UFCヘビー級戦線に激震―3階級制覇へ挑むペレイラ 祖先の誇りを背負い歴史的挑戦 ホワイトハウス決戦でガヌと激突
【©️UFC】
6月15日(日本時間)、米国・ホワイトハウス敷地内で開催される『UFC Freedom 250』を前に、前日計量が行われた。最大の注目を集めたのは、ヘビー級暫定王座決定戦で対峙するアレックス・ペレイラ選手(ブラジル)とシリル・ガヌ選手(フランス)だ。両者はそれぞれ113.85キロ、112.49キロで計量をクリアし、歴史的な一戦への準備を整えた。
今回の試合が特別な意味を持つ理由は、単なるタイトルマッチではない。
ペレイラ選手にとっては、UFC史上でも限られたファイターしか成し遂げていない
「3階級制覇」への挑戦だからだ。
ミドル級、ライトヘビー級で王座を獲得したペレイラ選手は、昨年10月にマゴメド・アンカラエフ選手へのリベンジを果たして王座に返り咲いた後、さらなる高みを目指してライトヘビー級王座を返上。今年2月から本格的な更に一つ上の階級のヘビー級転向に踏み切った。
計量会場に現れたペレイラ選手の肉体は、かつてのライトヘビー級時代とは明らかに異なっていた。鋭く割れた腹筋こそ目立たなくなったものの、肩幅や胸郭、背中の厚みは大幅に増し、“ヘビー級仕様”へと進化したビルドアップした姿を披露。
長年の課題だった体格差を埋めるための準備が着実に進んでいることを印象付けた。
一方のガヌ選手も負けてはいない。
ムエタイをベースにした打撃技術と高い運動能力を武器に、これまで数々のトップファイターと渡り合ってきた実力者だ。ジョン・ジョーンズ選手やフランシス・ガヌー選手ら世界最高峰との戦いを経験してきたキャリアは、現在のヘビー級戦線でも屈指の実績と言える。
そんな両者の対面以上に大きな話題を呼んだのが、
公開フェイスオフでのペレイラ選手の姿だった。
顔を鮮やかな赤で彩り、伝統的な装飾をまとって登場したペレイラ選手。その姿は単なるパフォーマンスではない。彼のルーツであるブラジル先住民族「パタショー(パタソ)族」の文化を表現したものだ。
パタショー族はブラジル北東部を中心に暮らす先住民族で、独特のフェイスペイントや羽飾り、儀礼的な歌や踊りなどの伝統文化を現在も受け継いでいる。ペレイラ選手はこれまでも入場時やフェイスオフで同族の文化を取り入れており、世界最大の総合格闘技団体の舞台で、自身のアイデンティティーを発信し続けてきた。
現代の格闘技ビジネスでは、強さだけでなく「物語」が選手の価値を高める。
ペレイラ選手が世界的スターへと駆け上がった背景には、キックボクシングから総合格闘技への転向、2階級制覇という実績だけでなく、先住民族の誇りを背負う象徴的なキャラクター性もある。
フェイスオフでは両者とも終始冷静な表情を崩さず、最後は握手を交わしてステージを後にした。しかし、その静けさとは裏腹に、この一戦がUFCヘビー級の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めていることは間違いない。
3階級制覇という歴史的偉業に王手をかけるペレイラ選手か。
それとも、ヘビー級戦線の実力者ガヌ選手が待ったをかけるのか。
ホワイトハウスを舞台に行われる異例のビッグマッチは、
UFCの歴史に新たな1ページを刻むことになる。
【文:高須基一朗】



