ONE FF167=「一度敗れた相手」に雪辱 イーヤン・シェン選手が強烈なヒジで竹添翔太選手を圧倒 ムエタイ戦で見せた“別の顔”

2026.8.21
【©️ONE Championship 】

一度は敗れた相手を、わずか1分あまりで3度も倒した。

タイ・バンコクのルンピニースタジアムで8月21日に開催された「ONE Friday Fights 167 & The Inner Circle 27」。ONEフライ級ムエタイで、イーヤン・シェン選手(中国)が竹添翔太選手を1R1分03秒、TKOで下した。

 

決着の鍵となったのは、ムエタイならではのヒジだった。

今年3月、両者はキックボクシングルールで対戦している。そのときは激しい接戦の末、竹添選手がスプリットデシジョンで勝利。シェン選手にとっては、今回が明確なリベンジマッチだった。

しかし、同じ顔合わせでも、ルールが変われば戦いの構図も大きく変わる。


 

▪️キックボクシングとは異なる「ヒジとヒザ」の攻防

前回の対戦では、竹添選手の左右のミドルキックと、シェン選手のパンチがぶつかり合う展開となった。

だが、今回はムエタイルール。ヒジとヒザが解禁され、組みの攻防も重要な意味を持つ。

このルール変更を、より鮮やかに生かしたのがシェン選手だった。

立ち上がりからジャブを突きながら前進すると、竹添選手が右カーフ、左インカーフで迎え撃つ。その距離でシェン選手は早くもヒジを見せ、左右のフックを連続して繰り出した。

パンチで前に出るだけではない。ロープ際へ追い込めばヒジを振り、組めばヒザを打つ。

距離を変えながら攻撃をつなげるシェン選手に対し、竹添選手もジャブやローキック、ワンツーで応戦。近距離ではヒザを繰り出し、真っ向から打ち合った。

それでも、ラウンドが進むにつれてシェン選手の存在感が際立っていった。

 

▪️一瞬のカウンターが試合を変えた

決定的な場面は、ヒジの攻防の中で訪れた。

竹添選手が左ヒジで踏み込もうとした瞬間、

シェン選手は右の縦ヒジをカウンターで合わせる。

これが竹添選手を捉え、最初のダウン。

勢いに乗ったシェン選手は、すぐさま追撃した。

右ヒジを連打して2度目のダウンを奪うと、さらに距離を詰める。

そして最後も右ヒジだった。

連続攻撃によって竹添選手からこの試合3度目のダウンを奪い、レフェリーが試合をストップ。シェン選手がTKO勝利を手にした。

前回は判定で涙をのんだ相手に対し、今回はムエタイルールで鮮烈なフィニッシュ。

リベンジマッチは、単なる再戦では終わらなかった。

 

▪️Bigbang王者・竹添選手に臆することなく進化を見せたシェン

竹添選手は、Bigbangで実績を積み上げてきた実力者だ。

2024年には久保一馬選手を破って第7代Bigbangフェザー級王座を獲得。その後、一度は王座から陥落したものの、2025年11月には平澤優聖選手との延長戦を制し、Bigbangスーパーフェザー級王座を手にしている。

接近戦でのパンチの連打と豊富な手数を持ち味とし、長いラウンドでも攻撃の勢いを維持できるスタミナも大きな武器だ。

一方のシェン選手も、今回の勝利によって自身の引き出しを印象づけた。

パンチを中心とした前進圧力だけではなく、ミドルキック、ヒザ、そして決定打となったヒジ。前回のキックボクシング戦では見られなかった、ムエタイという競技の中での攻撃力を存分に発揮した。

わずか1分03秒。

3度のダウンを奪う圧巻のフィニッシュで、

前回の敗戦を見事に帳消しにしたシェン選手だった。


【文:高須基一朗】