木村拓哉さんが示した“スターの流儀”─観客400人にポップコーンを配った夜の意味

2026.2.4

俳優・木村拓哉さんが、また一つ「スターとは何か」を体現してみせた。

【© Fuji Television Network, Inc.】

3日、都内で行われた映画『教場 Requiem』(中江功監督、2月20日公開)の完成披露舞台あいさつ。会場に集まった約400人の観客一人ひとりに、木村拓哉さんが自らがポップコーンを手渡すという、前代未聞とも言える“粋な演出”が用意されていた。


 

この日登壇したのは、木村さんをはじめ、生徒役キャスト、監督ら計13人。

シックな濃紺のスーツに身を包んだ木村さんは、冒頭から「この場に同席してくださり、この作品を正面から受け取ってくださり、ありがとうございます」と、深々と感謝の言葉を述べた。その姿勢は、長年第一線に立ち続ける理由を雄弁に物語っていた。

本作は、木村拓哉さん主演のフジテレビ系ドラマ『教場』シリーズの集大成となる劇場版2部作の後編。警察学校を舞台に、義眼の教官・風間公親と、事情を抱えた生徒や卒業生たちの葛藤と成長を描いてきた物語は、コロナ禍という未曾有の状況と並走しながら紡がれてきた。

木村さんは「一作目から、現場でもコロナ禍を経験しました。これまで積み重ねてきた時間があったからこそ、今回の形にたどり着けた。みんなでゴール地点に集まれたら、という思いがありました」と語る。その言葉には、作品と仲間、そして観客への強い責任感がにじむ。

 

そして、この日の“サプライズ”が、前編・後編を通して約5時間に及ぶ上映を共にする観客へのプレゼントだった。木村の発案で用意されたのは、本作の世界観にちなんだ“退校届”付きのポップコーン。しかも配る役目を買って出たのは、主演の木村さん本人だった。

そして壇上で木村さんは 「人生の5時間を、俺たちにくれたので。長い時間スクリーンと向き合っていただけると聞いたので。今日は節分でもありますから、お豆も出口に用意しています。ぜひ持ち帰ってください」

その言葉にあったのは、気取ったスター然とした振る舞いではない。

観客の時間を“人生の一部”として真正面から受け止める、敬意だった。

スクリーンの中で厳格な教官を演じながら、スクリーンの外では誰よりも誠実に観客と向き合う。木村拓哉さんという存在が、なぜ長く支持され続けるのか。

その答えは、この夜の舞台あいさつに、はっきりと刻まれていた。