著作権訴訟―FIFTY FIFTYの大ヒット曲「Cupid」著作権は外部制作会社に帰属との判決
所属事務所ATTRAKTは敗訴、法的争いの行方は?
韓国著作権法の構造が浮き彫りに、日本との違いも顕著
【©ATTRAKT】
▪️「Cupid」の著作権をめぐる訴訟、1審でATTRAKT敗訴
著作権者はThe Giversと認定
ソウル中央地裁は、韓国のガールズグループFIFTY FIFTYのヒット曲「Cupid」に関する著作権確認訴訟で、所属事務所ATTRAKTの主張を退け、外部制作会社「The Givers」が正当な著作権者であると認めた。
この訴訟は、ATTRAKTが「著作財産権は自社に帰属する」としてThe Giversに登録の抹消を求めたもので、裁判所は「契約書上の文言により、著作権者は明確にThe Giversである」と判断した。
▪️国際的ヒット曲の裏で交錯する契約関係
「Cupid」は2023年2月にFIFTY FIFTYが発表し、ビルボード「HOT100」で最高17位、25週連続チャートインという快挙を成し遂げた。制作にはスウェーデンの作曲家らが関与し、The Giversがその著作財産権を買い取り、2023年3月に韓国音楽著作権協会に自身の名義で登録していた。
ATTRAKT側は「業務委託契約に基づき、The Giversが代理で権利を取得した」と主張。しかし裁判所は、「契約書に記された名義がすべてである」とし、暗黙の了解や背後事情は考慮しなかった。
▪️韓国著作権法の視点:名義主義と実態主義の違い
今回の判決は、韓国著作権法が「形式主義・契約主義」に基づいて判断されることを示した。つまり、契約書上で誰が権利者として記載されているかが決定的であり、実際に費用を支払った者が必ずしも権利者とは見なされない。
一方で、日本の著作権法においても著作財産権の譲渡は契約書が基本だが、共同著作や職務著作(法人著作)については、制作の主体や実態が重視される場合も多い。特に企業内制作や委託制作では、著作物の利用目的や対価支払いの有無に応じて帰属先が変わる可能性がある。
韓国では委託制作であっても、契約書上で明確に「著作権は発注者に帰属する」と明記されていない限り、権利は受託者側に残るという実務運用が一般的だ。
▪️音盤制作権と著作財産権の違いも争点に
ATTRAKTのチョン・ホンジュン代表は「楽曲費用は事務所が負担した」と主張するが、The Givers側は「それは著作権ではなく、音盤制作者としての隣接権に対する対価だ」と反論している。
ここで重要なのは、「著作財産権」と「著作隣接権」は別物であるという点。前者は音楽を商業的に使用・管理できる根本的権利で、後者は音源(マスターテープ)などに関する利用権に過ぎない。今回の訴訟では、まさにこの権利構造の理解が明暗を分けた。
▪️メンバー交代と再デビューの動きも
FIFTY FIFTYは現在、元メンバーの脱退を経て、新たにキナを中心に5人編成で活動を継続している。一方、専属契約紛争の末に離脱したセナ、アラン、シオは新グループ「A BLOOM」として再始動を図っている。
今回の判決は、韓国音楽業界における「制作委託」と「権利帰属」の不明確さに警鐘を鳴らすものであり、国際的なビジネス展開を見据える中での著作権リスクの管理体制が問われている。