テイラー・スウィフトさんが自身の声を商標登録申請 AI時代の“音声権利”保護へ動き

2026.4.28

【from Taylor Swift official Instagram】

4月28日配信のAFP報道によると、米人気歌手のテイラー・スウィフトさんが、米国特許商標庁(USPTO)に対し、自身の声に関する商標登録を申請していたことが明らかになった。生成AIの進化により、著名人の声が無断で再現・利用されるリスクが高まる中、音声そのものの権利保護を視野に入れた動きとみられる。


 

申請では、テイラー・スウィフトさんの音声サンプルとして2種類の録音が提出された。いずれも「Hey, it’s Taylor」というフレーズから始まり、2024年10月初旬にリリースされたアルバム『The Life of a Showgirl』の告知内容が含まれている。また、別途提出された書類には、ステージ上の写真も添付されており、申請の詳細は現時点で明らかにされていない。

同様の動きは他の著名人にも広がっている。

米俳優のマシュー・マコノヒーさんも2026年1月、

AIによる自身の声の無断使用を防ぐ目的で、USPTOに商標登録を申請している。

 

■ 背景にある「AI音声クローン」の急拡大

近年の生成AIは、わずかな音声データから本人そっくりの声を再現する「ボイスクローン」技術を急速に発展させている。これにより、

・本人の許可なく広告やコンテンツに声が使われる

・フェイク音声による誤情報拡散

・ブランド価値や信用の毀損

といったリスクが現実的な問題として浮上している。

特に音声は肖像と異なり、従来は明確な権利枠組みが整備されていない側面もあり、今回のような「商標」による保護は新たなアプローチとして注目される。

 

■ 法的観点・・・声は守れるのか

音声の無断使用を巡る法的論点は主に以下の3つに整理される。

① パブリシティ権(人格的価値の保護)
著名人の声や外見が持つ経済的価値を保護する考え方。米国では州ごとに法制が異なるが、「声」も保護対象となるケースがある。

② 商標権による保護
特定の音声やフレーズが「ブランド識別」として機能する場合、商標として登録可能。今回の申請はこの枠組みを活用し、「スウィフトの声=本人」という結びつきを法的に強化する狙いとみられる。

③ 著作権との関係
声そのものは著作物ではないため、単純な模倣だけでは著作権侵害とならない場合が多い。そのため、商標やパブリシティ権といった別の法的手段が重要になる。


■ AI時代の権利戦略としての意味

今回の動きは単なる個人の権利保護にとどまらず、エンターテインメント業界全体に影響を与える可能性がある。

・アーティストが「声」そのものを資産として管理

・AI企業に対する牽制とルール形成の促進

・将来的な音声ライセンスビジネスの拡大

といった新たな潮流の起点となることも考えられる。

 

生成AIがもたらす利便性とリスクが交錯する中、

「声」という極めて個人的かつブランド性の高い要素をどう守るのか。