得、二冠王者として次なる挑戦へ


今回の勝利によって、ルオトロ選手はONEウェルター級サブミッション・グラップリング世界王座に加え、MMAライト級世界王座も獲得。異なる競技形式で2本の世界ベルトを保持する二冠王者となった。

さらに、試合後には10万ドルのボーナスも話題となり、本人も興奮を隠さなかった。

「ずっと夢見ていた瞬間だ。弟にもボーナスがいくつか必要になるかもしれないと言っていたんだ。これからも、こんなパフォーマンスを見せ続けたい。本当に感謝しているし、未来に向けて準備は万端だ」

今後の試合について問われると、グラップリングの王座防衛でも、MMAの王座防衛でも、求められる場所ならどこへでも行くと宣言。競技そのものを楽しんでいることも明かした。

 



■試合結果

大会:ONE Friday Fights 177 & The Inner Circle 37

日時:2026年11月6日(金)

会場:ルンピニースタジアム(タイ・バンコク)

▼ONE世界ライト級MMAタイトルマッチ 5分5R

×クリスチャン・リー(米国/王者)
18勝4敗(12KO・TKO/5SUB)

〇タイ・ルオトロ(米国/挑戦者)
試合前2勝0敗(2SUB)

決着:1R 2分08秒 リアネイキドチョーク

※タイ・ルオトロ選手がONEライト級MMA世界王座を獲得。
ウェルター級サブミッション・グラップリング世界王座との二冠を達成。