YURA選手が語る「KOへの転換」と原口健飛選手戦が意味するキャリアの分岐点

2026.5.31

【©️RISE】

6月6日に大田区総合体育館で開催される『OURO presents RISE WORLD SERIES 2026』。その中核を成すのが、65kg級世界最強決定トーナメント「GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT STANDING TOURNAMENT」準決勝である。

RISEのエース・原口健飛選手と対峙するのは、急激な成長曲線を描く新鋭・YURA選手だ。

短期間で「KOファイター」としての評価を確立した背景には、

意外にも“ローカル完結型”とも言えるトレーニング環境の選択がある。

【主催者インタビューより原稿構築】

 

▪️「地元・宮崎」で完結する調整という合理性

YURA選手は現在、宮崎を拠点とし、トレーニングの大半を地元で完結させている。

序盤こそ出稽古にも出ていたが、現在はほぼ完全に地元での調整へと移行しているという。

スパーリングパートナーの数という観点では都市圏のジムに劣る側面は否めない。それでもYURA選手は、それを“制約”ではなく“適応条件”として受け止めている。

「スパーリングの面では確かにそうかもしれないですけど、練習環境としてはすごく良いので、自分には合っていると思います」

環境の優劣ではなく、“自己適合”としてトレーニングを語る点に、この選手の特徴が表れている。

また、弟のAIRA選手の存在も練習環境を補完する重要な要素となっている。

 

▪️KOの再定義・・・BreakingDownがもたらした意識変化

YURA選手のキャリアにおける最大の転換点は、“倒すこと”への価値観の変化にある。

「BreakingDownに出てから“倒す”ということにこだわるようになって、KOしたいという思いでやってきた結果、実際にKOできるようになってきました」

これは単なる技術向上ではなく、“目的設定そのものの変化”である。

結果として4連続KOという成果が生まれているが、それは結果論に過ぎず、むしろ先にあったのは「KOを前提とした競技設計」である。

 

▪️原口健飛選手戦の意味「かつて勝てないと思った相手」

準決勝で対峙するのは、RISEを象徴する存在である原口健飛選手だ。

YURA選手にとってこのカードは、単なるトーナメントの一試合ではない。

過去、同じJTTで軽いスパーリングを経験した際には、率直にこう語っている。

「これはきついな。勝てないなと思っていました」

しかし現在、その認識は明確に更新されている。

「全然違うと思います」

当時と現在の差分は、単なる経験値ではなく、“倒せる選手になったかどうか”という一点に収束している。

近年の戦績により、YURA選手への評価は上昇している。

一部では原口健飛選手有利と見られていた構図も、現在では拮抗、あるいはYURA選手有利という見方すら出ている。

ただし本人は、その評価に過度に引きずられることはない。

「期待される分、その期待に応えないといけない気持ちは強いです」

ここには、外部評価を“義務”として受け止める構造が見て取れる。

 

▪️決勝を想像しないという戦略

興味深いのは、決勝戦の具体的イメージをほとんど持っていない点である。

「全くしていないですね(笑)」

これは感覚的な発言ではなく、1dayトーナメント特有の合理性とも言える。

未確定の未来像にリソースを割かないことで、直近の試合に集中する構造だ。

一方で優勝賞金1000万円については、現実的な視点も示している。

「車が好きなので、その足しにできれば・・・」

戦略の中心は一貫している。

「今は原口健飛選手を倒すことだけに集中しています」

さらにその先についても、明確に区切りを置いている。

「その後は自分の強さでいくだけです」

準決勝と決勝を“別次元”として処理する認知構造が特徴的である。

YURA選手の現在地は、単なる新鋭の台頭ではない。

宮崎という限定環境での自己最適化、BreakingDownによる価値観の変容、

そして原口健飛選手というRISEのシンボル象徴的存在との対峙。

これらはすべて、“世界基準への接続プロセス”という一つの線上にある。

準決勝は、そのプロセスが実効性を持つかどうかを測る最初の試金石となる。


【文:高須基一朗】