与座優貴選手が再起戦で鮮烈な復活劇 ダウン奪取の完勝 世界戦線へ再び名乗り

2026.7.17

【©️ONE Championship 】

世界王座への挑戦で味わった悔しさを、わずか数か月で

勝利へのエネルギーへと変えてみせた。

7月17日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された「ONE Friday Fights 162」のバンタム級キックボクシングマッチで、与座優貴選手(team VASILEUS)が英国のベン・ウーリス選手(Soma Fight Club)と対戦。3ラウンド終盤には鮮やかなダウンを奪うなど試合を完全に支配し、3-0の判定で文句なしの勝利を収めた。

4月にONE世界王者ジョナサン・ハガティー選手への挑戦で惜しくも王座獲得を逃した与座選手にとって、この一戦は再起を懸けた重要な舞台だった。しかし、その内容は「復調」を示すだけではない。世界のトップ戦線に再び食い込むだけの完成度と対応力を証明する、

価値ある試合となった。


 

▪️王者挑戦を経て、さらに磨かれた試合運び

与座選手は極真空手世界王者として名を馳せた後、2019年にキックボクシングへ転向。K-1王座獲得をはじめ、RISE、ONE Championshipと戦う舞台を広げ、日本を代表する軽量級ファイターへと成長を遂げてきた。

昨年は元ONE王者ペッダム選手や元王者ペッタノン選手、さらにスーパーレック選手ら世界屈指の強豪を次々と撃破。今年4月には満を持してハガティー選手の持つ世界王座へ挑戦したものの、あと一歩及ばず判定負け。その敗戦を経て迎えた今回の試合には、与座選手自身の進化が問われていた。

対するウーリス選手は、3月のONEデビュー戦で元UFC王者ジョン・リネカー選手をKOで下した実力者。スイッチを多用する独特のリズムと多彩な蹴りを武器とする技巧派であり、決して楽な相手ではなかった。

 

▪️ローキックで主導権を掌握 試合を通して崩れなかったペース

第1ラウンドから与座選手は冷静だった。

相手の細かなスイッチワークにも動じることなく、鋭い左インローと三日月蹴りを軸に試合の流れをコントロール。ウーリス選手のジャブやミドルキックにも落ち着いて対応し、距離を詰めながら確実にダメージを蓄積させていく。

ウーリス選手は機動力を生かして動き続けたものの、与座選手のローキックは徐々に効果を発揮。終盤には相手が足を気にする場面も見られ、試合の主導権は完全に与座選手へと傾いていた。

第2ラウンドでも攻勢は変わらない。

左右のローキックを散りばめながら、三日月蹴りやミドルキックを的確にヒット。パンチ主体で流れを変えようとするウーリス選手に対しては、堅いガードと巧みなディフェンスでほとんど決定打を許さず、随所で余裕すら感じさせる試合運びを披露した。

▪️圧巻のダウン奪取 世界戦線復帰を強烈にアピール

勝負を決定づけたのは最終ラウンドだった。

反撃を狙うウーリス選手が前へ圧力を強めた瞬間、与座選手は冷静にタイミングを読み切る。ヒザ蹴りから左フックのカウンターを鮮やかに合わせると、ウーリス選手はバランスを崩してダウン。会場を大きく沸かせる決定的な一撃となった。

その後も与座選手は慌てることなく試合をコントロール。相手の連打をしっかり防ぎながら左ミドルや左フックを返し、最後まで攻撃の手を緩めなかった。試合終了のゴングまで集中力を切らさず戦い抜き、ジャッジ3者すべての支持を集める3-0の判定勝利を飾った。

▪️「敗戦」を財産へ変えた一勝 再び世界王座への視界が開ける

今回の勝利で評価されたのは、単なる白星ではない。

ハガティー選手との世界戦で得た経験を糧に、試合運び、ディフェンス、攻撃の組み立て、そのすべてに一段階の成長が見えたことが大きい。テクニカルな相手を相手に焦ることなく主導権を握り続け、最後はダウンという最高の形で締めくくった内容は、世界トップクラスの実力を改めて印象づけるものだった。

ONEキックボクシングのバンタム級戦線は現在、ハガティー選手を筆頭に実力者がひしめく激戦区となっている。しかし、この日の与座選手が見せた完成度を考えれば、再び世界タイトル戦線の中心へすぐさま浮上することになるだろう。


【文:高須基一朗】