“10年の進化”か!? “新世代の台頭”か!? 原口健飛選手が語るキャリアの転換点 YURA選手との準決勝が映すキックボクシング新時代
【©️RISE】
立ち技格闘技界において、世代交代の波は静かに、しかし確実に押し寄せている。6月6日、東京・大田区総合体育館で開催される『OURO presents RISE WORLD SERIES 2026』。GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT(-65kg)STANDING TOURNAMENT準決勝では、キャリア10年を迎えた原口健飛選手と、
急成長を遂げる新鋭・YURA選手が相対する。
【主催者インタビューより原稿構築】
単なるトーナメントの一試合ではなく、「経験と完成度」対「勢いと進化」という構図が色濃く浮かび上がる一戦だ。世界基準の戦いを積み重ねてきた原口健飛選手は、自身のキャリアを振り返りながら、“勝利のために自分を見失う危うさ”と向き合い続けてきたことを明かす。一方で対するYURA選手は、若さと成長速度を武器に、既存のヒエラルキーを揺さぶる存在として台頭している。
この一戦は、単なる勝敗以上に、キックボクシングという競技が抱える構造的な変化・・・ベテランの成熟と若手の加速が交差する転換点を象徴する試合となる可能性を秘めている。
■キャリア10年の分岐点に立つ原口健飛選手
「もう歳ですよ(笑)」。28歳となった原口健飛選手は、冗談交じりにそう語りながらも、RISEにおける自身の立ち位置の変化を冷静に受け止めている。
2017年のプロデビューから約10年。世界最高峰の舞台GLORYを含め、多くの国際戦を経験してきた軌跡は、順調な成長曲線というよりも、試行錯誤と修正の連続だったと言える。
「いろんなチャンスをもらいながら失敗してきた。その失敗があったからこそ、今回につながっている」
原口健飛選手はそう振り返る。
転機となったのは、チャド・コリンズ選手との一戦だったという。
相手分析を徹底するあまり、「勝つための戦略」に自分自身を過度に適応させてしまった経験だ。
「相手に勝つことだけを考えすぎて、自分がどうなりたいかを見失っていた」
格闘技における準備とは、本来“自分の強みを最大化する作業”であるはずだが、その試合では“相手の消去法”に傾きすぎたという自己分析がある。
この経験は、原口健飛選手の現在のスタンスに明確な変化をもたらした。
「自分の本能を信じることと、相手を理解すること。そのバランスを取り戻した」
■新鋭・YURA選手という存在
準決勝の相手となるYURA選手について、原口健飛選手は高い評価を示す。
「パンチ力もスピードもある。格闘技に対して本当に真面目で、強くなりたい気持ちが伝わる」
かつて同じジムで練習を共にした時期もあるが、現在の印象は大きく異なるという。
「成長スピードが異常に速い。あの若さであの志はすごい」
そこには、単なる対戦相手以上の評価と警戒が同居している。
「“原口健飛は、やっぱり強かった”と思ってもらえる内容にしたい」
それは、相手を否定する勝利ではなく、互いの評価を成立させる形での決着を意味する。
現代格闘技においては、単なる勝ち負けではなく、“どう勝つか”そのものが選手の価値を規定する時代に入りつつある。
さらに本大会は1日2試合を勝ち抜くワンデートーナメント形式であり、精神的・肉体的負荷は極めて大きい。
原口健飛選手は過去の経験を振り返りながら、「勝っても次の準備に追われるのは正直しんどい」と本音を漏らす一方で、その過酷さこそがトーナメントの本質でもあると理解している。
「俺たちの生き様を見てほしい」
原口健飛選手の言葉は、単なる意気込みではなく、キャリア10年の蓄積と試行錯誤の果てに辿り着いた一つの結論でもある。
経験か、進化か。
この準決勝は、その問いを可視化する日本トップ戦線の一戦となる。
【文:高須基一朗】

