清原和博さん 左膝の人工関節置換術を報告「必ず復活します」60歳を前に決断した大手術 進化する最新の膝関節医療とリハビリの現在

2026.11.4

【清原さんSNS投稿画像より】

プロ野球で通算525本塁打を記録した清原和博さん(59)が11月3日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、9月中旬に左膝の人工膝関節置換術を受けていたことを明らかにした。現役時代に同じ箇所の大手術を経験していたという清原さんは、長年にわたる痛みが日常生活や運動にも影響していたことを告白。来年60歳を迎えるのを前に、友人や息子たちの後押しを受けて手術を決断したという。

投稿では、つえを使いながら歩く姿や、ジムでウオーキングマシンを使ってリハビリに取り組む様子も公開。「もう一度自分の人生、新しいスタートに賭けてみようと思います」と前向きな気持ちをつづり、最後には「必ず復活します」と力強く宣言した。

ファンからは「清原さんの頑張る姿は励みになります」「清さんの姿を見ることができて嬉しい」「帰ってこい!待っています」など、復帰を願う声が相次いでいる。

今回、清原さんが受けた人工膝関節置換術とは、どのような医療なのか。近年は手術支援ロボットやコンピューター技術の進歩によって、人工関節をより精密に設置する治療が進んでいる。高齢者だけでなく、スポーツによる膝の損傷や過去の大きな手術を経験した人にとっても、膝の機能を取り戻すための重要な選択肢となっている。

 


▪️現役時代から抱えていた左膝の問題  60歳を前に大きな決断


清原さんは投稿で

「9月中頃になりますが、左膝の人工膝関節置換術を受けました。現役中に、大手術をした同じ箇所です」と報告した。

さらに、膝の痛みによって生活に支障が生じ、運動やレジャーにも積極的になれなかったと説明。周囲の友人や息子たちの後押しもあり、来年60歳を迎える前に手術を決断したという。

現役時代の清原さんは、西武、巨人、オリックスでプレーし、

NPB通算525本塁打を記録した球界を代表するスラッガーだ。

 


▪️人工膝関節置換術とは?


人工膝関節置換術は、主に変形性膝関節症などによって関節の軟骨が大きくすり減り、痛みや変形、歩行障害が生じた場合に検討される手術だ。

変形性膝関節症は、加齢や肥満、過去の外傷などが関係し、膝関節の軟骨が徐々に摩耗することで発症する。

おそらく清原さんもこの複合的な要因が重なり、膝の痛みに長年苦しめられてきたことで間違いないだろう。

進行すると、歩き始めや階段の昇降だけでなく、

安静時にも痛みが生じ、歩行そのものが難しくなる。

初期から中期では、薬物療法、注射、運動療法、装具などによる保存的な治療が基本となる。しかし、こうした治療でも痛みや機能障害が改善せず、日常生活に大きな影響が出ている場合には手術が検討される。

人工膝関節置換術では、傷んだ大腿骨と脛骨の関節面を必要な範囲で切除し、

金属や樹脂などで構成された人工関節を設置する。

目的は単に痛みを取り除くだけではない。膝の安定性や動きを改善し、歩行や立ち座りなど、日常生活に必要な動作を取り戻すことにある。

 


▪️全置換術と部分置換術の選択肢は二つ 膝の状態によって異なる治療方法


人工膝関節置換術には、大きく分けて全置換術(TKA)と部分置換術(UKA)がある。

全置換術は、膝関節の広い範囲が損傷している場合に、関節の大腿骨側と脛骨側を人工関節に置き換える方法だ。変形が進行しているケースなどで選択される。

一方、部分置換術は、膝関節の内側または外側など、損傷が限られた部分だけを人工関節に置き換える方法である。

健康な軟骨や靱帯などを可能な範囲で温存できるため、患者の状態や適応条件によっては、術後の膝の動きや回復面で利点が期待できる。

ただし、部分置換術はすべての患者に適用できるわけではない。

損傷範囲、靱帯の状態、膝の変形などを総合的に判断する必要がある。

どちらが優れているという単純な比較ではなく、

患者の膝の状態に合わせた選択が重要となる。

 


▪️2026年の人工膝関節手術 注目されるロボット支援医療


人工膝関節置換術の分野で、

近年大きく進歩しているのが手術支援ロボットとコンピューター技術だ。

従来の手術では、医師がレントゲンやCTなどの画像をもとに骨を切除する位置や人工関節の設置角度を計画し、手術中に専用器具を使って作業を進めていた。

これに対してロボット支援手術では、術前の画像データをもとに手術計画を立て、手術中に膝の位置や骨の形状、靱帯のバランスなどをコンピューターで確認しながら作業を進める。

慶應義塾大学病院が2026年10月に公開した医療解説によると、

ロボット支援下の人工膝関節置換術では、赤外線カメラと反射マーカーを用いて膝関節の位置を把握し、計画に沿った骨切除を支援する。

さらに、手術中に膝の状態や靱帯のバランスを画面上で確認しながら、必要に応じて手術計画を調整できる。

こうした技術によって、人工関節の設置精度を高め、患者それぞれの骨格や関節の状態に合わせた手術を目指すことが可能になっている。

特に注目されるのが、患者ごとの関節の形状や靱帯の張力を考慮する

「パーソナライズド・アライメント」という考え方だ。

従来は下肢全体の軸を一定の基準に合わせる手術計画が中心だったが、近年は患者本来の骨格や関節の動きも考慮し、より個別化した人工関節の設置を目指す研究が進んでいる。

一方、ロボットが自動的に手術を完了させるわけではない。最終的な判断と操作は医師が担う。ロボットは医師の技術を補助し、手術の精度や再現性を高めるための医療機器である。

 


▪️日本でも普及が進むロボット手術 ただし万能ではない


慶應義塾大学病院の最新2026年10月の発表によると、

日本国内で2024年度に行われた人工膝関節全置換術は約9万3000件。

そのうちロボット支援手術による初回手術は約13%と紹介されている。

つまり、技術としては進歩しているものの、

国内の人工膝関節手術すべてに導入されているわけではない。

また、ロボット支援手術には、設備導入や維持にかかる費用、

手術時間が長くなる可能性などの課題もある。

2026年に公開された日本臨床整形外科学会雑誌の論文でも、コンピューター支援手術による人工関節の設置精度や再現性、軟部組織バランスの改善が期待される一方、患者の長期的な臨床成績における明確な優位性については、なお検証が必要とされている。

最新技術を導入しているかどうかだけでなく、執刀医の経験、手術件数、術後のリハビリ体制などを含めて医療機関を選ぶことが大切だ。

 


▪️手術後のリハビリが重要、杖から自立歩行を目指す


人工膝関節置換術は、人工関節を設置すれば治療が終わるわけではない。

術後は、痛みや腫れの状態を確認しながら、膝の曲げ伸ばし、筋力回復、立ち上がり、歩行訓練などを段階的に進めていく。

特に重要なのが、大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前側の筋肉だ。この筋肉は膝を伸ばす動作や歩行時の安定性に関係しており、手術後の機能回復に欠かせない。

術後の早い段階から医師や理学療法士の指導のもとでリハビリを始め、状態に応じて歩行器や杖を使いながら歩く練習を行う。

その後、筋力や関節の動きが改善するにつれて、杖への依存を減らし、

自立した歩行を目指していく。

ただし、回復のスピードには個人差がある。手術前の筋力、膝の変形の程度、年齢、全身状態などによっても異なるため、一定の期間で必ず杖が不要になるとは限らない。

清原さんが現在、つえを使いながらジムでリハビリに取り組んでいることも、術後の回復過程における一つの段階と考えられる。

 


▪️人工関節は何年使える? 再手術を避けるための身体管理


人工膝関節の耐用年数も、患者や家族にとって大きな関心事だ。

人工関節は長期間の使用を想定して設計されているが、

永久に交換不要というわけではない。

長年の使用による部品の摩耗や、人工関節と骨の固定部分のゆるみ、

感染などによって再手術が必要になる場合もある。

耐用年数は、使用される人工関節の種類、

患者の活動量、体重、骨の状態などによって異なる。

そのため、手術後も定期的な診察や画像検査を受け、

人工関節の状態を確認することが重要になる。

また、過度な負荷を避けながら、筋力や体重を適切に管理することも長期的な機能維持につながる。

 


▪️「必ず復活します」清原和博さんの新たなスタートにファンからエール


清原さんは今回の投稿で、現役引退後にさまざまな出来事を経験し、

「正直生きることさえ投げ出したくなる日もありました」と振り返った。

そのうえで、もう一度自分の人生に賭けてみようと決意したことを明かし、

執刀医やリハビリ担当医らへの感謝も記している。

プロ野球の歴史に残る525本塁打という実績を持つ清原さん。

現役時代の豪快な打撃や存在感を記憶しているファンにとって、

今回の手術報告は単なる医療ニュースにとどまらない。

これまで痛みを抱えながら過ごしてきた日常を少しでも変え、再び自分らしい生活を取り戻そうとする姿に、多くの人が関心を寄せている。

清原さんが掲げた「必ず復活します」という言葉。

その先にあるのは、かつてのホームランバッターとしての姿だけではなく、

痛みと向き合いながら、自分の人生をもう一度歩み始める姿なのだろう。