Netflix独占のWBC 飲食店などでの店内上映は可能か!? 「放送」と「ネット配信」の決定的な違いを法的に読み解く
2023年大会では地上波中継が列島を熱狂させたWBC。しかし今回のワールド・ベースボール・クラシックは、米動画配信大手のNetflixによる国内独占配信となり、地上波やBSでの放送は行われない。
この“配信限定”という形態の変化が、飲食店やバーにとっては大きな法的分岐点となる。店内モニターで試合を流し、いわゆるパブリックビューイング(PV)を開催することは可能なのか。著作権法の構造から整理する。
▪️地上波中継なら原則適法だった理由
著作権法上、「放送」と「インターネット配信」は明確に区別されている。
地上波やBSといった「放送」に該当する番組については、家庭用テレビ受信機を用いてそのまま店内で視聴させる行為は、特段の改変や拡大再送信を伴わない限り、原則として適法と解されてきた。営利目的であっても、通常のテレビ受信の範囲内であれば、直ちに著作権侵害とはならないのが実務上の理解である。
そのため、プロ野球中継やサッカー日本代表戦をスポーツバーで流す光景は、これまで一般的に見られてきた。
▪️Netflix配信は「放送」ではない!!
しかし、今回のWBCは事情が異なる。
Netflixの配信は、著作権法上の「放送」には該当せず、「自動公衆送信」として扱われる。これは、インターネット回線を通じて、利用者の求めに応じて送信される形態を指す法概念だ。
この違いが決定的だ。
放送に関する特例規定は適用されず、店舗内で再生して不特定多数の客に視聴させる行為は、「公衆に対する上映」や「公衆送信」に該当し得る。権利者の許諾がなければ、著作権侵害と評価される可能性が高い。
▪️利用規約という“もう一つの壁”
さらに見落とせないのが契約上の問題である。
Netflixの利用規約は、コンテンツを「個人的かつ非商業的な用途」に限定し、世帯外との共有や商業利用を明確に禁じている。仮に著作権法上の議論を脇に置いたとしても、無断で店内上映を行えば契約違反となる。
結果として、
・アカウント停止
・契約解除
・損害賠償請求
といったリスクが現実的に想定される。
▪️公式PVはなぜ可能か!?
もっとも、許諾を得た場合は別である。
主催者側は全国約150カ所で公式パブリックビューイングを開催すると発表している。これは、権利処理を正式に行った上でのイベントであり、法的問題はない。
大会を主催するワールド・ベースボール・クラシック(WBCI)および配信事業者との契約に基づく正規の催しだからだ。
▪️「テレビと同じ感覚」は通用しない
最大の誤解はここにある。
「これまでテレビ中継を流して問題なかったのだから、今回も同じだろう」という発想は、法制度上は成り立たない。放送とネット配信は別物であり、適用される法規制も異なる。
結論として、許諾なしに店舗でNetflix独占配信のWBCを上映する行為は、著作権侵害および契約違反の双方のリスクを伴う可能性が高い。
配信時代においては、映像の視聴形態そのものがビジネスモデルの中核だ。
“盛り上がり”を優先した安易な判断が、思わぬ法的責任を招く・・・
Netflix側が、どういった取り締まりを国内、世界で執り行うかで、
今後の展望は変わるが、法的に判断材料から察するにリスクは相当に高い。
その点を、飲食などの店舗側は十分に認識しておく必要がある。

