46歳パッキャオ選手、現役復帰でファイトマネーは再び8桁に?

2025.5.22

ラスベガスで世界戦へ――ファイトマネーは再び8桁に?

【©️team Pacquiao】

 

ボクシング界の“生ける伝説”、元8階級制覇王者のマニー・パッキャオ(46=フィリピン)が21日、自身のSNSで現役復帰を正式に発表した。対戦相手は現WBC世界ウェルター級王者マリオ・バリオス(アメリカ)。試合は7月19日にアメリカ・ラスベガスのMGMグランドで行われる予定だ。

 

「I’m back(戻ってきた)。歴史をつくろう」と投稿したパッキャオは、

2021年8月にヨルデニス・ウガス(キューバ)に判定で敗れて以来、

約4年ぶりのリング復帰となる。

引退後は母国フィリピンで政治家として活動し、大統領選にも出馬するなど異色のキャリアを歩んだが、再びボクサーとして世界の注目を浴びる。

 

▪️ファイトマネーの“レジェンド”、再びリングに

ボクシング界において、マニー・パッキャオはスポーツとビジネスの両面で伝説的存在だ。キャリアを通じて獲得したファイトマネーは累計で5億ドル(約780億円)を超えるとされる。中でも、2015年のフロイド・メイウェザーとの“世紀の一戦”では、1試合で推定1億5000万ドル(約230億円)を稼ぎ出したことで知られる。

今回の復帰戦でも、パッキャオのファイトマネーは最低でも1000万ドル(約15億円)以上と見込まれており、ラスベガスでの興行収入とPPV(ペイ・パー・ビュー)の売上次第ではさらに上積みされる可能性がある。

対するマリオ・バリオス(29勝18KO・2敗1分)は、2023年11月にアベル・ラモスと引き分けて王座を防衛したばかり。戦績ではパッキャオに及ばないが、勢いと若さでは優位とされる。バリオスにとっても、この一戦はキャリア最大のチャンスであり、ファイトマネーは300万ドル(約4.5億円)規模になるとの報道もある。

 

▪️タイトル戦への復帰、WBC特例ルールで実現

WBC(世界ボクシング評議会)のルールでは、元世界王者が現役復帰する際、ランキングを経ずにタイトル戦を要望できる「チャンピオン・エメレタス(Champion Emeritus)」制度がある。今回のマッチアップは、この特例を利用したものと見られている。

パッキャオの戦績は62勝(39KO)8敗2分け。ウガス戦を最後に実戦から離れていたが、本人は「ブランクは問題ない。トレーニングは常に続けていた」と意欲を見せる。復帰の背景には、母国の政治的立場を失ったことによる再起と、再び世界に自身の存在感を示したいという思いがあると見られている。

 

▪️ボクシング界と「ビッグファイト経済」

ボクシング界では、パッキャオやメイウェザーのようなビッグネームが出場する「メガファイト」は、ひとつの産業と化している。2015年のパッキャオvsメイウェザー戦では、PPV売上が445万件、総収益は6億ドルを超えた。

パッキャオの復帰は、老舗MGMグランドを舞台にした新たな“経済興行”とも言える。興行権やスポンサー、海外放映権などを含めた全体規模は、1億ドル規模になるとの試算もある。

フィリピンの国民的英雄としてだけでなく、世界のボクシング市場における象徴としても、再び注目が集まるマニー・パッキャオ。

その拳は再び、リングの上で歴史を刻む事が叶うのか!?

【文:高須基一朗】