野杁正明選手が計量失敗で試合中止となった安保瑠輝也選手に対して「ONEには、いなくていい」チャトリCEOも同調した発言の重みと日本人ファイターの責任感
ONE Championship「ONE SAMURAI 4」大会後の記者会見で、
野杁正明選手が示した姿勢が印象に残った。
メディアから安保瑠輝也選手のハイドレーション問題について質問され、コメントを求められた野杁選手。そこで口にしたのは、ONEが定めるルールを守ることの重要性と、プロとしての意識を問う明確な言葉だった。
「ONEには、いなくていい」厳しい表現ではある。
しかし、今回の発言で重要なのは、野杁選手が自ら安保選手の問題を持ち出したのではなく、会見でメディアから質問を受け、自身の考えを率直に語ったという点だ。
さらに、その後に同じ問題について質問を受けたチャトリ・シットヨートンCEOも、ハイドレーション検査はすべての選手に適用されるものであり、特定の選手だけを例外扱いすることはできないと説明。ルール順守とプロ意識の重要性を強調した。
一方、会見終盤には安保選手の今後の起用についても話題が及び、チャトリCEOがヘビー級での戦いに言及。冗談交じりとも受け取れる発言に、会見場では失笑が起きた。
ルールをめぐる厳しい議論から、次戦をめぐる思わぬやり取りまで。大会後の会見では、ONEが選手に求める姿勢と、安保選手の今後をめぐる運営側の発言が注目を集めた。
▪️質問されたからこそ、曖昧にせず自分の考えを語った
大会後の記者会見では、試合内容や今後の対戦相手だけでなく、選手を取り巻く問題についてもメディアから質問が寄せられる。
今回、野杁選手は安保選手のハイドレーション問題についてコメントを求められた。同じ格闘技界で活動する選手についての発言だけに、慎重な表現を選ぶこともできただろう。
しかし、野杁選手は自身の考えを明確に語った。
ハイドレーション検査の難しさに触れながらも、ONEに出場する以上、定められたルールを守らなければならないと主張。検査をクリアしているチャンピオンが数多くいることにも言及し、日頃からの準備や意識の重要性を指摘した。
そして、「ONEにはいなくていい」と言い切った。
注目すべきなのは、単に厳しい言葉を使ったことではない。メディアから意見を求められた際、ONEの選手として何を大切にし、何を守るべきだと考えているのかを、自らの言葉で明らかにしたことだ。
質問に答える以上、発言には反響が伴う。
それを理解したうえで、曖昧な表現に逃げず、自身の考えを示した。
その姿勢に、野杁選手の競技者としての責任感が表れていた。
そして、この質問ガチャトリCEOに飛び交う前に、
自ら発言する状況に身を投じた点も強い覚悟が見えた。
▪️チャトリCEOもルール順守を強調 選手と運営トップの見解が重なる
安保選手の問題については、ONEの運営トップであるチャトリCEOにも質問が向けられた。
野杁選手は、CEOの説明を待つことなく、まず競技者自身の立場からルールを守ることの重要性を訴えた。その後、チャトリCEOも同問題について説明し、ハイドレーション検査はすべての選手に適用されるものであり、1人だけを特別扱いすることはできないとの考えを示した。
CEOは選手の安全を守るための仕組みであることを強調し、ONEで戦う以上、プロ意識を持ってルールに対応する必要があると説明。検査をクリアしている選手が多数いることにも触れ、制度への理解を求めた。
こうした説明は、野杁選手が先に示した考えと重なる部分が大きい。
ただし、両者の立場は異なる。野杁選手は競技者としての考えを語り、チャトリCEOは大会運営を担う立場から制度の必要性を説明した。それぞれの立場からルール順守の重要性が示されたことは、今回の会見の大きなポイントといえる。
▪️ハイドレーション検査とプロ意識 問われる日頃の準備
ONEのような国際的な舞台では、試合の勝敗だけでなく、選手のコンディション管理や競技ルールへの理解も重要になる。
ハイドレーション検査については、個別の経緯や検査結果を事実に基づいて確認する必要がある。一方、定められたルールのもとで競技が成立している以上、選手がそのルールを理解し、試合に向けて準備することは欠かせない。
野杁選手が指摘したのも、こうした基本的な姿勢だった。
同じ日本人選手について質問されたからといって、競技者として大切にする原則を曲げる必要はない。野杁選手は個人間の感情論に終始するのではなく、ONEの舞台に立つ選手が守るべきルールと意識について、自身の見解を示した。
今回の発言は、安保選手個人への批判という側面だけでなく、プロ格闘家として競技に臨む姿勢をめぐる問題提起としても受け止められる。
メディアから問われた問題に正面から向き合い、自らの考えを明確に伝えた野杁選手。その発言には、ONEで戦う競技者としての信念が表れていた。
▪️安保選手の次戦はヘビー級? チャトリCEOの仰天発言に会見場で失笑
会見の終盤、チャトリCEOは安保選手の今後の起用についても質問を受けた。
その際、CEOは安保選手の次戦について、ヘビー級での戦いに言及。冗談交じりとも受け取れる発言に、会見場では失笑が起きた。
ハイドレーション問題をめぐっては、野杁選手が「ONEにはいなくていい」と厳しい見解を示し、チャトリCEOもルールの公平性や選手の安全、プロ意識の重要性を強調していた。その一方で、安保選手の次戦についての質問では、会見の空気が一時的に変わった。
試合中止につながった問題について質問が続くなか、
CEOが次戦をめぐってこうした発言をしたことは、会見の印象的な一幕だった。
【文:高須基一朗 瞬刊モッツ 編集部】

