RIZIN王者シェイドゥラエフが契約更新へ 榊原CEO「サヨナラにはならない」―UFC市場を見据えた駆け引きも浮き彫りに

2026.7.21

【両団体が打ち出すキービジュアルも互いに、画像左側の赤コーナーポジションの位置を映し出す画像になっているのも対照的だ】

RIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手(25=キルギス)が、現行契約満了後もRIZINと新たな契約を締結する見通しとなった。榊原信行CEOは「新たな契約を交わすことをシェイドゥラエフ選手は納得している」と明言し、UFCへの即時流出を否定。世界最高峰を目指す有望株を巡る各団体の獲得競争と、マネジメント会社の存在感が改めて浮き彫りとなった。


 

7月20日に行われた記者会見では、シェイドゥラエフ選手と、元Bellatorフェザー級ワールドグランプリ王者で現在PFLに所属するAJ・マッキー選手(31=米国)が対戦することが正式発表された。RIZIN王座とPFL王座を懸けた史上初のダブルタイトルマッチとなり、非UFCフェザー級戦線を代表する一戦として世界中から注目を集めている。

榊原CEOは、このビッグマッチ実現までの舞台裏についても言及。「PFLが新体制となって以降、トップ選手同士を交流させる構想があった」と明かし、7月上旬から本格交渉を開始したことを説明した。AJ・マッキー選手側のエージェントも前向きな姿勢を示し、最終的な条件調整は開催発表直前まで続いていたという。

一方で、注目されたのがシェイドゥラエフ選手の去就だった。仙台大会後、榊原CEOは契約が残り2試合であることを公表しており、その才能からUFC移籍の可能性もたびたび取り沙汰されてきた。

しかし今回は、「北米でUFCとも深い関係を持つマネジメント会社とも交渉を重ねながら進めている」と説明。そのうえで、「契約終了後もRIZINと新たな契約を結ぶことについて本人は納得している」と強調し、「この試合で勝って終わり、という形にはならない」と残留への見通しを示した。

 

▪️UFCを巡る争奪戦と、中央アジア勢を支えるマネジメントの存在

近年、UFCや世界タイトルのボクシングではダゲスタンやチェチェンを含むロシア圏に加え、キルギス、カザフスタン、ウズベキスタンなど中央アジア出身選手の活躍が急速に増えている。こうした地域の有望選手は、キャリア初期から国際的なマネジメント会社やエージェントが契約交渉を担うケースが一般的となっており、団体間の交渉においても重要な役割を果たしている。

海外メディアでも、UFCは中央アジアを新たな成長市場の一つとして位置付けていると報じられており、世界各団体も将来性の高い選手を囲い込む動きを強めている。一方で、「特定のエージェントがキルギス勢やロシア勢を支配している」と断定できる公的な事実は確認されておらず、選手ごとに異なるマネジメント体制のもとで契約交渉が進められているのが実情だ。

今回、榊原CEOが「UFCと関係の深いマネジメント会社」との協議を明かしたことは、シェイドゥラエフ選手の将来的なキャリアを見据えた上で、RIZINとUFC市場の双方を意識した交渉が進められていることを示唆する発言として受け止められる。

 

▪️世界市場を見据えたRIZINの戦略

シェイドゥラエフ選手は現在25歳と伸び盛りで、世界的にもフェザー級屈指の有望株と評価されている。榊原CEOも「PFL王者となり、さらに無敗を維持すればUFCへの可能性はより高まる」と将来的な挑戦の可能性を否定しなかった。

その一方で、RIZINとしては、世界的な価値を持つ王者をすぐに手放すのではなく、国際戦略の中核として育成・発信し続ける考えを鮮明にしている。PFLとのダブルタイトル戦は、単なる団体対抗戦ではなく、世界市場を見据えたブランド戦略の一環ともいえる。

シェイドゥラエフ選手を巡る契約更新は、一人の王者の去就にとどまらず、RIZIN、PFL、そしてUFCという世界三極のパワーバランスを映し出す象徴的なケースとして、今後もその流れを注視していきたい。


【文:高須基一朗】