堤聖也選手、死闘の代償と次なる決意 ドネア戦の翌日に4時間の大手術「この経験は一生の財産」
壮絶な激闘の余韻が、痛々しい姿となって残っていた。
プロボクシングWBA世界バンタム級正規王者の堤聖也選手(29=角海老宝石)が18日、都内の所属ジムで会見を行い、元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)との団体内統一戦を振り返った。
前夜の試合では2―1の判定で競り勝ち、2度目の防衛に成功。
しかしながら、その勝利の代償は大きく、試合中に鼻を骨折。
目の下と鼻は大きく腫れ上がり、その表情は王者としての誇りと、
死闘の厳しさを雄弁に物語っていた。
「本当はサングラスをしたかったんですけど、負担がかかるからやめてくれと言われて……」
患部に氷のうを当てながら、堤選手は苦笑いを浮かべた。
試合翌日の朝方5時に就寝し、8時に起床、自らの足で朝には病院で約4時間にわたる整復固定術と裂傷の縫合処置を受けたばかり。
会見中に鼻血が出て一時中断する場面もあり、戦いの過酷さが生々しく伝わった。
それでも口調は晴れやかだった。
「今後も心に残る試合になる。あれだけ偉大なボクサーと戦えたことは、自分にとって大きな財産です」。
レジェンドとの真っ向勝負を経て、王者としての自覚と自信は確実に深まっていた。
今後は休養中の前王者ジェーソン・モロニー・バルガス(米国)との指名試合が既定路線とされるが、堤選手の視線はその先も見据えている。
熱望するのは、元4階級制覇王者・井岡一翔とのビッグマッチだ。
井岡選手が大みそかに臨むWBA世界同級挑戦者決定戦を視察する予定で、「やりたいのは井岡選手」と改めて明言。
ドネアに続く“レジェンド討ち”への挑戦に、王者はすでに次なる決意を固めている。
顔の傷が癒える頃、堤聖也選手の闘志は、さらに大きな舞台へと向かっている。
また、堤選手に痛恨の黒星を喫し、虎視眈々とリベンジマッチを狙っているであろう井上拓真選手との再戦も、選択肢として考えられる。
どちらにしても、堤選手を中心に、この階級の日本人同士の激闘の物語が2026年に展開されるのは間違いない。

