NBA開幕から波乱続出『NBA on Prime』世界の解説陣が大胆予想 ダークホースはレブロン加入の76ersか
NBAの2026-27シーズンが開幕早々、大方の予想を覆す展開の連続となっている。前年王者ニューヨーク・ニックスが開幕戦でフィラデルフィア・76ersに敗れ、ボストン・セルティックスもデトロイト・ピストンズに逆転負け。各チームの戦力評価が注目されたオフシーズンを経て、実際のコート上では予想どおりに進まない試合が相次いでいる。
そんな新シーズンの勢力図を世界規模で分析したのが、AmazonのPrime Videoが展開する『NBA on Prime』のグローバル・プレゼンテーションだ。米ニューヨークで開催されたイベントには、各国の解説者や元NBA選手、スポーツジャーナリストが集結。レブロン・ジェームズ選手の76ers加入、ヤニス・アデトクンボ選手のマイアミ・ヒート移籍をはじめとする大型補強を踏まえ、東西の勢力図を大胆に予想した。
そして、実際にシーズンが始まると、レブロン選手を迎えた76ersが開幕3連勝を記録。前年王者を倒しただけでなく、キャバリアーズ戦では29点差を逆転するなど、開幕早々に強烈なインパクトを残した。世界の解説陣が描いたシナリオと、コート上で起きている現実。その両面から今季のNBAを読み解く。
■『NBA on Prime』が世界のNBAファンに発信する新シーズンの展望
今回のグローバル・プレゼンテーションは、NBAとPrime Videoによる11年間の大型パートナーシップの2年目となる2026-27シーズンを前に開催された。
配信初年度の2025-26シーズンには、世界220以上の国・地域で展開され、2億2700万台のデバイスからアクセスを記録。総視聴時間は130億分を超え、米国以外のNBA視聴者数も前年比28%増となったと報告されている。地域別では、アジア太平洋地域が29%増、中南米地域が80%増、欧州地域が129%増と、世界各地で視聴者が拡大した。
こうした国際的な広がりを背景に、今回のイベントでは各国の視聴者に向けてNBAの魅力をどう伝えるかという観点からも、シーズンの見どころが議論された。
パネルディスカッションには、ブラジルのアラーナ・アンブロシオが司会として登壇。中南米のジャーナリスト、アルバロ・マルティン、元NBA選手のグレイビス・バスケスとケビン・セラフィン、イタリアのトマソ・マリーノ、日本の佐々木クリスらが参加し、東西の優勝争いや新戦力の影響について意見を交わした。
単なる開幕前の順位予想ではない。世界各地でNBAを伝える解説陣が、選手の移籍やチームの戦術、世代交代まで含めて新シーズンを分析した点が、このイベントの見どころだった。
■レブロン加入の76ersが開幕3連勝、世界の解説陣の期待に応える
今回の議論で大きな注目を集めたのが、ロサンゼルス・レイカーズから76ersへ移籍したレブロン選手だ。
元NBA選手のバスケスは、レブロン選手が持つリーダーシップについて、チームだけでなく街全体にも大きな影響を与えると評価。76ersにはタイトルを争う準備ができているとの見方を示した。
また、マルティンはジョエル・エンビード選手の健康状態が重要な鍵になるとしながらも、レブロン選手の加入がチーム全体のモチベーションを高めると期待した。
こうした評価は、開幕後の試合によって早くも注目を集めることになった。
76ersは10月20日の開幕戦で、前年王者ニックスを106-100で撃破。レブロン選手は14得点、9リバウンド、7アシストを記録し、タイリース・マクシー選手が28得点を挙げた。さらにジェイレン・ブラウン選手も19得点、8リバウンド、6アシストと攻守に貢献し、新たな布陣が結果を残した。
続くキャバリアーズ戦では最大29点差を背負いながら、後半の猛反撃で114-106と逆転勝利。さらにバックス戦も127-116で制し、開幕3連勝を飾った。
もちろん、開幕直後の成績だけで優勝を断言することはできない。しかし、前年王者を倒し、大差を覆し、強豪にも勝利したことは、76ersが今季の東地区で存在感を発揮する可能性を示している。
レブロン選手の経験とゲームメーク能力に、マクシー選手の得点力、ブラウン選手の攻守の貢献、エンビード選手のインサイドでの存在感が加わる。各選手の役割がかみ合えば、76ersは開幕前の期待を上回るチームへ成長するかもしれない。
■ヤニス加入のヒート連覇を狙うニックスにとって最大の脅威か
東地区の勢力図を語るうえで、もう一つの大きな話題がヤニス・アデトクンボ選手のマイアミ・ヒート加入だ。
10年以上在籍したミルウォーキー・バックスを離れたヤニス選手について、バスケスはエリック・スポールストラヘッドコーチのもとで、ヒート独自の厳格なチーム文化が能力を引き出す可能性を指摘。クレイ・トンプソン選手らの加入も含め、前年王者ニックスにとって大きな脅威になると分析した。
一方、ニックスについては、連覇の難しさを指摘しながらも、泥臭い守備とチームの一体感を評価。イタリアのマリーノは、王座を守るためにハングリー精神を維持できるかが勝負の分かれ目になると語った。
ただ、実際の開幕戦ではニックスが76ersに敗れ、その後のマジック戦も落として開幕2連敗。新シーズンの出だしは、解説陣が想定した王者の姿とは異なるものとなった。
もっとも、長いレギュラーシーズンでは、開幕直後の連敗がそのまま優勝争いの結論になるわけではない。ニックスがどのように修正するのか、ヒートが新戦力を生かしてどこまで勝ち上がるのか。東地区は、スター選手の移籍による変化と、既存の強豪の巻き返しが交錯する構図となっている。
■西地区は「ウェンバンヤマ時代」へ、ウルブズとナゲッツも対抗勢力
『NBA on Prime』の解説陣は、西地区についても世代交代と戦力の多様化に注目した。
議論の中心に挙がったのは、サンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマ選手だ。次代のNBAを担う存在として期待が高まるなか、オクラホマシティ・サンダーを含む強豪との競争が焦点となる。
対抗勢力として名前が挙がったのが、ミネソタ・ティンバーウルブズとデンバー・ナゲッツだ。
マリーノは、アンソニー・エドワーズ選手にラメロ・ボール選手が加わったウルブズのバックコートに注目。ボール選手が勝利につながるプレーに集中できれば、西地区首位を争う潜在能力があると分析した。
ナゲッツについては、バスケスがニコラ・ヨキッチ選手とジャマール・マレー選手のコンビに加え、デマー・デローザン選手の獲得によって選手層が厚くなった点を評価した。
一方、ステフィン・カリー選手率いるゴールデンステイト・ウォリアーズが再び優勝できるかという問いには、パネリスト全員が否定的な見解を示したという。これは、特定のスター選手の実績だけでは優勝を予測しにくくなっていることを象徴する場面でもあった。
ただし、開幕後の試合では、事前の予想だけでは説明できない結果が次々と生まれている。
デトロイト・ピストンズはセルティックスに最大22点のリードを許しながら逆転勝利。ナゲッツもペリカンズとの試合で大きなビハインドを背負いながら、延長戦の末に141-135で勝利した。さらに、ロケッツは開幕3連勝と好スタートを切っている。
スターの顔ぶれや昨季までの実績だけでは、試合の行方を読み切れない。今季のNBAは、戦力評価に加えて、試合中の修正力や選手起用、チームとしての連係が勝敗を左右するシーズンになりそうだ。
■ダークホースはレブロンの76ersか、開幕序盤から広がる優勝争い
世界の解説陣が予想した東西の勢力図と、実際に始まったシーズンを重ね合わせると、最も興味深い存在の一つが76ersだ。
レブロン選手の加入は、単にスター選手が一人増えたという話ではない。試合の組み立てや若手の成長、勝負どころでの判断など、チーム全体に影響を及ぼす可能性がある。開幕3連勝という結果は、その期待を後押しする材料となった。
一方で、ヤニス選手を擁するヒート、連覇を目指すニックス、ウェンバンヤマ選手を中心に成長を目指すスパーズ、ヨキッチ選手のナゲッツ、そして好スタートを切ったロケッツなど、注目すべきチームは少なくない。
今季は、開幕前に優勝候補として名前が挙がったチームが、そのまま順調に勝ち続けるとは限らない。逆に、開幕時点ではダークホースと見られていたチームが、試合を重ねるごとに評価を高める展開も十分に考えられる。
『NBA on Prime』のグローバル・プレゼンテーションが示したのは、世界各国の解説陣がそれぞれの視点から新シーズンの可能性を探る面白さだった。そして開幕後の試合は、その予想を現実が簡単に超えていくNBAならではの魅力を改めて浮き彫りにしている。

