速報 ONE SAMURAI 4 安保瑠輝也選手 ハイドレーション2度失敗の重い課題 尿比重1.0310、体重170.2ポンド…水分補給と計量の科学を理解していたか
10月17日に東京・有明アリーナで開催される格闘技イベント「ONE SAMURAI 4」。大会前日の16日に行われた公式計量で、安保瑠輝也選手がハイドレーションテストに2度失敗した。伝えられた数値は尿比重1.0310、体重170.2ポンド。ハイドレーションだけでなく体重面でも規定を超える状況となり、試合成立に向けて難しい局面を迎えた。
問題の核心は、単に水を飲んだかどうかではない。体内に取り込まれた水分がどのように吸収され、腎臓で調節され、尿の濃度に反映されるのか。そして、体重を管理しながら、決められた時間内に検査基準をクリアできる状態を整えられるか。ハイドレーション計量には、競技者として理解しておくべき生理学的な仕組みがある。
ONE Championshipのハイドレーションシステムでは、尿比重1.0250以下が合格基準となる。医療スタッフが尿のサンプルを屈折計などで測定し、水分状態を確認したうえで体重計量へ進む仕組みだ。
今回伝えられた安保選手の数値は1.0310。
基準値を上回っており、検査を通過できなかったことになる。
尿比重とは、尿に含まれる溶質などの影響を反映する指標で、水分が不足して尿が濃縮されると高くなる傾向がある。ただし、尿比重は体内の水分量そのものを直接測定する数値ではない。食事、運動、発汗、直前の水分摂取、採尿のタイミングなどによっても変動する。
それでも、ONEがこの数値に明確な基準を設けている以上、選手は検査直前だけでなく、計量に至るまでの水分管理を計画的に行う必要がある。
■ 水を飲めば、すぐに尿比重が下がるわけではない
ハイドレーションを理解するうえで重要なのは、水分を飲む行為と、検査で合格できる尿が形成されるまでの時間には差があるという点だ。
飲んだ水分は胃から腸へ移動し、主に小腸などで吸収されて血液循環に入る。
その後、体内の水分バランスを調整するため、腎臓が尿の量や濃さを変化させる。
こうした調節には、抗利尿ホルモンなどの働きも関係する。
つまり、口から水を飲んだ瞬間に、採尿される尿の濃度が一斉に変わるわけではない。
水分摂取後の反応は、直前までの脱水状態、発汗量、食事内容、腎臓の調節機能、摂取した水分量などによって異なる。検査直前に慌てて水を飲んでも、次の採尿で必ず基準値を下回るとは限らないのだ。
反対に、短時間に大量の水を飲めばよいというものでもない。過剰な水分摂取は血液中のナトリウム濃度を低下させる水中毒につながる危険性があり、体調を損なうおそれがある。
重要なのは、検査の直前だけに対処するのではなく、日頃から自分の発汗量や体重変動、水分摂取量を把握し、専門家の管理のもとで計量までの準備を整えることだ。
■ ハイドレーションと体重は別々の問題ではない
今回、もう一つの焦点となったのが体重だ。安保選手の体重は170.2ポンドと伝えられた。
体重はポンドで表示され、170.2ポンドは約77.2キログラムに相当する。
今回の試合での契約体重ば77.1kg以下 ONEライト級での試合となる。
これで体重、水分量ともにクリアーできなかった。
水分補給と体重管理は、互いに影響し合う。水分を摂取すれば、その分だけ一時的に体重が増える。一方、脱水によって体重を落とそうとすれば、尿が濃縮され、ハイドレーションの基準をクリアできなくなる可能性がある。
ONEがハイドレーション検査を採用しているのは、過度な脱水による危険な減量を抑え、選手の健康と安全を守るためだ。単に体重計の数字を合わせるだけではなく、一定の水分状態を確保したうえで契約体重を満たすことが求められる。
ここに一般的な体重管理とは異なる難しさがある。
■ 2度の失敗から問われる準備と判断
ハイドレーションテストでは、飲水のタイミングだけでなく、前日までの水分管理、食事、トレーニング後の発汗、睡眠、計量当日の行動など、複数の要素が結果に影響する。
スポーツ科学の研究でも、格闘技選手の尿比重は脱水や再水和の過程で変動する一方、尿の数値だけで全身の水分状態を完全に判断することには限界があると指摘されている。
そのため、2度の失敗だけを根拠に、安保選手がハイドレーションの仕組みを理解していなかったと断定することはできない。ただ、同じ検査で複数回基準を超えたのであれば、計量に向けた準備や水分管理の計画を検証する必要がある。
特に、体重も規定を超えている状況では、ハイドレーションをクリアすることと体重を合わせることを同時に考えなければならない。
片方だけを優先すれば、もう一方の問題が残る可能性があるからだ。
【2度目の計量が終わって残り1時間6分】
■ 残り時間との戦い 焦りが判断を難しくする
計量の制限時間が迫ると、選手や陣営には大きなプレッシャーがかかる。
残り1時間という状況であれば、
検査に向けた対応と体重調整の両方が、より難しい課題になる。
ただし、時間が少なくなったからといって、短時間での大量飲水や極端な発汗による調整が安全な選択になるわけではない。
尿比重の変化には個人差があり、再検査での合格を保証する方法はない。
ここで重要なのは、検査結果を踏まえて医療スタッフや専門家と状況を確認し、
健康面を最優先に判断することだ。
ハイドレーションと体重の双方で超過が生じれば、対応すべき課題が重なり、時間的な余裕も失われていく。
こうした状況が、明日の試合に向けて
次の判断を難しくする負の連鎖につながる可能性が高い。
【文:高須基一朗 瞬刊モッツ 編集部】



