ボクシング山口瑠が初出場で金メダル 55キロ級で日本勢52年ぶりの快挙…最後は3―2の激戦を制す【アジア大会】

2026.10.2

アジアの強豪が集う舞台で、22歳の山口瑠選手が歴史に名を刻んだ。

2日に西尾市総合体育館で行われたアジア大会のボクシング男子55キロ級決勝で、駒澤大学の山口選手がフィリピン代表のカルロ・パアラムを3―2の判定で破り、初出場で金メダルを獲得した。

この階級で日本勢が金メダルを手にするのは、1974年テヘラン大会の石垣仁以来。実に52年ぶりで、史上3人目となる快挙だった。


 

▪️初出場とは思えない安定感 準決勝まで3試合連続の5―0

今大会の山口選手は、決勝までの道のりでも強さを見せていた。

初戦から準決勝までの3試合はいずれも5―0の判定勝ち。相手に主導権を渡さず、安定した試合運びで勝ち上がった。

アジア大会のボクシングは、3分3ラウンドで構成され、5人のジャッジによる採点で勝敗が決まる。

しかもアジアは、世界のボクシング界でも屈指の激戦区だ。

2024年のパリ五輪では、全13階級のうち9階級でアジア勢が金メダルを獲得。世界トップクラスの選手が集まる地域だけに、アジア大会で頂点に立つこと自体が容易ではない。

その舞台で、初出場の山口選手は決勝まで一度も判定を割らせることなく勝ち上がった。

 

▪️決勝は一転して接戦 序盤から正確なパンチで主導権

決勝の相手は、フィリピンのパアラム。

山口選手は第1ラウンドから距離を意識しながら、的確にパンチを当てていった。

相手の攻撃に対しても不用意に打ち合うのではなく、距離を取ってパンチを空振りさせる場面をつくる。ジャッジの評価も山口選手に傾き、第1ラウンドは5人中4人が山口選手を支持した。

ただ、パアラムも簡単には引かなかった。

第2ラウンドに入ると、開始直後から前へ踏み込み、積極的に攻撃を仕掛ける。山口選手もパンチを返し、試合の主導権を維持したものの、このラウンドはジャッジ3人が山口選手、2人がパアラムを支持する接戦となった。

そして勝負の第3ラウンド。

パアラムはさらに圧力を強め、距離を詰めながら攻撃を続けた。山口選手もパンチを返して応戦したが、終盤まで緊張感の続く展開となった。

最終的な判定は3―2。

僅差ながら5人のジャッジのうち3人が山口選手を支持し、初出場での金メダルが決まった。

 

▪️「52年ぶり」が示す55キロ級の歴史

今回の金メダルを特別なものにしているのが、55キロ級における日本勢の長い空白だ。

1974年テヘラン大会で石垣仁が金メダルを獲得して以来、日本選手はこの階級で頂点に届いていなかった。

そこから52年。

山口選手はその歴史を塗り替え、同階級で日本勢史上3人目となるアジア大会王者に名を連ねた。

しかも、初出場での達成だった。

大会序盤から決勝まで安定した採点を積み重ね、最後は3―2という接戦を勝ち切った。圧倒的な内容だけでなく、最後まで勝負を崩さなかったことも、今回の金メダルを印象づける結果となった。

 

▪️22歳の新たな実績 日本ボクシング界にも大きな一歩

アジア大会の金メダルは、単なる大会結果にとどまらない。

世界のトップ選手が集まるアジアの舞台で、22歳の山口選手が初出場から頂点に立ったことで、今後の国際大会に向けても新たな実績を積み上げた。

準決勝までの3試合では5―0の判定勝ちを続け、決勝では相手の圧力を受けながら3―2で勝利。

相手や展開が変わっても試合をまとめ、最後までポイントを争える強さを示した。