【ONE SAMURAI 4】安保瑠輝也選手 2戦連続の計量失敗で問われるサポート体制 終了直前の伝達ミス 国際舞台で戦うための環境整備に課題
格闘技イベント「ONE SAMURAI 4」を目前に控えた
10月16日、安保瑠輝也選手が公式計量とハイドレーションテストを規定時間内にクリアできず、ボグダン・シュマロフ選手との対戦が実現できるか不透明となった。
今回の問題は、単に体重や水分状態の管理に失敗したという結果だけで捉えるべきではない。前回のONEデビュー戦に続いて計量をめぐる問題が発生し、さらに、検査終了直前に最後の計量を試みた際には、伝達ミスによって計量の制限時間に登場が、わずかだが約10秒遅れた。
こうした一連の状況から浮かび上がるのは、選手本人の準備だけでなく、国際舞台で競技に集中するためのサポート体制が十分に機能していたのか、という根本的な問題だ。
計量の規定を理解し、体重と水分状態を管理することは、
選手自身が果たすべき責任である。
しかし、検査の手順や時間、主催者との連絡、言語面での意思疎通まで含め、
選手が競技に臨むための環境を整えることも、陣営や関係スタッフに求められる重要な役割となる。
今回の一件は、安保選手個人の失敗という視点にとどまらず、
安保選手を支える仕組み全体が適切に機能していたのかを検証する必要性を示している。
■ ONEへ参戦後2戦連続の計量失敗問題 再起戦に暗雲
安保選手は2025年9月にONEへの参戦を発表。同年11月、強豪マラット・グレゴリアン選手とのデビュー戦に臨んだ。しかし、この試合でも前日計量で規定をクリアできず、キャッチウェイトでの対戦となり、試合は3ラウンド判定で敗れた。
今回はハイドレーションも考えて過度な減量を無しに
階級をライト級に上げ、再起を目指す一戦だった。
キックボクシングでの今後の活動を見据えるうえでも、重要な試合と位置付けられていた。
ところが、2戦連続で計量をめぐる問題が発生した。
16日の初回検査で、安保選手の体重は169.4ポンド。設定された上限の170ポンド以内だったものの、ハイドレーション値は1.0292となり、規定値の1.0250を超えた。
正午ごろの再検査では、ハイドレーション値が1.0310、体重が170.2ポンドとなり、いずれも規定を満たせなかった。
ONEの制度では、体重が上限以内でもハイドレーションテストに合格しなければならない。
2戦連続のこれをクリアーできなかった問題となった以上、
安保選手本人の準備や管理方法を振り返ることは不可欠だ。
同時に、前回の経験を踏まえ、今回の計量に向けてどのような対策が講じられていたのかも検証されるべきだろう。
■ 残り1分で最後の計量へ 伝達ミスを防ぐ仕組みはあったのではないか!?
検査終了直前の時間管理をめぐる経緯だ。
安保選手は終了まで残り1分という段階で最後の計量に挑もうとしたものの、
伝達ミスによって登場が13時の段階に約10秒だけだが遅れた。
なぜ終了時刻が迫るまでに、選手本人への連絡と行動確認が十分に行われなかったのかという疑問が生じる。
計量のように厳格な時間制限がある手続きでは、選手本人が時間を把握することは当然として、周囲のスタッフも残り時間を共有し、余裕を持って行動できるよう管理することが重要だ。
例えば、終了5分前に最終確認を行い、選手を取り巻く関係者が検査場所に向かうタイミングや、必要な手続きが残っているかを関係者間で確認していれば、直前の混乱を回避できた可能性は高い。
仮に時間内に検査を受けられたとしても、
体重とハイドレーションの規定をクリアできたかどうかは別問題であるとは、いえ明確な結果は残せた。
選手本人の判断や記憶だけに依存する運用では、リスクを十分に管理できていないと言える。
必要なのは、誰か一人の注意力に頼ることではなく、
連絡の担当者、確認のタイミング、最終的な行動確認を明確にした仕組みだ。
今回の経緯は、計量当日の選手側の連携に管理体制が適切に機能していなかった。
■ 英語で正確に意思疎通できるスタッフの存在も重要
ONE Championshipは国際的に活動する団体であり、選手は試合契約や計量規定、検査手順など、競技に直結する情報を正確に理解しなければならない。
その際、言語面の支援は単なる利便性ではない。
ルールの解釈や手続きの期限を誤解なく把握し、必要な行動に結び付けるための重要な基盤となる。
英語での意思疎通が必要な場面では、通訳が言葉を置き換えるだけでなく、競技特有の用語や運営上の指示を正確に理解し、選手と関係スタッフの間で情報を共有できることが望ましい。
また、通訳が配置されているだけで、サポート体制が整っているとは限らない。
計量の手順や時間管理を把握する担当者、
主催者側との連絡窓口、緊急時の対応責任者が明確になっていることも重要だ。
今回、安保選手を支える通訳や専門スタッフがどのような体制で配置されていたのか、必要な情報が本人に正確かつ迅速に伝わる仕組みがあったのかについては、現時点で十分な情報がないため断定できない。
しかし、終了直前の伝達に行き違いがあった事実が起こった以上、
言語面の問題を含め、情報共有の仕組みが適切に機能していなかったと言える。
国際舞台で競技する選手にとって、ルールを理解できることと、現場で刻々と変化する状況に対応できることは同じではない。必要な情報を、必要なタイミングで、誤解なく伝える体制が求められる。
前回の計量問題を経験しているだけに、今回同じような失敗の再発の結果を今後にどう生かすかは、
本人と陣営にとって重要な課題。
今後の再発防止に向けては、少なくとも三つの視点が必要だ。
- 第一に、減量と水分管理の計画を科学的な知見に基づいて見直し、計量制度に対応した科学的な根拠に基づく準備を徹底すること。
- 第二に、計量当日の時間管理と連絡手順を明確にし、終了直前の行き違いを防ぐこと。担当者を定め、重要な連絡が本人に届いたかまで確認できる仕組みが望ましい。
- 第三に、英語での意思疎通を含め、国際大会の規定や運営に対応できる専門スタッフを確保し、選手が必要な情報を正確に理解できる環境を整えることだ。
これらは、選手の責任を軽減するための措置ではない。選手が自らの責任を果たし、競技力を最大限に発揮するために必要な条件を整える取り組みである。
今回の試合が実施されるかどうかは、主催者側の判断を待つ必要がある。
また、伝達ミスの原因や、サポート体制の具体的な問題点についても、
関係者の説明を踏まえた検証が欠かせない。

