【ONE】止まらぬ日本勢の躍進―WBC世界王者・奥脇竜哉選手が強豪タイ人撃破、日本人ムエタイ層の厚さを証明
ONEチャンピオンシップのムエタイ戦線で、
日本人選手の存在感が日増しに高まっている。
12月19日(日本時間)、タイ・ルンピニースタジアムで行われたONEフライデーファイツ137。アトム級ムエタイに登場したWBCムエタイ世界フライ級王者・奥脇竜哉選手(25=エイワスポーツジム)が、地元タイの新鋭ペット・スアンルアンロッドヨーク(19)を相手に判定3―0の完勝を収めた。
これで奥脇選手は6連勝。
ONEではデビューから2戦2勝とし、日本人ムエタイ勢の層の厚さを改めて印象づけた。
試合は、まさにONEムエタイの象徴とも言えるハイテンポな展開となった。
奥脇選手は開始直後からカーフキックとローキックを連打し、タイ人選手の生命線である下半身を徹底的に削る。2回、ペットは右ストレートや鋭い肘、首相撲からの膝で巻き返しを図り、一時は主導権を奪いかけた。
しかし、ここで光ったのが奥脇の試合対応力だった。
距離を詰めてきたペットに対し、タイミングを外さず右ストレートを直撃。
会場をどよめかせる鮮やかなダウンを奪い、一気に流れを引き寄せた。
最終3回もペットは首相撲に活路を見いだそうと強引に前へ出るが、奥脇選手は左フックで侵入を許さず、最後は気迫あふれるパンチで前進。
強豪タイ人を相手に、内容でも上回る勝利をつかみ取った。
近年のONEでは、吉成名高選手、与座優貴選手らに続き、
日本人トップ選手が次々と結果を残している。
かつては「挑戦者」の立場だった日本勢が、いまや各階級で主役を張る存在へと変貌しつつあるのが現状だ。
WBC世界王者という肩書にとどまらず、
ONEの過酷な舞台で確かな勝利を積み重ねる奥脇竜哉選手。
その一戦は、日本人ムエタイ戦士の“層の厚さ”が
決して偶然ではないことを、はっきりと証明するものとなった。
【文:高須基一朗】



