大谷翔平選手 前人未到の4年連続MVPへ最終候補入り「二刀流」の総合力で挑む歴史的記録 PCA選手が最大の壁に

2026.11.3
【©️Los Angeles Dodgers 】

米大リーグ機構(MLB)の2026年シーズン最優秀選手(MVP)の最終候補が2日(日本時間3日)、全米野球記者協会(BBWAA)から発表され、ナ・リーグではドジャースの大谷翔平選手が名を連ねた。大谷選手が受賞すれば、2023年から4年連続、通算5度目のMVP獲得となる。4年連続受賞は、2001年から2004年にかけて達成したバリー・ボンズ選手以来の歴史的快挙となる。

 

一方、今回の選考で大きな存在感を示しているのが、カブスのピート・クロウ=アームストロング選手だ。45本塁打、41盗塁という圧倒的な数字で40本塁打・40盗塁を達成し、攻守にわたる貢献度でも高い評価を獲得。選手会が選出するプレーヤーズ・チョイス・アワードでもナ・リーグの最優秀選手に選ばれており、BBWAAによるMVP争いでも有力候補に位置づけられている。

今季の大谷選手は、投手としての復活を果たしながらも、シーズン途中の故障によって二刀流の継続が難しくなるなど、決して順風満帆な一年ではなかった。それでも、投打双方で積み上げた貢献度はリーグ屈指の水準に達している。個々の打撃成績だけでは測れない二刀流の価値が、今回のMVP争いを考えるうえで重要なポイントになりそうだ。

 


▪️投手として復活の年に 前半戦は防御率1点台の快投


大谷選手は2023年9月に受けた2度目の右肘手術から復帰し、2026年シーズンは3年ぶりに開幕から先発ローテーションに加わった。

投手としての立ち上がりは非常に安定していた。4月には月間最優秀投手に選出され、6月までに8勝を記録。防御率も1点台を維持し、復帰シーズンとしては際立った投球内容を見せた。

しかし、シーズンが進むにつれてコンディションに変化が生じる。6月には左膝の違和感が明らかになり、7月には上腕二頭筋の炎症も判明。オールスターゲームへの出場を辞退し、後半戦の登板は実現しなかった。

最終的な投手成績は14試合に登板して8勝2敗、防御率1.79。登板数こそ限られたものの、先発投手としての能力を改めて示す数字を残した。

 


▪️打者としては30本塁打 二箇所の怪我も重なり本来の数字には届かず


打撃面では135試合に出場し、523打数144安打、打率2割7分5厘、30本塁打、81打点、11盗塁を記録した。

30本塁打は十分に高い水準だが、2021年以降のシーズンと比較すると最少。シーズン途中の故障やコンディションの影響もあり、打撃面では例年のような圧倒的な数字を残すには至らなかった。

9月にはドジャース移籍後初となる負傷者リスト(IL)入りも経験。投打双方でフルシーズンを戦い抜くことが難しくなり、後半戦は打者に専念する形となった。

それでも、投手として8勝、防御率1.79を残しながら、打者として30本塁打を記録した事実は重い。通常の野手や投手とは異なる役割を担い、双方でチームに貢献できることこそ、大谷選手の評価を考えるうえで欠かせない要素だ。

 


▪️WARはリーグ2位タイ 二刀流の価値を数字でも証明


大谷選手の総合的な貢献度を示す指標として注目されるのが、米データサイト「FanGraphs」が算出するWAR(Wins Above Replacement)だ。

WARは、代替可能な水準の選手と比較して、対象選手がどれだけチームの勝利数に上積みしたかを推計する指標。打撃や守備、走塁、投球などを総合的に評価するもので、選手の価値を多角的に比較する際に用いられる。

今季の大谷選手は、投手として2.9、打者として3.7を記録し、合計6.6。ナ・リーグでは2位タイに位置している。

これを上回ったのが、カブスのクロウ=アームストロング選手だ。WAR10.6という高い数値を残し、リーグ内でも際立ったシーズンを送った。

大谷選手の6.6という数字は、投打それぞれの貢献を合算した結果である。単純な本塁打数や打点だけでは比較できない二刀流の価値を、総合指標が裏付けているともいえる。

 


▪️最大のライバルはPCA 45本塁打と41盗塁で40―40達成


大谷選手の前に立ちはだかる有力候補が、カブスのピート・クロウ=アームストロング選手だ。

PCAの愛称で知られる同選手は、2026年シーズンに45本塁打、41盗塁をマーク。40本塁打と40盗塁を同時に達成する40―40を実現した。

さらに、45本塁打でナ・リーグの本塁打王にも輝いた。長打力と走力を高い次元で両立させたうえ、外野守備でも存在感を発揮。攻撃面だけにとどまらない総合力が、今季の評価を押し上げている。

選手会が選出するプレーヤーズ・チョイス・アワードでも、PCA選手は2026年の年間最優秀選手に選ばれた。ただし、同賞とBBWAAが選出する公式のリーグMVPは別の賞であり、今回の最終候補入りや受賞決定とは区別して考える必要がある。

FanGraphsのWARでも10.6を記録し、大谷選手の6.6を大きく上回った。今季の成績を総合的に比較すれば、PCA選手が強力な対抗馬となるのは自然な流れだろう。

 


▪️ブライス・チュラング選手も候補入り 世界一のブルワーズを支えた存在


もう一人の最終候補は、ブルワーズのブライス・チュラング選手だ。

今季は151試合に出場し、打率2割6分8厘、21本塁打、100打点、19盗塁、OPS.816を記録した。

突出した本塁打数ではPCA選手に及ばないものの、100打点を挙げる勝負強さと、走塁面での貢献を兼ね備えた選手だ。

ブルワーズはワールドシリーズを制覇。チュラング選手はその打線を支えた主力の一人として、チームの成功に貢献した。

個人の打撃成績だけでなく、守備や走塁を含めた総合力、そしてチームへの貢献という観点からも評価される選手である。

 


▪️4年連続受賞ならボンズ選手に並ぶ 11月13日に歴史的な結果


大谷選手は2021年にア・リーグMVPを初受賞。2023年にもア・リーグで選出され、2024年、2025年はナ・リーグで連続受賞を果たした。直近3シーズンはいずれも満票での選出だった。

今回、2026年も受賞すれば4年連続、通算5度目となる。

MVPの4年連続受賞は、バリー・ボンズ選手が2001年から2004年にかけて達成した記録に並ぶ。異なるリーグをまたぎながら、投打の二刀流で評価を積み重ねてきた大谷選手が、この歴史的な記録に挑むこと自体、大きな意味を持つ。

ただし、今季のナ・リーグはPCA選手の成績が際立っており、選考は簡単ではない。投打を兼ねる大谷選手の希少性を重視するのか、それとも162試合を通じて圧倒的な数字を残したPCA選手の総合的な実績を評価するのか。選考委員の判断が注目される。

BBWAAによる2026年のMVP発表は11月12日(日本時間13日)の予定。大谷選手が前人未到の領域に踏み込むのか、それとも新たなスターが頂点に立つのか。ナ・リーグMVPの行方は、今季のメジャーリーグを締めくくる大きな注目材料となっている。