RISE 原口健飛選手が 世界最強 ペットパノムルン超え 5年越しの悲願成就…日本人初の偉業
敗北の記憶を、努力で塗り替えた。
6月6日に東京・EBARA WAVE ARENAおおたで開催された「OURO presents RISE WORLD SERIES 2026 TOKYO」で、原口健飛選手がペットパノムルン・キャットムーカオ選手との4度目の対戦を制し、GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT STANDING TOURNAMENTを制覇。日本人選手として初めて、“世界最強”の壁を打ち破った。
2021年から続いた苦闘の日々。過去3度敗れ、“越えられない王者”として立ちはだかってきたペットパノムルン選手に対し、原口選手は本戦3R、延長1Rの計7ラウンド・21分間を戦い抜き、ついに歴史を変えた。
「もう勝てないままで終わるのかもしれない」。
そんな敗北の記憶を、自らの拳で塗り替えた夜だった。
6月6日、東京・EBARA WAVE ARENAおおたで行われた「OURO presents RISE WORLD SERIES 2026 TOKYO」。1年間にわたり15カ国・23選手が争ってきたGLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT STANDING TOURNAMENT。その頂点に立ったのは、原口健飛選手だった。
相手は、“世界最強”の名をほしいままにしてきたペットパノムルン・キャットムーカオ選手。過去3度対戦し、いずれも敗北。
日本人キックボクサーにとって、長らく越えられない壁として存在してきた絶対王者だった。
しかし4度目の対戦となった今回、原口選手はついにその歴史を書き換える。
本戦3ラウンド、延長1ラウンド―合計4ラウンド、12分間に及ぶ死闘。
その時間は、単なる試合時間ではない。
2021年から積み上げてきた苦悩、研究、敗北、執念、
そのすべてが凝縮された“人生の12分間”だった。
序盤、ペットパノムルン選手はこれまで通りの完成度を見せた。
鋭い左ミドル、飛び込んでの左ストレート、巧みな間合い支配。原口選手は1Rで右目下を腫らし、過去の敗戦が脳裏をよぎっても不思議ではない展開だった。
それでも、この日の原口選手は崩れなかった。
中盤以降、徹底したボディ攻撃が静かに機能し始める。右の三日月蹴り、ヒザ、ボディストレート。ペットパノムルン選手が誇ってきた盤石のリズムを、少しずつ削り取っていった。
特筆すべきは、その“継続力”である。
一撃の偶然ではない。全ラウンドを通じて戦術を遂行し続けたからこそ、世界王者を追い詰めることができた。前に出続け、蹴り返し、削り続ける。
その反復には、5年間を積み重ねてきた努力の重みが滲んでいた。
3R終盤には、ペットパノムルン選手が完全に下がる場面も目立ち始める。
これまで世界中の強豪たちを封じ込めてきた王者を、
日本人選手が力量を見せつけて圧力で押し込んでいく。
その光景自体が、ひとつの時代の転換点だった。
本戦はドロー。
勝負は延長戦へともつれ込む。
ここで原口選手は止まらなかった。
軸足払いで2度転倒を奪い、ボディを削り、力強い前蹴りも多様し出続ける。対するペットパノムルン選手はクリンチが増え、手数も減少。準決勝、決勝、決勝延長、合計7ラウンドの21分間の積み重ねが、ついに世界王者の身体を蝕んでいた。
判定3-0。
勝利が告げられた瞬間、原口選手は雄叫びを上げ、マットを叩きながら感情を爆発させた。その姿は、“トーナメント優勝”という言葉だけでは到底片付けられないものだった。
「ペッチと出会って(戦って)5年、長かったです。やっと乗り越えたぞ!」
涙ながらに絞り出したその言葉には、この5年間の全てが詰まっていた。
さらに原口選手は、「今日・・・負けたら諦めようと思っていた」とも明かした。
勝てないまま終わる物語を、自分自身で受け入れようとしていたという告白。
その極限状態を越えたからこそ、この勝利はより深く胸を打つ。
日本人初のペッチ超え―。
それは単なるリベンジではない。日本キックボクシング界が長年追い続けてきた“世界最強”への到達点であり、同時に、努力を積み重ねた者が最後に辿り着ける景色を証明した瞬間でもあった。
【文:高須基一朗】

