WBC独占配信をめぐる法的解釈 読売新聞社が声明発表
米動画配信大手ネットフリックスが2026年3月に開幕する「第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」全試合の日本国内独占配信権を獲得したことを受け、
東京プール(東京ドームで2026年3月5日〜10日まで開催の試合)の
主催者である読売新聞社は26日、声明を発表した。
今回の契約形態をめぐっては、
放映権の法的解釈や権利付与のプロセスに新たな論点が浮上している。
▪️「直接付与」に転換
前回2023年大会では、主催者である「WBCI(WORLD BASEBALL CLASSIC INC.)」が読売新聞社を通じて国内テレビ局や配信事業者に権利を付与し、地上波での生中継が実現した。ところが今回は、WBCIが同社を介さず、ネットフリックスに直接権利を付与。東京プールを含む全試合の国内放送・配信権が一本化されることになった。
▪️権利の所在をめぐる法的課題
この「直接付与」は、主催者の裁量を認める一方で、主催地の共催者や関連メディアの権利関係をどう位置づけるのかという問題を提起する。日本の著作権法ではスポーツ競技そのものは著作物にあたらないとされるが、興行権や不正競争防止法との関係で映像利用に一定の法的保護が及ぶ。
今回のケースは、放映権を「契約上の営業権」と捉えるのか、「イベント主催者の独占的権利」とみなすのか、解釈の整理が求められる。
▪️地上波放送無しが意味するもの
読売新聞社は声明で「東京プールの主催者として多くの方々に楽しんでいただけるよう努める」と強調したが、王的な観点から判断材料にするに、地上波放送が消える可能性は高い。
テレビ局にはニュース目的での映像利用は認められるものの、従来のような全国中継は行われない見通しだ。
法曹関係者の間では「放映権を一括して海外プラットフォームに付与するやり方が、国内興行の共催者の利益をどう扱うのか、契約実務や独占禁止法の観点からも検討が必要」との指摘が出ている。
▪️国民的イベント・野球からベースボールへの行方
2023年の決勝・日本対米国戦は地上波で平均視聴率42.4%を記録し、国民的な盛り上がりを生んだ。
次回大会はネット配信に一本化されることで、視聴環境の格差や公共性との調和が改めて問われる。