【ONE】止まらぬ日本勢の躍進―WBC世界王者・奥脇竜哉選手が強豪タイ人撃破、日本人ムエタイ層の厚さを証明

2025.12.20

ONEチャンピオンシップのムエタイ戦線で、

日本人選手の存在感が日増しに高まっている。
12月19日(日本時間)、タイ・ルンピニースタジアムで行われたONEフライデーファイツ137。アトム級ムエタイに登場したWBCムエタイ世界フライ級王者・奥脇竜哉選手(25=エイワスポーツジム)が、地元タイの新鋭ペット・スアンルアンロッドヨーク(19)を相手に判定3―0の完勝を収めた。


 

これで奥脇選手は6連勝。

ONEではデビューから2戦2勝とし、日本人ムエタイ勢の層の厚さを改めて印象づけた。

試合は、まさにONEムエタイの象徴とも言えるハイテンポな展開となった。

奥脇選手は開始直後からカーフキックとローキックを連打し、タイ人選手の生命線である下半身を徹底的に削る。2回、ペットは右ストレートや鋭い肘、首相撲からの膝で巻き返しを図り、一時は主導権を奪いかけた。

しかし、ここで光ったのが奥脇の試合対応力だった。

距離を詰めてきたペットに対し、タイミングを外さず右ストレートを直撃。

会場をどよめかせる鮮やかなダウンを奪い、一気に流れを引き寄せた。

最終3回もペットは首相撲に活路を見いだそうと強引に前へ出るが、奥脇選手は左フックで侵入を許さず、最後は気迫あふれるパンチで前進。

強豪タイ人を相手に、内容でも上回る勝利をつかみ取った。

近年のONEでは、吉成名高選手、与座優貴選手らに続き、

日本人トップ選手が次々と結果を残している。

かつては「挑戦者」の立場だった日本勢が、いまや各階級で主役を張る存在へと変貌しつつあるのが現状だ。

WBC世界王者という肩書にとどまらず、

ONEの過酷な舞台で確かな勝利を積み重ねる奥脇竜哉選手。

その一戦は、日本人ムエタイ戦士の“層の厚さ”が

決して偶然ではないことを、はっきりと証明するものとなった。


【文:高須基一朗】