ボクシング世界戦・惨敗から6日、佐々木尽選手が会見で胸中語る「今は絶望の中にいる」

2025.6.25

【佐々木尽選手・公式Xより画像】

WBO世界ウェルター級タイトル戦で衝撃の失神KO負けを喫した佐々木尽(八王子中屋)が、試合から6日後の6月25日、都内で報道陣の前に姿を現した。リングで大の字に倒れ、担架で運ばれるという壮絶な幕切れから一転、会見では落ち着いた口調で現状と今後への思いを語った。

 

佐々木は6月19日、WBO世界ウェルター級王者ブライアン・ノーマン(米国)に挑戦。試合開始40秒でダウンを喫し、その後も立て直せず、5ラウンドに無防備な状態で顔面に強打を受け、失神KO。病院に緊急搬送され、一時は約1か月半の記憶喪失に陥っていたと報告されていた。

▪️「何をしていたか分からなかった」極限の敗戦からの帰還

会見では「目が覚めたら病院で、何をしていたのか分からなかった」と振り返り、「1日くらいで記憶はだいぶ戻ってきた。今も少し脳に違和感はある」と冷静に語った。

開始直後の左フック被弾については「自分のミス。見えない角度からのカウンターを食らった。あれでプランが崩れた」と自己分析。

「熱くなってしまい、雑に攻めてしまった」と冷静さを欠いたことを悔いた。

▪️実力差を痛感「技術で完全に上を行かれた」

敗因について佐々木は、「技術の差が大きかった。パンチの乗せ方が全然違った」と認め、「スピードやパワーでは負けていなかったと思うが、細部の技術で圧倒された」と明かした。試合後のダメージも深く、「最後のダウンは全く覚えていない」と語る姿は、リアルな“敗者の声”そのものだった。

世界戦初挑戦にして、日本人として5人目のウェルター級挑戦者となった佐々木だったが、その壁はあまりに高く、36年ぶりの日本開催となった世界戦を白星で飾ることはできなかった。これまで同階級では日本人王者はおらず、今回もその歴史を塗り替えるには至らなかった。

それでも、23歳という年齢は再起を語るに十分な若さを残している。会見の最後には「今は絶望しているかもしれない。でも、ウェルター級チャンピオンになる姿を、必ず見せたい」と、前を向いた。今後については、所属ジム・八王子中屋の中屋一生会長が「まずはしっかり休ませたい。復帰の話はそれから」と話し、当面は静養に専念する方針だ。