【UFC317においてマネル・ケイプが無念の欠場へ
ケイプ▶︎代打ジョシュア・ヴァンがロイヴァル戦へ、
▪️運命を変える“連戦”の決断
2025年6月28日(日本時間29日)、UFCフライ級戦線に激震が走った。Tモバイル・アリーナで開催される『UFC 317: Topuria vs. Oliveira』で予定されていたブランドン・ロイヴァル vs. マネル・ケイプの一戦が、ケイプの右足骨折により突如キャンセル。代役には、3週間前に激闘を終えたばかりの23歳の新鋭、ジョシュア・ヴァンが緊急参戦することとなった。
▪️ケイプ、キャリア最大のチャンスを前に無念の骨折
6月10日、ケイプは自身のSNSで、トレーニング中に負った右足の負傷について報告。レントゲン画像と松葉杖姿の写真に加え、骨折の瞬間と思われるスパーリング映像も公開し、「これは私のキャリアで最も有利な試合になるはずだった」と胸中を明かした。
「戦いは延期されたに過ぎない」。そう語るケイプにとって、この欠場はUFCキャリアで11度目のキャンセル(対戦相手都合を含む)となる。いくたびも巡ってこなかった大舞台──その呪縛が、またしても彼の目の前で試合を閉ざした。
▪️代役ジョシュア・ヴァン──チャンスを掴む”狂気の選択”
代わって急浮上したのが、ミャンマー出身のジョシュア・ヴァン。今月7日の『UFC 316』でフライ級12位のブルーノ・シウバをTKOで下したばかり。通常なら休養に入るタイミングでの再出場は、無謀とも取れるが、ヴァンにとってはまたとない機会だった。
実際、ヴァンはこれまでにも“代役”としてキャリアの転機を迎えてきた。2025年3月の『UFC 313』では、欠場したシウバの代打として鶴屋怜と対戦し、キャリア初黒星を献上。この一戦で一躍その名を知られる存在となった。
今回の連戦にあたり、ヴァンはSNSで「この試合の後、母に家を買ってあげたい」と率直な心情を吐露。教育の機会も経済的な余裕もなかった彼にとって、UFCはまさに人生を変えた舞台だ。「欲しいもののほとんどを手に入れた。だからこそ、それを守り、さらに高めていく」。その覚悟が、短いインターバルを押しのけてロイヴァル戦への扉をこじ開けた。
▪️ロイヴァル「相手が誰であれ、戦うだけだ」
対するブランドン・ロイヴァルは、当初予定されたケイプとの一戦に勝利すれば、次期タイトル挑戦権を得ると見られていた。ケイプの負傷で計画は一変したが、ロイヴァルは「対戦相手が変わっても、やることは変わらない」と冷静に受け止めている。
「俺の名声を奪おうとするギャングスターがまた現れた」と、ヴァンを“最もエキサイティングな若手”と評しつつ、警戒も怠らない。「フライ級で最も刺激的な対戦になるだろう」。すでに心は次の闘いに向けて研ぎ澄まされている。
▪️タイトル戦線の行方は?
『UFC 317』のコーメインでは、王者アレッシャンドレ・パントージャとカイ・カラ・フランスによる世界フライ級タイトルマッチが控える。その中で行われるロイヴァル vs. ヴァン戦は、いわば“もう一つの挑戦者決定戦”とも言える位置づけだ。
もしもヴァンがロイヴァルを撃破すれば──それは単なる番狂わせではなく、UFCフライ級の勢力図が塗り替えられる歴史的瞬間となるだろう。