雨にも 逆境にも動じない19歳の完成度―車いすテニス小田凱人選手が全豪2度目Vで示した「王者の条件」
【©️Australian Open 】
世界最高峰の舞台で、19歳の若き王者は一切の動揺を見せなかった。
テニスの全豪オープン車いす部門男子シングルス決勝で、
小田凱人選手がスペインのマルティン・デラプエンテをフルセットの末に下し、
2年ぶり2度目の優勝を果たした。
試合は雨による中断、さらにはコート移動という不測の事態に見舞われながらも、
最後に主導権を握ったのは小田選手だった。
▪️「相性の良さ」が通用しない立ち上がり
決勝の相手となったデラプエンテに対し、小田選手は過去の対戦成績で
15勝2敗と大きく勝ち越している。数字だけを見れば、優位は明らかだった。
しかし、その“相性”が序盤から通用しない。第1セット、小田は力強いショットで押し込まれ、サービスゲームを2度ブレイクされる展開に。主導権を握れないまま、第1セットを落とした。
だが、この苦しい立ち上がりこそが、この試合の本質を際立たせることになる。
▪️技術と判断力で流れを引き戻す第2セット
第2セットに入ると、小田選手のプレーは一変する。
深い位置から放たれるバックハンドで空いたコートを的確に突き、ラリーの主導権を奪い返す。必死に回り込んで放ったバックハンドがラインを射抜くと、会場の空気は一気に小田に傾いた。
勢いだけではない。状況を読む力、ポイントを取り切る判断力が随所に光り、第2セットを奪って試合を振り出しに戻した。
▪️雨による中断、それでも崩れなかった集中力
だが、流れを完全に引き寄せたかに見えたその矢先、試合は雨のため中断。
およそ1時間後、屋根のあるコートへ移動して再開されるという、
選手にとっては集中力の維持が難しい状況が訪れた。
それでも小田選手は動じなかった。
再開後の最終第3セットでも、プレーの精度は落ちない。ゆるく上がったボールには冷静にドロップショットを選択し、鋭いリターンで相手の動きを封じる。試合の流れを読む能力が、ここでも際立った。
▪️逆転勝利が示した「19歳の完成度」
迎えたチャンピオンシップポイント。小田選手は迷いなく豪快なショットを打ち抜き、フルセットの逆転勝利で大会を締めくくった。
2年ぶり2度目の全豪制覇。
その結果以上に印象的だったのは、逆境やアクシデントの中でもプレーの質を落とさなかった精神的な成熟度だ。
19歳という年齢を考えれば、すでに“完成度の高い王者”と呼んでも過言ではない。

