【ONE】11年ぶりのモンゴル人世界王者誕生!バータルフーが圧巻の一本勝ちでアンドラージ撃破、“黄金の血統”が頂点へ

2025.12.6

【©️ONE Championship】

12月6日、タイ・ルンピニースタジアムで開催された『ONE Fight Night 38』のメインイベント、バンタム級世界タイトルマッチで、挑戦者エンク・オルギル・バータルフー(モンゴル)が王者ファブリシオ・アンドラージ(ブラジル)を4R 1分33秒、リアネイキドチョークで沈め、新王者の座を掴んだ。

モンゴルからONEのベルトが誕生するのは、師であるジャダンバ・ナラントンガラグ以来、実に11年ぶり。偉大な系譜が再び輝きを放った瞬間だった。


 

■ 王者アンドラージの牙城を崩した執念のグラップリング

アンドラージはキック、ムエタイを渡り歩いた華麗なストライカーで、ONE参戦後は5連勝、2023年にはジョン・リネカーを下し王座を戴冠。爆発的な攻撃力とスピードで“一枚上”の存在と見られていた。

しかしこの夜、バータルフーはその攻防の隙を見逃さなかった。

序盤から果敢に距離を詰め、テイクダウン、ケージレスリング、肩固めやダースチョークなど多彩なグラップリングで王者を消耗させる。アンドラージの鋭いヒジやカーフキックで額を腫らす場面もあったが、バータルフーは決して後退しなかった。

3Rにはバックポジションの攻防で見事なスクランブルを披露し、トップを奪取。徐々に“勝負どころ”を支配していく。

 

■ 4R・終盤に遂に訪れた決定的瞬間

迎えた4R、疲労が頂点に達するなかで、バータルフーは勝負に出た。

押し込みからテイクダウンを奪うと、一気にバックへ。自軍コーナーで左足をかけ、完璧なリアネイキドチョークをセット。王者アンドラージは抗えず、即座にタップアウト。

観客席には大歓声が広がり、バータルフーは思わず崩れ落ちるように歓喜を噛み締めた。

 

■ 11年ぶりの偉業。師ナラントンガラグも笑顔の抱擁

勝利の直後、バータルフーが真っ先に向かったのは、師ジャダンバ・ナラントンガラグの元だった。

ナラントンガラグは2014年にONEで王座を戴冠したモンゴル格闘界の伝説。その師匠へ黄金のベルトを手渡す姿は、会場にいた誰もが胸を熱くした。

試合後インタビューでバータルフーは、感極まり座り込むほどの疲労をにじませながら、こう語った。

「信じられない。アンドラージは本当に素晴らしい相手だった。
今日という日に、師が11年前に世界チャンピオンになり、私も続くことができた。
この文化と仲間、モンゴルの人々に感謝したい。私たちは青空に祝福された民だ」

チャトリ会長からボーナス5万ドルのコールが入ると「ありがとう!」と立ち上がり、最後は弓矢を天に放つモンゴル戦士のポーズでリングを後にした。

 

■ バンタム級戦線に新たな嵐

バータルフーは2024〜2025年にかけて急成長を遂げたファイター。
肩固め、キムラ、判定勝利などスタイルの幅が広がり、今大会でついに才能が完全開花した。

新王者の誕生により、バンタム級戦線は再び混沌と激戦の時代へ突入したと言えるだろう。