永久追放はなぜ下されたのか―NBA規約が定める「賭博との絶対的断絶」

2026.2.28

【©️Seattle Super hawks】

違法賭博関与によりNBAから永久追放処分を受けたジョンテイ・ポーターが、独立リーグUSBLでの復帰を目指している。だが、この一件は単なる“不祥事”ではない。NBAの根幹を揺るがしかねない規約違反だった。


 

▪️NBA憲章が定める「賭博禁止条項」

NBAの行動規範は、リーグ憲章(NBA Constitution)および団体協約(CBA)に明記されている。とりわけ重いのが、試合結果や個人成績に影響を与える目的での賭博行為だ。

主なポイントは以下の通りだ。

 

選手・コーチ・スタッフはNBAの試合、ドラフト、個人成績等に対する賭博を一切行ってはならない

・試合結果や選手の出場状況に関する非公開情報の提供も厳禁

・試合の公正性を損なう行為(意図的なパフォーマンス操作)は重大違反

・違反が認定された場合、無期限出場停止または永久追放が可能

 

NBAは公式パートナーとしてスポーツベッティング企業と提携している一方で、選手自身が関与する行為については「ゼロトレランス(不寛容)」を徹底している。リーグの信頼性は“競技の公正性”に依存しているからだ。

 

▪️「プロップベット」が触れた危険水域

ポーターの問題は、単なる賭博参加ではない。所属していたトロント・ラプターズ在籍中、ケガや体調不良を装い出場時間を短縮し、個人成績に関する「プロップベット」で第三者が利益を得られるようにした疑いだった。

これは規約上、試合操作(Game Manipulation)に該当し得る最重度の違反と位置づけられる。NBA憲章第35条では、リーグの誠実性を損なう行為についてコミッショナーが広範な裁量を持つと規定している。結果、永久追放という最重処分が下された。

 

▪️海外移籍も阻まれた背景

一時はギリシャのプロミテウスB.C.加入を模索したが、連邦判事が海外渡航を許可せず頓挫。現在は量刑言い渡しを控える立場にある。

その中でのUSBL復帰は、司法的責任と競技人生を並行させる異例のケースとなる。

同様の疑惑は他選手にも波及している。テリー・ロジアー(マイアミ・ヒート所属)も別件の捜査対象となったと報じられたが、本人は無罪を主張している。

米国ではスポーツベッティングが合法化され市場が急拡大。NBAもビジネスとしてはその恩恵を受ける一方、競技の公正性確保というジレンマを抱える。

 

▪️永久追放の意味

NBAにおける「永久追放」は、事実上の競技資格剥奪だ。再登録にはコミッショナーの承認が必要で、極めて例外的。歴史的にも数例しか存在しない。

ポーターの復帰はNBAへの復帰ではない。しかし、リーグが示した厳罰の重みと、選手が他リーグでプレーを続けられる現実。そのコントラストは、スポーツと賭博の関係が新たな局面に入ったことを示している。