UFC333 = ヤンがドバリシビリとの接戦を制す 5R判定勝ちでバンタム級王座防衛「俺は誰とでも戦う」
UFC世界バンタム級王者ピョートル・ヤン(ロシア)が、メラブ・ドバリシビリ(ジョージア)との3度目の対戦を制し、王座防衛に成功した。
5分5ラウンドで争われたタイトルマッチは、序盤にドバリシビリが組み技で攻勢をかけた一方、ヤンが中盤から打撃で巻き返す展開となった。
判定は48-47が3者とも一致する3-0。
ヤンが接戦をものにし、王者の座を守った。
■過去2戦は1勝1敗 決着をつける3度目の対決
両者の対戦は今回が3度目。2023年3月の初対戦ではドバリシビリが判定勝ちを収め、2025年12月の再戦ではヤンが判定3-0で勝利してバンタム級王座を奪還した。互いに1勝1敗で迎えた今回は、勝ち越しを懸けたラバーマッチとなった。
ドバリシビリは2024年9月、ショーン・オマリーに判定勝ちして王座を獲得。その後もウマル・ヌルマゴメドフ、オマリー、コーリー・サンドヘイゲンを相手に勝利を重ねたが、2025年12月のヤンとの再戦で敗れ、UFCでの連勝が14で止まった。
一方、ヤンは2020年7月、ジョゼ・アルドを5ラウンドTKOで下して王座を獲得。しかし、アルジャメイン・スターリングとの初防衛戦では、グラウンド状態の相手への反則のヒザ蹴りにより失格負けを喫した。
その後、暫定王座を獲得したものの、スターリングとの王座統一戦で敗北。さらにオマリー、ドバリシビリにも敗れ、3連敗を経験した。
それでも2024年3月にソン・ヤドンを判定で下して再起すると、デイブソン・フィゲイレード、マーカス・マギーにも勝利。2025年12月のドバリシビリ戦で王座を取り戻し、今回の防衛戦に臨んだ。
■メラブが序盤をリードヤンは組み技を封じて反撃
1、2ラウンドは、エラブが持ち前の無尽蔵の運動量を生かして攻勢に出た。
右カーフキックやハイキックで打撃を散らしながら、シングルレッグやダブルレッグで繰り返し組みつく。1ラウンド終盤にはテイクダウンにも成功し、序盤の主導権を握った。
対するヤンは、テイクダウンを仕掛けられても素早く立ち上がり、相手の組み技に対応。2ラウンドもメラブが手数を維持したが、ヤンは決定的な形で倒される場面を減らしていった。
流れが変わり始めたのは3ラウンド。ヤンはドバリシビリの前進にパンチを合わせ、右のボディストレートや左ミドルキックで反撃する。さらにアッパーを当て、腹部への攻撃で相手の動きを削っていった。
メラブは再びテイクダウンを狙ったが、ヤンは足を抜いて立ち上がり、組み技による連続攻撃を許さない。相手の強みを封じながら、自らの打撃を当てる展開へと持ち込んだ。
4ラウンドもメラブは、やはり組みつきを繰り返したものの、ヤンは冷静に防御。
ジャブや左ボディ、フック、アッパーを返し、打撃の応酬でも存在感を示した。
終盤には左ミドルキックを当て、接戦のまま最終ラウンドへと向かった。
■最終ラウンドもヤンが攻勢 3-0の判定で王座防衛
勝負の5ラウンド、ヤンはメラブのシングルレッグを切り、組み際や離れ際にパンチを繰り出した。組みでの攻防だけでは明確な差が出てないと判断材料に
右カーフキックやハイキックで打撃も応戦し、最後ではやはり組み技から活路を見いだそうとしたが、ヤンは攻撃をその単調な動きに打撃で圧力を強めていく。
右のアッパーや飛びヒザ蹴りに加え、左ボディ、左フック、左ミドルキックを的確にヒット。ドバリシビリは前進を続けたものの、終盤にはテイクダウンを狙う動きにも勢いを欠き、ヤンが攻勢を保ったまま試合終了のブザーを聞いた。
判定は48-47が3者とも一致する3-0。
ヤンがメラブを返り討ちにし、UFC世界バンタム級王座の防衛に成功した。
■「彼が息切れするだろうと分かっていた」ヤンが明かした勝因
試合後のケージ内でのインタビューで、元UFC王者のダニエル・コーミエー氏は、序盤にドバリシビリの組み技を受けながら、後半に自分のリズムをつかんだヤンの試合運びに注目。相手の動きを読みながら、徐々にペースを上げる戦略だったのかと質問した。
ヤンは、試合序盤は本来の動きに入るまで時間が必要だと説明。そのうえでメラブが前進を続ければ、いずれスタミナを消耗すると考えていたことを明かした。
「彼が前に出すぎて息切れするだろうと分かっていた。やがて動きも読めるようになると思っていた。だから時間をかけて、彼が力を使い果たすのを待つ必要があった」
相手の運動量に正面から付き合うのではなく、テイクダウンを防ぎながら打撃を当て、試合の流れが変わる瞬間を待つ。今回の勝利には、ヤンの冷静な判断と試合運びが表れていた。
アブダビの観客から大きな声援を受けたことについては、応援してくれる人々への感謝を表明。息子やファンの前で王座を守れたことへの喜びをにじませた。
次の挑戦者について問われると、ヤンは「俺はチャンピオンだ。誰のアドバイスも聞かない。この団体が次の挑戦者を連れてくればいい。俺は誰とでも戦う準備ができている」と宣言。ソン・ヤドンらの名前を挙げ、相手が規定体重をクリアすれば対戦する意思を示した。
■ドバリシビリは敗北を認める「彼は私より上だった」
一方、王座奪還を逃したメラブは、試合後のインタビューでヤンを称賛。
準備の過程で犠牲を払ってきたことにも触れながら、
思い描いていたパフォーマンスを発揮できなかったとの認識を示した。
「俺は言い訳をするのが好きじゃない。もっと上手くやれたはずだ。ピョートル・ヤンと彼の家族におめでとうと言いたい。いい試合だった。彼は私より上だった。今日の勝者は彼だ。改めておめでとう」
過去2戦を1勝1敗で分け合った両者の対決は、ヤンの2勝1敗で決着した。
組み技に耐えながら後半に打撃で優位に立ったヤン。
王者としての組みとレスリングへの対応力を示した一戦となった。
今後はUFCが次期挑戦者をどう選定するのかが焦点となる。
ヤンは誰とでも戦う姿勢を明確にしている。


