UFCゲイジーが壮絶死闘を制しライト級王座統一!“無敗王者”トプリアを逆転TKO、MMA史に刻まれる名勝負

2026.6.15

【©️UFC】

米国MMA界を代表する激闘王が、再び歴史を塗り替えた。

UFC世界ライト級王座統一戦で、暫定王者ジャスティン・ゲイジーが正規王者イリャ・トプリアを4ラウンド終了TKOで下し、悲願の統一王座戴冠を果たした。試合は序盤こそトプリアが圧倒的なプレッシャーを見せたものの、後半に入るにつれてゲイジーが持ち前のスタミナと精神力で流れを引き寄せる。まさにライト級史に残る壮絶な総力戦だった。


 

試合開始直後から両者は一歩も引かなかった。

ゲイジーは得意のジャブとアッパーを軸に迎え撃ち、トプリアは鋭い右ストレートとボディ攻撃で前進。レスリングとボクシングを巧みに織り交ぜながら攻防を展開したゲイジーに対し、トプリアは重圧をかけ続ける王者らしい戦いを見せる。

 

第1ラウンドはトプリアの勢いが際立った。

右ストレートを次々とヒットさせ、ボディへの集中攻撃でゲイジーをケージ際まで追い込む。ダーティーボクシングから腹部へ連打を浴びせるなど、ライト級最強王者の実力を存分に発揮した。

第2ラウンドに入ると、その流れはさらに加速する。

トプリアはジャブ、フック、ボディブローを立て続けに打ち込み、ついにはゲイジーを前方へ崩れ落ちさせることに成功。すぐさまグラウンドへ移行すると、マウントポジションからパウンドを浴びせ、腕十字や三角マウントも仕掛けるなど完全支配。打撃、レスリング、寝技のすべてで優位に立ち、「トプリア時代」の到来を予感させる内容だった。

しかし、この試合が歴史的名勝負となった理由は、ここからのゲイジーの反撃にある。

第3ラウンド、ゲイジーはクリンチワークを増やし、ボディへのヒザ蹴りで王者の消耗を誘う。序盤から受け続けたダメージをものともせず、ジャブを軸にペースを立て直すと、ワンツーやアッパーで徐々にトプリアの前進を止め始めた。

さらに終盤には右ストレートで王者の動きを止める場面も作り出す。

跳びヒザや左ハイキックまで織り交ぜながら攻勢を強め、

完全に流れを引き寄せることに成功した。

チャンピオンシップラウンドに向けて、試合の空気は明らかに変わっていた。

第4ラウンド開始前、ドクターはトプリアの視界や反応を慎重に確認。

一度は続行に難色を示したものの、再チェックの末に試合継続が認められた。

だが、この頃にはダメージの蓄積が王者を蝕んでいた。

ゲイジーはアッパーを中心に攻勢を強め、ボディロックからテイクダウンも成功。

スクランブルの展開でも主導権を握り続ける。

トプリアも執念で右ストレートやテイクダウンを返したが、

視界へのダメージは深刻で、被弾のたびに苦悶の表情を浮かべた。

それでも王者は最後まで前へ出た。

ボディロックからテイクダウンを奪いマウントを奪取するなど、絶対王者の意地を見せる。しかし、ゲイジーは驚異的な粘りで立ち上がり、

ボディへのヒザ蹴りを連発。王者の動きを確実に削り取っていった。

そして4ラウンド終了後、トプリア陣営が試合続行不可能を申告。

約20分にわたり繰り広げられた壮絶な死闘は、

ゲイジーのTKO勝利という形で幕を閉じた。

 

試合後、新王者となったゲイジーは会場を埋め尽くした大観衆の前で、

米軍や警察官、消防士、救急救命士らへ感謝を述べた上で、こう語った。

「最初の数ラウンドが厳しいことは分かっていた。でもチャンピオンシップラウンドに入れば、誰も俺を止められない。レバーへの攻撃は本当に効いた。それでも乗り越えられたのは努力を積み重ねてきたからだ。母から受け継いだメキシカン・ウォリアーの魂と、父譲りの強い骨がある。今日、このケージで人生最高の試合ができた」

近年のUFCライト級戦線は、トプリアの無敗街道によって新時代の到来が語られてきた。

しかし、この夜、最後に立っていたのはベテランのゲイジーだった。

才能と勢いで頂点へ駆け上がった王者と、修羅場を知り尽くした激闘王。

その対決は、単なる王座統一戦ではない。MMAという競技の持つ残酷さと美しさ、

そして「経験」という見えない武器の価値を改めて証明する素晴らしい名勝負だった。


【文:高須基一朗】