NewJeans 未成年時代の契約書を米紙が入手 HYBE・ADORは全面反論…相次ぐ内部資料流出 情報提供者は同一人物なのか?
NewJeansのメンバーが未成年だった2022年に締結した専属契約書の内容が、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によって明らかになった。美容整形やスキンケアに関する費用負担、未成年者の権利保護、契約終了後の肖像や音声の利用など、複数の条項が議論を呼んでいる。
一方、今回の報道で見過ごせないのが、契約書や関係者間のメールといった内部資料が海外メディアに提供された経緯だ。
HYBE・ADORは11月6日、当事者しか保有していない契約書や訴訟資料が海外メディアに流出したと指摘。契約内容への反論とともに、情報流出そのものについても問題提起した。
ただし、現時点で情報提供者が誰なのか、過去の内部情報流出と同一人物によるものなのかは確認されていない。情報の出所をめぐる推測が先行する一方で、肝心の契約内容や締結過程については、双方の説明を照らし合わせる必要がある。
▪️未成年時代にまで遡り・・・締結した契約書 NYTが入手した内容とは
NYTは11月5日(現地時間)、NewJeansのメンバー5人が14~17歳だった2022年にADORと締結した専属契約書を入手し、その内容を分析したと報じた。
契約書は複数の法律専門家によって検討され、韓国の弁護士からは「異例なほど攻撃的な契約」との評価も出たという。
特に注目されたのが、美容に関する費用負担だ。
契約書には、整形手術やスキンケア、体型矯正などに会社が支出した費用の相当部分を、メンバー側が返済することを定めた条項が含まれていたとされる。
また、グループ関係者2人はNYTに対し、所属事務所が一部メンバーにデビュー前の美容整形施術を勧めていたと証言した。
これに対してHYBE側は、本人の意思に反して整形手術や施術を勧めた事実はないと反論。練習生時代に発生した費用についても、会社が負担しており、メンバーに債務を負わせていないとの説明を行った。
ここで区別すべきなのは、契約書に費用負担の条項が存在したという報道と、実際にメンバーが整形費用を支払ったかどうかは別の問題だという点だ。
契約条項の存在だけで、メンバーが実際に費用を負担したと断定することはできない。
▪️未成年者の保護条項をめぐり 双方の主張が対立
NYTが問題視したもう一つのポイントが、未成年者の権利保護に関する規定だ。
報道によると、契約書には韓国政府の標準専属契約書に盛り込まれている、未成年者の身体的・精神的健康、教育、睡眠、休息などを保障する具体的な条項が十分に反映されていなかったという。
さらに、過度な身体露出や性的な表現を伴う活動、長時間労働を制限する規定についても、標準契約書との違いが指摘された。
NYTは関係者の証言として、練習生時代に午前2時までリハーサルが続くことも珍しくなかったと報道。メンバーが幼い頃から厳しい練習環境に置かれていた実態を伝えた。
これに対しHYBE・ADORは、練習生と政府標準の青少年向け付属合意書を締結しており、人格権、睡眠権、教育権、休息権などを保障していたと説明した。
また、NewJeansの専属契約書にも基本的人権を保護する条項が含まれており、未成年者の保護を軽視した契約ではないとの立場を示している。
つまり、今回の争点は専属契約書単体に記載がなかったという指摘だけでは終わらない。別途締結された付属合意書や関連する保護規定が、実際にどのような効力を持ち、どの範囲までメンバーを守っていたのかという検証も必要になる。
▪️CCTV設置や学業問題にも反論
NYTは、練習室に監視カメラ(CCTV)が設置されていたことや、
5人のうち4人が学校を中退したことも報じた。
こうした環境について、メンバーの自由やプライバシーが十分に確保されていたのかという疑問も生じている。
一方、HYBE・ADORは、CCTVは練習室などの共用スペースに設置されたもので、外部からの侵入や窃盗などを防ぐための安全対策だったと説明。設置と運用は関連法令に従っていたとしている。
学業についても、本人と保護者の意思を尊重しており、学校を辞めるよう強要した事実はないとの立場だ。
学校を中退したという結果だけで、所属事務所が学業を妨げたと判断することはできない。本人や保護者の意思、当時の活動環境、会社側の支援状況を分けて検証する必要がある。
▪️違約罰や契約終了後の肖像・音声利用にも疑問
契約書には「不誠実な態度」「自己管理の怠慢」「不適切な恋愛関係」などを禁止する条項も含まれていたとされる。
さらに、会社の名誉を傷つける可能性のある発言を制限する内容もあり、専門家からは、契約違反の判断において所属事務所側の裁量が広がりかねないとの指摘が出ている。
違約罰の算定方法も論点となった。
NYTは、実際に売上が発生した月だけを平均売上高の計算に反映する方式について、売上のない期間が除外されることで、平均額が高くなり、違約罰が膨らむ可能性があると分析した。
これに対してHYBE・ADORは、韓国の標準契約書にもデビューから2年未満のアーティストについて、実際に売上が発生した期間を基準とする規定があると説明。NewJeansの場合、デビュー直後から収益を上げていたため、経済的な効果は標準契約書と同じだと反論した。
さらに、契約終了後もメンバーの名前、顔、声などを利用できるとする条項について、NYTはAIによる音声複製やチャットボットへの活用も可能になる内容だと伝えた。
これに対してADORは、AIコンテンツへの利用には本人の個別同意が必要であり、契約終了後に別の事務所へ移籍したアーティストの権利を無断で利用する計画もないと説明している。
▪️契約書の作成責任は誰にあったのか
今回の報道を受け、HYBEとADORが特に強調したのが契約締結の経緯だ。
HYBE側によると、2022年1月7日に契約書の草案を共有し、同年4月の締結まで約3カ月にわたり、質疑応答やメールでのやり取り、メンバー側の弁護士による検討などを行ったという。
また、当時のADOR代表だったミン・ヒジン氏や副代表、メンバーと保護者、一部メンバーの法律代理人らが契約文言の調整に関与し、最終的に署名したと説明した。
HYBEはNYTに対しても、ミン・ヒジン氏が契約の主体だったことを記事に明記するよう求めたが、反映されなかったと主張している。
これに対し、ミン・ヒジン氏側は、当時ADORに独立した法務チームがなく、契約書の作成や修正はHYBEの法務チームが主導したと反論。契約の最終承認にはHYBE側の法務、財務、経営陣の合意や、HYBE側の人員が過半数を占めるADOR取締役会の承認が必要だったと説明した。
同じ契約書をめぐって、HYBE側とミン・ヒジン氏側で責任の所在について主張が食い違っている。
契約の作成、修正、承認の各段階で誰がどのような権限を持っていたのか。これは契約内容の評価だけでなく、当時の企業統治の実態を検証するうえでも重要なポイントとなる。
▪️なぜ内部資料が海外メディアに流出するのか
今回、もう一つ注目したいのが、契約書や社内メールなど、一般には公開されていない資料がNYTの手に渡った経緯だ。
ADORは11月6日の声明で、契約当事者しか保有していない契約書や訴訟資料が海外メディアに流出したと指摘した。
しかし、現時点でNYTが情報提供者を公表した事実は確認できず、
誰が資料を提供したのかは明らかになっていない。
過去の内部情報流出と今回の資料提供を結び付け、同一人物が関与しているのではないかという見方が出たとしても、それを裏付ける具体的な証拠がなければ事実として扱うことはできない。
そもそも、今回の契約書やメールがどのような経路でNYTに渡ったのか、誰が資料にアクセスできたのか、複数の関係者がそれぞれ情報を提供した可能性はないのか。現段階では、いずれも確認が必要な事項だ。
内部リークの人物像ばかりが話題になれば、本来検証されるべき契約内容や未成年者の権利保護という問題が後景に退いてしまう。
情報提供者が誰であれ、資料に記載された内容が事実なのか、双方の説明に食い違いがあるのかを確認することが先決だろう。
一方で、企業側にとって機密資料の管理は重要な責任であり、訴訟資料や契約書が外部に渡った経緯について説明を求める声が出ることも理解できる。
ただし、情報が流出したという事実と、
情報を提供した人物の動機や責任は別々に検証されなければならない。
▪️話題性よりも確認すべきは契約の実態
今回の報道は、NewJeansという世界的な人気グループの契約問題にとどまらず、K-POP業界における未成年アーティストの権利保護や、芸能事務所と所属アーティストの力関係を世界へ浮き彫りにした。
ただし、NYTが報じた契約条項の存在、HYBE・ADORが説明する別途の保護合意、実際の費用負担、契約交渉の過程は、それぞれ分けて判断するべきだ。
また、内部資料を提供した人物が誰なのかという問題についても、
現段階で特定の人物や同一人物説を事実のように扱うことは適切ではない。
内部情報の流出が繰り返されているのであれば、情報管理の仕組みや資料へのアクセス権限、外部への提供経路を検証する必要もある。
そして何より、議論の中心に置くべきなのは、未成年だったメンバーがどのような条件で契約を結び、その権利が実際にどこまで守られていたのかという点が大きい。

