美川憲一さん、パーキンソン病を公表(所属事務所発表)12月公演から活動再開へ

【©️オフィス・ミカワ】
歌手の美川憲一さん(79)が13日にパーキンソン病であることを
所属事務所オフィス・ミカワが発表した。
美川は昨年9月に「洞不全症候群」と診断され、
ペースメーカーの埋め込み手術を受けていた。
所属事務所は、公式インスタグラムを通じて経緯を報告。
「術後は順調に経過していたものの、リハビリ中に体の違和感を感じ、再度精密検査を受けた結果、パーキンソン病であることが判明した」と説明した。現在は筋力低下に対応するため、リハビリと筋力トレーニングを継続しているという。
今後の活動については、美川さん本人の意向を踏まえ、
12月14日からの公演より再開する予定。
所属事務所は「投薬治療とリハビリを続けながらの活動となるため、ご迷惑をおかけすることもあるが、ファンや関係者の皆様の理解をお願いしたい」と呼びかけている。
美川さんは1946年長野県諏訪市生まれ。
1964年に大映ニューフェイスに合格し、翌1965年にシングル「だけど だけど だけど」でデビュー。代表曲には「柳ケ瀬ブルース」「釧路の夜」「さそり座の女」などがある。
なお、公演スケジュールは以下の通り。
12月14日(日)名鉄トヨタホテル『美川憲一&コロッケ Christmas Dinner Show』
12月16日(火)長崎スタジアムシティ HAPPINESS ARENA『ザ・ゴールデンステージ』
パーキンソン病とは!?
国民的課題に—進行性神経疾患の現状と治療の最前線
パーキンソン病は、運動機能に影響を及ぼす進行性の神経疾患で、日本を含む世界中で高齢化に伴い患者数が増加している。1887年にイギリスの医師ジェームズ・パーキンソンによって初めて報告され、「震え病」とも呼ばれる本疾患は、
ドーパミンを分泌する神経細胞の減少が主な原因とされる。
▪️症状と日常生活への影響
パーキンソン病の代表的な症状には、手足の「振戦(ふるえ)」、動作の遅れ(「動作緩慢」)、筋肉のこわばり(「筋固縮」)、姿勢の不安定化などがある。進行に伴い、歩行困難や字を書くこと、箸の使用など日常動作にも支障をきたす。加えて、抑うつや睡眠障害、自律神経症状(便秘や低血圧など)も頻繁に併発することが知られており、患者の生活の質に深刻な影響を及ぼす。
▪️原因と発症メカニズム
発症の直接的な原因は、脳内の中脳黒質にあるドーパミン神経細胞の変性・消失である。ドーパミンは運動や感情の制御に不可欠な神経伝達物質であり、その減少により運動制御の異常が生じる。原因は未だ完全には解明されていないが、加齢、遺伝的要因、環境要因(農薬や重金属への暴露など)が関与するとされる。家族歴のある場合は発症リスクが高まることも報告されている。
診断と検査
診断は主に臨床症状の観察に基づくが、MRIやPETなどの画像検査、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャンなどで補助的に評価される。血液検査で確定診断ができるわけではなく、他の神経疾患との鑑別も重要である。
▪️治療と生活支援
現在のところ根治療法はなく、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することが治療の目的となる。代表的な薬物治療はレボドパ製剤で、ドーパミンを補充することで運動症状を改善する。また、ドーパミン作動薬やMAO-B阻害薬、COMT阻害薬なども併用される。進行期には、脳深部刺激療法(DBS)などの外科的治療も選択肢となる。
加えて、理学療法や作業療法、言語療法といったリハビリテーションが重要であり、栄養管理や運動習慣の維持も症状管理に寄与する。患者の社会参加を支える福祉制度の活用も欠かせない。
▪️社会的影響と今後の課題
日本では65歳以上の高齢者人口の増加に伴い、パーキンソン病の患者数は年々増加しており、医療・介護の負担が社会問題となっている。早期診断や適切な治療の普及、患者・家族への心理的サポート、さらには新規治療法の開発が急務である。
研究面では、幹細胞治療や遺伝子治療、疾患修飾薬の開発が進んでおり、
将来的には進行抑制や根治に近い治療法の確立も期待されている。
パーキンソン病は見た目には分かりにくい症状も多く、本人や家族の生活の質に大きく影響する疾患である。社会全体での理解と支援体制の充実が、患者の生活を守る鍵となる。
