ミラノ冬季五輪 視線が語った“終わらない戦い” 高木美帆選手 銅メダルの先に燃え続ける闘志

2026.2.10

「このままでは終わらせない」3大会連続表彰台でも満足なきエースの覚悟

最初の種目で早速のメダル獲得となるが、その色に納得できず

表彰台に立つ高木美帆選手の目は、静かに・・・しかし強烈な光を放っていた。

【©️JOC】

ミラノ・コルティナ五輪スピードスケート女子1000メートルが

9日、ミラノ・スピードスケート競技場で行われ、

前回北京大会金メダリストの高木美帆選手(31=TOKIOインカラミ)は1分13秒95で3位。3大会連続のメダル獲得となり、五輪通算8個目のメダルで日本女子最多記録を更新した。


 

それでも、レース直後の表情に達成感はなかった。
優勝したユタ・レールダム(オランダ)とは同走。1秒64という明確な差を突きつけられ、「今の実力。完敗です」と短く語った言葉に、敗者としての潔さと、次を見据える覚悟がにじんだ。

メダルを首にかけても、視線は遠くを見つめたまま。「ああ、銅なんだ……悔しさが一気にこみ上げてきた」。連覇を逃した現実を真正面から受け止めながらも、その瞳に宿っていたのは失望ではない。明確な“闘志”だった。

今大会初戦は、あえて細かなプランを立てずに臨んだ。「自分が出せる最大限のスピードを、できるだけ早く」。その言葉通り、序盤200メートルは全体2位の17秒61。積極的な滑りでレースを支配しにいった。
しかし、ラスト1周でレールダムが一気に加速。勝負は決した。それでも高木は崩れなかった。「自分のスケーティングを全うできた」。その姿勢が、確実に表彰台へとつながった。

五輪通算8個目のメダルという数字についても、本人は一切浮かれない。

「7個はもう過去。今は目の前のレースだけ」。淡々とした言葉の裏に、頂点だけを見続けるアスリートの思考があった。
コーチのヨハン・デビット氏は「銅でも、これは8個目だ。簡単なことじゃない」と功績を称えたが、その評価すら、高木の闘志に油を注ぐ材料でしかない。

メダル獲得後、日の丸を背負ってリンクを滑った。そこには選手、コーチ、スタッフの名前が書き込まれている。「チームジャパンは、いつでもつながっている」。その言葉とともに、背中には個人競技を超えた覚悟が刻まれていた。

表彰式で深々と頭を下げた瞬間、胸に浮かんだのはただ一つ。
「このままでは終わらせない」。

残る3種目。金メダルへの挑戦は続く。
銅メダルを手にしてなお、視線は頂点から一度も逸れていない。
高木美帆の五輪は、まだ始まったばかりだ。