『VIVANT』続編にタイ人気俳優起用の深意 アジア市場を見据えた“TBS戦略”が浮上

2026.6.16

【©️TBS】

俳優の堺雅人さんが主演を務めるTBS系日曜劇場『VIVANT』第2シーズン(7月26日スタート)の新キャストとして、女優の宮下今日子さんと、タイの人気俳優・アーティストであるタナパック・ジョンジャイパーさん(=通称OHM)の出演が発表された。


 

今回の発表で注目を集めているのは、単なる新キャストの追加という話題性だけではない。タイ国内で高い知名度を誇るOHMの起用からは、『VIVANT』が国内視聴率だけでなく、アジア圏を視野に入れたコンテンツ戦略を進めている可能性も見えてくる。

 

近年、日本のドラマ業界はNetflixやDisney+、Prime Videoなどの世界的な配信プラットフォームの拡大に伴い、「国内向け作品」から「海外販売を前提とした作品」へと制作思想そのものが変化しつつある。特に東南アジア市場では日本アニメの人気が根強く、日本発コンテンツへの関心は高い。

一方で実写ドラマ分野では韓国作品が圧倒的な存在感を示しており、日本作品は市場開拓の余地を残している。

そうした状況下で、『VIVANT』は前作からモンゴルロケを敢行し、多国籍キャストを積極的に起用してきた。今回のタイの人気俳優を起用も、その延長線上にあるとみられる。現地でファン層を持つ俳優をキャスティングすることで、アジア各国におけるサブスクリプション配信やディレイ放送時の認知拡大につなげる狙いが透けて見える。

実際、近年のエンターテインメント市場では「作品を海外へ売る」のではなく、「海外の視聴者を最初から取り込む」ことが重要なテーマとなっている。

韓国ドラマが世界市場で成功した背景にも、多国籍展開を前提とした制作体制があった。『VIVANT』もまた、日本ドラマとしては異例のスケールでその領域へ踏み込もうとしている。

また、日本コンテンツの強みであるアニメ市場との相乗効果も無視できない。

東南アジアでは『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』など日本アニメへの支持が非常に厚く、「日本発コンテンツ」というブランド自体への信頼感が存在する。TBSとしても、そうした日本カルチャーへの関心層を実写ドラマへ取り込む狙いがあると考えられる。

もちろん現時点では、OHMの役柄や物語上の立ち位置は明かされていない。

しかし今回のキャスティングは、単なる話題作りではなく、『VIVANT』という巨大IPをアジア市場へ本格的に拡張していく布石と見ることもできる。

前作が国内で社会現象級のヒットを記録した『VIVANT』。

続編では物語のスケールだけでなく、ビジネス面においても「日本ドラマの海外展開モデル」として新たな挑戦を始めようとしている