那須川天心が朝倉未来に魂のエール「みんなのためじゃなく、自分のために戦え」
▪️世界を知り、世界一を目指す男だからこその言葉
ボクシング・バンタム級WBC世界ランク1位の那須川天心が18日、都内で行われた『Prime Video Boxing 13』(6月8日・有明コロシアム)の対戦カード発表会見に登壇。WBA6位のビクトル・サンティリヤン(ドミニカ共和国)との対戦が正式に決まった。そして、囲み取材では、自身の試合より一足先にビックマッチを戦う“戦友”朝倉未来に向け、熱いエールを送った。
RIZIN時代から共に格闘技界を盛り上げてきた那須川と朝倉。動画での共演や私生活での交流も深く、互いの心情を理解する数少ない存在だ。そんな那須川が、復帰戦を控える朝倉の胸中を想像しながら放った言葉は、ただの激励ではなかった。戦いの意味を知る者にしか語れない、深く、力強いメッセージだった。
「相当大変な舞台に立たされているなと思います」と、東京ドームでの復帰戦を前にした朝倉に心を寄せる。「試合が流れたり、相手が変わったり……本来の“リベンジ”という目的を失っている中で、みんなのためにリングに立つっていうのは、想像以上にしんどいことです」
しかし、那須川は続けて核心に迫る。
「でもね、一番伝えたいのは、みんなのためじゃなくて“自分のために戦ってほしい”ということ。自分のために戦わなければ、絶対に勝てない。俺はそう思っているから」
世界を目指し、幾度となくプレッシャーと向き合ってきた那須川だからこそ語れる真理。観客やファンの期待を超える戦いを見せ続けてきた彼もまた、幾度となく「自分自身との戦い」を経てきた。
その言葉には、飾り気のないリアルと、闘志の奥底にある優しさが滲んでいた。
朝倉は昨年7月の『超RIZIN.3』で平本蓮に敗れ、一度は引退を宣言。しかし大晦日の『雷神番外地』で現役復帰を表明、再戦が予定されていたが、平本の怪我により中止。代わって、前フェザー級王者・鈴木千裕との試合が決定している。
そんな朝倉の復帰戦からおよそ1ヶ月後、那須川はサンティリヤンとの“世界前哨戦”に臨む。「ここからが本当の勝負。今年はまだまだ面白くなる。この試合でも、しっかりと狼煙を上げたい」と、覚悟をにじませた。
世界の強豪と常に闘う場に身を置く那須川天心選手のリアルな言葉ゆえに、
その言葉の重みをも強い。
戦いの意義を見失いかけそうな朝倉未来選手への“道しるべ”と言えるだろう。