【ONE】吉成士門選手が示した“完成形”タイ強豪を封殺し無傷の4連勝
【©️ONE Championship 】
12月19日(日本時間)、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Friday Fights 137』。
フライ級ムエタイの一戦で、日本ムエタイ界が誇る技巧派ファイター吉成士門選手(エイワスポーツジム)が、その実力を改めて世界に刻み込んだ。
対戦相手は、ONEフライデーファイツ常連のタイ強豪デッドゥアンレック・ワンコンオームMBK。
内藤大樹選手を相手にムエタイ、キックの両ルールで勝利を重ねてきた実力者だが、この日は開始から終了まで主導権を握ることはできなかった。
結果は判定3-0。数字以上に、内容は一方的だった。
■「何もさせない」その言葉が誇張でない試合内容
試合序盤から、士門選手は距離感と防御の完成度で相手を上回る。
1ラウンド、デッドゥアンレックが放つミドルやローを冷静にカットしながら、士門選手はカーフキックとインローで確実にダメージを蓄積。
無理に前へ出ず、“削るべき場所”を外さない戦いぶりが際立った。
2ラウンドに入ると明確にギアを上げる。
左ボディからのパンチ連打、右ストレートとテンポの速いコンビネーションで主導権を完全に掌握。スピード、角度、手数―そのすべてが噛み合い、デッドゥアンレックは対応が後手に回る場面が続いた。
終盤にはフックの連打で相手のバランスを崩し、左ミドルを何度も突き刺す。
タイ強豪が“考える時間”を奪われていく様子が、はっきりと見て取れた。
■最終ラウンドは実力差を誇示する展開に
3ラウンド、デッドゥアンレックは意地を見せて前進を試みる。
しかし士門選手は慌てない。首相撲からヒジ、ヒザ、パンチの連打へと自然に移行し、コーナーへ追い込むと連続したヒザ蹴りで圧力をかけ続けた。
ダウンこそ奪えなかったものの、攻防の質と主導権は明確。
このラウンドは、勝敗を決めにいくというよりも、「差」を示す時間だった。
■4連勝の裏にある“安定感”と進化
士門選手は、日本ムエタイ界の至宝・吉成名高選手の従兄弟として知られる存在だが、もはやその肩書きは不要だろう。
ジュニア時代から積み上げてきた技術と経験は、ONEという世界最高峰の舞台で確実に結果へと結びついている。
今年3月のONE日本大会での勝利、8月のTKO勝利、そして11月のノーコンテストという不運を経て迎えた今大会。
その中で見せたのは、勢いではなく完成度で勝つムエタイだった。
派手さよりも確実性。
攻め急がず、相手の強みを消し、最後まで崩れない。
判定3-0という結果以上に、内容が示す価値は大きい。
吉成士門選手の連勝は「4」で止まる気配がない。
大会結果
『ONE Friday Fights 137』
2025年12月19日(日本時間)/タイ・ルンピニースタジアム
▼フライ級ムエタイ
○吉成士門(エイワスポーツジム)
判定3-0
●デッドゥアンレック・ワンコンオームMBK(タイ)


