累計100万回再生! 韓国で注目を集めるラッパー PM Kenobi 新宿の老舗焼肉店で最新MV撮影「おもろい=正義」大阪で育まれた感覚と仲間たちとの13年

2026.11.3

高校時代にヒップホップと出会い、仲間たちとサイファーを重ねながら音楽活動を続けてきたラッパー、PM Kenobiさん。

大阪で育まれた独自の感覚を大切にしながら、東京、そして韓国へと表現のフィールドを広げている。

昨年リリースしたアルバムの収録曲「Haraboji&Aboji」を映像化したことをきっかけに、韓国にルーツを持つ人々との接点も広がり、街中で声をかけられる経験も増えてきたという。

今回、最新ミュージックビデオ(MV)の撮影場所に選んだのは、新宿区神楽坂にある老舗焼肉店。洗練された高級店ではなく、街に根付き、どこか懐かしさを感じさせる空間にこだわった背景には、幼い頃から親しんできた大阪・鶴橋の記憶があった。

音楽を始めた原点、仲間と築き上げてきたクルーの存在、韓国で感じ始めた反響、そして笑いを大切にする独自の表現哲学。MV撮影を前に、PM Kenobiさんに話を聞いた。

 


▪️高校時代に直感したヒップホップの楽しさ 大阪で始まった仲間との13年


―まず、ラップを始めたきっかけを教えてください。

PM Kenobi 高校生ぐらいのときに、ラップに触れる機会があったんです。

当時は今ほどではなかったんですけど、ラップバトルを目にすることがあって。「これはめちゃくちゃ楽しそう!」と直感的に感じました。

ヒップホップのアルバムも10枚聴いていないぐらいの段階だったのに、とにかく楽しそうで「これをやるしかないでしょ」という気持ちになったんです。

当時、周りにヒップホップをやっている人はほとんどいませんでした。僕は今31歳なんですけど、ヒップホップが好きだと言うと「チェケラッチョ!」みたいなイメージを持たれる時代でしたね。

最初は単純に「面白そうだな」という思いつきだったんです。それが気づけば13年ほど続いています。

 

―大阪で仲間が増えていったのは、どのような経緯だったのでしょうか?

PM Kenobi 18歳でラップをやろうと思ったとき、いきなり曲を作るのはハードルが高かったんです。そこで、すぐに始められるサイファーを大阪でやるようになりました。

スピーカーを囲んで、ビートに合わせてラッパー同士が即興でラップをする。そういう場を自分たちでも企画して、毎週火曜日に集まっていたんです。同級生や年齢の近い仲間が集まり、自然と輪が広がっていきました。

やがて活動は曲作りへとシフトしていきました。23歳で仕事のために上京するタイミングでは、もっと仲間の輪が広がれば面白くなるだろうと思ったんです。

今日の撮影も手伝ってくれているBIG PRIDEをはじめ、仲間は総勢17人ほどにまで増えました。ビートメーカーなど、それぞれに役割がある。

ヒップホップクルーという形になっていきましたね。

アメコミの『アベンジャーズ』に例えると、分かりやすいかもしれません。何かをやろうとなったら集まる。それぞれの役割があって、必要なときに力を合わせる。そんなクルーなんです。

 


▪️カナダ留学中に受けた衝撃「フリースタイルダンジョン」が広げた可能性


―音楽活動を続けるなかで、ご自身の表現に影響を与えた出来事はありますか。

PM Kenobi パッと思い浮かぶのは、カナダに留学していた時期に、テレビで『フリースタイルダンジョン』が始まったことですね。あれは衝撃的でしたし、すごく刺激を受けました。

海外にいたからこそ、自分がこれまでやってきたことが、もっと大きなものにつながっていくイメージを持てたんです。

やっぱり、ラップって面白いんですよね。自分が面白いと思って続けてきたことに、さらに大きな可能性があると感じられた出来事でした。

 


▪️韓国で広がる大人気の認知度 街中で声をかけられる経験も


―韓国とのつながりも広がっています。ご自身の知名度が上がってきたと実感することはありますか。

PM Kenobi 昨年のアルバムに収録した「Haraboji&Aboji」という曲を、今年の1~2月ごろに映像化したんです。

それまでは画面の向こう側の出来事という感覚もあったんですけど、御徒町を歩いていると声をかけられたり、新大久保のお店に行ったら、お客さんがみんな僕のことを知っていたり。そういう経験を通して、韓国にルーツを持つ方々の間で認知度が上がっているのかなと感じました。

お店に入ったときは「えっ、仕込みですか?」とツッコミたくなるぐらいで(笑)。

済州島出身の方が営んでいるお店だったので、そうしたつながりもあったのかもしれません。在日の方々も多かったと思いますが、驚きましたし、素直にうれしかったですね。

 


▪️次の目標は渋谷WWWでのワンマンライブ 25~30曲を披露する構想


―2026年下半期から2027年上半期にかけて、予定している活動について教えてください。

PM Kenobi 2027年1月に、渋谷のWWWでワンマンライブをやる予定です。今はそこに向けて頑張っていますね。

まずは目の前のことを一つずつやっていきたいです。ライブは1時間半ぐらいを想定していて、25~30曲はやりたいと思っています。

アリーナクラスの公演なら2時間ぐらいになると思いますけど、まずは目の前のライブをしっかり形にしていきたいですね。

 


▪️最新MVの舞台は新宿区の神楽坂 老舗焼肉店 大阪・鶴橋の記憶を重ねる


―今回のMVでは、老舗焼肉店を撮影場所に選びました。その理由を教えてください。

PM Kenobi 韓国に行く機会があって、済州島にも行かせてもらいました。自分が歌っていることが少しずつ現実の広がりにつながって、ライブの規模も大きくなってきています。そうした流れのなかで、やはり日本の韓国焼肉や韓国料理のお店で撮影したいと思ったんです。

在日(コリアン)の方々にとって、焼肉は身近な存在という感覚もありますよね。

そこでSNSを通じて撮影場所を募集したところ、連絡をいただいたお店のなかに、この神楽坂の老舗焼肉店がありました。入口の雰囲気が、韓国焼肉のお店らしくて。そこに惹かれて選びました。

 

―高級感のある焼肉店ではなく、街に根付いたお店を選んだことにも、こだわりがありそうですね。

PM Kenobi 外観に看板がむき出しになっている感じとか、すごく良かったんですよね。小洒落た落ち着いたお店というより、街中で目立つ店構えがいいなと思いました。

中華料理なら「街中華」という言葉があるじゃないですか。韓国焼肉でも、それと同じように、街にしっかり根付いているお店を選びたかったんです。

自分らしさにもつながると思いましたし。

お金をかければ、個室のある立派なお店を選ぶこともできると思います。

でも、そういう場所ではなくて、子どもの頃に大阪・鶴橋で見ていた風景や記憶を感じられる場所を探したかったんです。

今回のお店には、そういう雰囲気がありましたね。

 


▪️MSCを聴いて育った世代 新宿の街に感じるヒップホップの歴史


―この早稲田・神楽坂周辺は、日本のヒップホップシーンを語るうえでも縁のある地域です。

ヒップホップレーベルの一つ LIBRAや9SARI groupなど、シーンを築いてきた人たちのルーツとつながりのあるエリアですね。

PM Kenobi MC漢さんの自伝を読んだことがあるんです。活字だけでは想像できなかったことも、実際にこの辺りを歩くと「ああ、ここがその場所だったんだ」と感じられる。西早稲田なども含めて、みんな近い場所にいたんですよね。

すごいなと思います。

僕はMSCを聴いて育ってきたので、今回、この場所を選べたこともうれしいですね。新宿を歩きながら、今でも聴くことがありますよ(笑)。

 

音楽を通して知っていた場所が、実際の街の風景とつながる。

今回の撮影地には、単なるロケーション以上の意味もあったようだ。

 


▪️「おもろい=正義」大阪育ちの感覚を映像表現にも


―今回の楽曲やMVは、どのようなイメージから構想が生まれたのでしょうか。

PM Kenobi その場でインパクトのあるものを探していく感覚ですね。今日もうまくいった例があるんですけど、例えば、そこにある大きな小道具を使ってみたり。現場で即興的に取り入れるのが好きなんです。

単純に「これ、おもろいかも!」と思ったものを選んでいます。

大阪がルーツだからなのかもしれませんね。僕のなかでは、「おもろい」ということは、何かをかましているということでもあるんです。

「おもろい=正義」

この感覚は大切にしたいですね。

 

―笑いを大切にする姿勢は、昔から変わらないのでしょうか。

PM Kenobi 中学生の頃の夢は漫才師だったんです。

小学生のときも、作文にそんなことを書いていたのを思い出します。

もともと、人を笑顔にしたいという気持ちがあるんでしょうね。子どもの頃は落ち着きがなくて、授業参観の日にも椅子に座っていられず、親に怒られたこともありましたけど(笑)。

でも、面白いことをして人を笑顔にしたいという感覚は、今の自分にもつながっていると思います。

音楽も映像も、ただ格好よく見せるだけではなく、見た人の印象に残るものにしたい。現場で生まれるアイデアを大切にしながら、自分らしい表現を追求している。

大阪で始まったラップ活動は、仲間との出会いを経て、東京、そして韓国へと広がってきた。PM Kenobiさんの表現の根底にあるのは、肩肘を張らず、自分が面白いと思うことを形にする姿勢なのかもしれない。

 

最後に、これからPM Kenobiさんの音楽に触れる人たちへ、メッセージを聞いた。

PM Kenobi 「まずはライブに来てほしいです」

音源や映像を通じて広がり始めた音楽の世界。その魅力を直接体感できる場所として、ライブを大切にしているPM Kenobiさん。渋谷WWWでのワンマンライブに向け、仲間たちとともに、次のステージへと歩みを進めている。

 



公演名:PM Kenobi ONEMAN LIVE AT SHIBUYA WWW

開催日:2027年1月11日(月・祝)

会場:WWW(東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル地下)

開場:17:00/開演:18:00

チケット料金:前売り5,000円(税込・ドリンク代別)

出演:PM Kenobi

チケット販売:イープラス

公演情報:WWW公式サイト

※公演内容・チケット販売状況は、各公式サイトでご確認ください。



 

▪️『Haraboji & Aboji』が累計100万回再生超 BBC Koreaも特集

PM Kenobiは東京を拠点に活動する1995年生まれ、大阪出身のラッパー。全国各地のメンバーで構成されるヒップホップコレクティブ「EARTHKICK」の一員としても活動している。

2026年には、自身の家族の歴史やルーツを題材にした楽曲『Haraboji & Aboji』が、SNS上の二次創作を含めて累計100万回再生を突破。英国放送協会(BBC)の韓国語版「BBC Korea」でも特集インタビューが組まれ、その音楽性やアイデンティティーに関心が寄せられている。

 


▪️新曲「Kachikomi」も配信 次のステージへ


9月30日には、連続シングルリリース第3弾となる「Kachikomi」を配信。$till.J.Carkを客演に迎え、盟友UDがプロデュースを担当した。日本と韓国、それぞれの音楽シーンで活動してきたアーティストの個性が交わる作品となっている。

 



■取材協力

焼肉 明洞(ミョンドン)/ 伊東

東京都新宿区天神町66  電話:03-3269-4448

アクセス:東京メトロ東西線・神楽坂駅より徒歩約3~4分

※営業時間・定休日などは変更される場合があります。来店前に店舗へご確認ください。

【取材・記事/高須基一朗 瞬刊モッツ】