『スター・ウォーズ』タイカ・ワイティティ監督作が無期限凍結 発表から6年、独自の世界観は幻に終わるのか
映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』などで知られるタイカ・ワイティティ監督が手がける予定だった『スター・ウォーズ』の新作映画が、事実上の無期限凍結状態にあることが明らかになった。2020年の企画発表から約6年。シリーズに新たな個性を持ち込むと期待されてきたプロジェクトは、いったん進行を止めることになった。
ワイティティ監督は、海外メディア「Inverse」のインタビューで企画の現状を説明。脚本家のトニー・マクナマラ氏と別のプロジェクトに取り組んでいることを明かした。再始動の時期は示されていないものの、監督は将来的な可能性を完全には否定していない。
長い歴史を持つ人気シリーズに、独創的なユーモアと大胆な演出で知られるワイティティ監督がどのような変化をもたらすのか。その構想が実現するかどうかは、現時点で不透明だ。
▪️「スター・ウォーズの日」に発表された新作構想
同作の企画が発表されたのは、2020年5月4日の「スター・ウォーズの日」。ワイティティ監督がメガホンを取り、脚本にはトニー・マクナマラ氏が参加する計画だった。
マクナマラ氏は『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』などで知られる脚本家。人物の複雑な心理を描く手腕や、皮肉を交えた独特の会話劇に定評がある。
一方、ワイティティ監督は『マイティ・ソー バトルロイヤル』で、スーパーヒーロー映画に軽快なコメディーと人間味を持ち込み、作品に新鮮な印象を与えた。さらに『ジョジョ・ラビット』では、ユーモアとシリアスな題材を組み合わせる演出でも注目を集めている。
こうした2人の個性が『スター・ウォーズ』の世界で融合すれば、従来の作品とは異なる物語が生まれる可能性があった。
ただし、企画段階では物語の時代設定や登場人物、ストーリーの詳細は公表されていなかった。ファンの間で期待が膨らむ一方、具体的な作品像が明らかにならないまま、時間が経過していた。
▪️監督自ら「ガチガチに凍結」と説明
今回のインタビューで、ワイティティ監督は新作について、いったん企画を凍結し、マクナマラ氏と別の作品を進めていると説明した。
さらに、プロジェクトの状況を「ガチガチに凍結されています」と表現。
再始動の具体的な時期については明言しなかった。
それでも、監督は「氷河期にも終わりは来ますし…どうなるかは分かりませんよね?」と発言。企画が将来にわたって完全に消滅するとは言い切らず、含みを残した。
もっとも、この発言を再始動の約束と受け取ることはできない。現段階で確認できるのは、企画が停止状態にあり、監督と脚本家が別のプロジェクトに軸足を移しているということだ。
映画の企画は、発表された時点で完成が保証されるものではない。脚本の開発、制作会社の判断、監督や出演者のスケジュールなど、複数の条件がそろって初めて撮影へと進む。大型シリーズであっても、構想が長期間にわたって進展しないケースはある。
今回の作品についても、正式な中止が発表されたわけではないが、公開に向けた具体的な道筋は見えていない。
ワイティティ監督作が足踏みする一方、
シリーズの劇場映画展開は別のプロジェクトを中心に進んでいる。
注目作の一つが、ショーン・レヴィ監督、ライアン・ゴズリングさん主演の『スター・ウォーズ/スターファイター』だ。ルーカスフィルムの公式発表によると、
公開日は2027年5月28日。
従来の主要キャラクターを中心とした物語とは異なる、
新たな登場人物による独立した冒険が描かれる予定となっている。
同作は2025年に英国で撮影が始まり、公開に向けた制作が進められている。
長年にわたって築かれてきた世界観を受け継ぎながら、
新しい物語をどのように提示するのかが注目される。
また、ルーカスフィルムは複数の劇場映画プロジェクトを開発してきた。
過去にはジェームズ・マンゴールド監督やシャーミーン・オベイド=チノイ監督らの企画も公表されており、シリーズの映画展開は一つの作品だけで決まるものではない。
その中で、ワイティティ監督作がどのような位置づけになるのかは、
今後の制作方針次第だ。
▪️独自の作風が銀河の物語に加わる日は来るのか
『スター・ウォーズ』は、壮大な宇宙戦争だけでなく、親子の葛藤や師弟関係、仲間との絆などを描きながら、世代を超えて支持されてきたシリーズだ。作品ごとに異なる監督の個性を取り込みながら、世界観を広げてきた歴史もある。
ワイティティ監督が参加する新作には、そうした伝統に独自のユーモアや人物描写を加える可能性があった。企画が発表されてから6年が経過しても具体的な物語が明らかにならなかっただけに、今回の凍結発言は、実現を待っていたファンにとって気になるニュースとなりそうだ。
現時点では、制作再開の予定も公開時期も発表されていない。企画が再び動き出すのか、それとも別の作品がシリーズの未来を担うのか。ワイティティ監督の言葉どおり、長い「氷河期」がいつ終わるのかは、まだ誰にも分からない。



