MLBメッツ千賀滉大投手、まさかの“ピッチクロック違反”の珍事に苦悩の表情
▪️一塁手不在の珍事でカウント不利に・・・防御率は堅守
【©️New York Mets】
ニューヨーク・メッツの千賀滉大投手が、13日のパイレーツ戦に先発登板し、5回2/3を1失点に抑える粘投を見せた。しかし、六回のマウンドで思わぬ“落とし穴”が待っていた。
六回の開始直後、千賀が投球練習を終え、バッターとの対峙に入ろうとした瞬間、メッツの一塁手ピート・アロンソが守備位置に着いていないという予想外の事態が発生。これにより、審判団が協議に入り、千賀にはピッチクロック違反が宣告された。
■ピッチクロックとは?
2023年シーズンからMLBに導入されたピッチクロックは、試合のテンポを向上させ、平均試合時間の短縮を目的とした新制度。走者なしの場面では投手は15秒以内、走者がいる場合は20秒以内に投球を始めなければならない。打者もまた、残り8秒時点までに打席内で準備を整える必要がある。
これらのカウントは、守備陣が全員ポジションに着いていることが前提で進行するが、今回のように守備が整っていない場合でも、タイマーが作動してしまうケースがある。今回、アロンソの遅れが原因で、千賀は「投げる意思があるにも関わらず」時間切れを取られ、自責ではない形でボールカウントが加算される事態となった。
マウンド上の千賀は、審判に向かって両手を広げる“Why?”ポーズを見せ、困惑を隠せない様子。ベンチからも抗議の声が上がったが、判定は覆らず、この回は1ボールからの不利なカウントでスタートを強いられた。
その後、千賀は2死を奪うも連打で二・三塁のピンチを招き、ここで降板。元西武のリリーバー、ギャレットが登板したが、連続四球で痛恨の押し出しを献上し、千賀の5勝目は幻となった。
■それでも光った内容 防御率はリーグトップ維持
この日、千賀は初回から四回まで毎回走者を三塁に背負う苦しい展開ながらも粘りの投球を披露。5回を終えて被安打4、与四球1、奪三振7と試合を作り、防御率は1.22を維持しリーグトップの座を守った。
試合はメッツが2-1で逃げ切り勝利し、チームは3連勝。勝利投手こそ逃したものの、千賀の安定感は光った。
それにしても、今回のような“守備未整備によるピッチクロック違反”は、ルールの運用面に一石を投じる事例となりそうだ。選手の心理面や意思と関係なく、形式上の「タイムオーバー」で不利なカウントを強いられる制度には、
今後議論の余地もあるかもしれない。