ムゼッティが約4年ぶりのツアー優勝 準決勝で4本のマッチポイントをしのぎ、フリッツ撃破「まるで夢のようだ」
男子テニスのロレンツォ・ムゼッティ選手(イタリア)が10月25日、フランス・リヨンで開催されたATP250シリーズ「オーベルニュ=ローヌ=アルプ・グランプリ」のシングルス決勝で、テイラー・フリッツ選手(アメリカ)を6-3、6-4で破り、
約4年ぶりとなるツアー優勝を果たした。
今季は負傷に苦しみ、思うように試合へ出場できない時期もあったムゼッティ選手。準決勝では4本のマッチポイントをしのぐ粘り強さを見せ、決勝でも世界ランキング上位のフリッツ選手を圧倒。苦しいシーズンを過ごしてきた24歳が、復活を印象づけるタイトルを手にした。
▪️準決勝で4度の窮地を乗り越え 決勝ではフリッツを圧倒
第6シードで世界ランキング26位のムゼッティ選手は、決勝で第2シード、同14位のフリッツ選手と対戦した。
試合は序盤からムゼッティ選手が鋭いショットで主導権を握り、第1セットを6-3で先取。第2セットでも集中力を維持し、相手に流れを渡すことなく6-4で勝利した。試合時間は1時間21分だった。
決勝までの道のりも決して平坦ではなかった。準々決勝ではフランスのルカ・バン・アッシュ選手とのフルセットの接戦を制し、準決勝では同じイタリアのフラビオ・コボッリ選手を撃破。この試合では4本のマッチポイントをしのぎ、土壇場から決勝進出をつかみ取った。
一度は敗退の危機に追い込まれながらも、最後まで勝利を諦めなかったムゼッティ選手。その粘りが、約4年ぶりのタイトルへとつながった。
▪️全豪オープンではジョコビッチ戦で負傷棄権
ムゼッティ選手は2022年7月のハンブルク・オープンでツアー初優勝を飾り、同年10月のテニス・ナポリ・カップでもタイトルを獲得した。しかし、その後は決勝で7連敗を喫するなど、あと一歩のところで優勝を逃す試合が続いていた。
さらに今季は、1月の全豪オープンで準々決勝に進出したものの、ノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)との対戦で右足を負傷。2セットを先取しながら途中棄権を余儀なくされた。
その後もケガの影響で複数の大会を欠場。実力を発揮する機会を十分に得られない苦しいシーズンとなっていた。
それでもリヨンでは、接戦を勝ち抜く精神力と持ち味の攻撃的なテニスを発揮。身体の痛みを抱えながらも決勝まで戦い抜き、再びツアー優勝の喜びを味わった。
▪️「ジェットコースターのような1週間だった」
試合後のオンコートインタビューで、ムゼッティ選手は今大会を振り返り、率直な思いを明かした。
「今週の出来事を考えると、全く予想していなかった結果だ。本当にジェットコースターのような1週間だった」
準決勝での窮地から決勝での快勝まで、劇的な展開が続いた1週間。身体の状態も万全ではなかったという。
「準決勝で4本のマッチポイントをしのぎ、決勝では素晴らしい試合ができた。コートに入る前は身体中に痛みがあったけど、試合が始まると集中できて、自分でも最高のテニスができたと思う」
勝利を引き寄せた要因として、最後まで戦い抜く精神力を挙げたムゼッティ選手。コンディションの回復を支えたチームや医療スタッフへの感謝も示しながら、喜びをかみしめた。
「今大会では最後まで戦い抜くメンタリティが鍵だった。素晴らしい姿勢で臨めたと思う」
そして、最後には「今日も精神的にリラックスできていて、プレーもスムーズだった。まるで夢のようだ」と語った。
▪️敗れたフリッツも勝者を称賛
一方、フリッツ選手にとっては惜しい敗戦となった。8月のムバダラDCオープンに続く今季2勝目を狙い、準決勝ではトミー・ポール選手(アメリカ)を破るなど、決勝まで1セットも落とさずに勝ち上がっていた。
しかし、決勝ではムゼッティ選手の攻撃に苦しみ、アンフォーストエラーは計28本。最後まで本来のリズムをつかめず、ストレートで敗れた。
それでも表彰式では、勝者への敬意を隠さなかった。
「ロレンツォ、優勝おめでとう。本当に素晴らしい試合だった。今日は君が強すぎたし、この勝利に本当にふさわしいと思う」
大会後の世界ランキングでは、ムゼッティ選手は26位から24位へ浮上する見込みだ。
ケガによる離脱と復帰への苦闘を経て、再び頂点に立ったムゼッティ選手。今回の優勝は、タイトル獲得という結果だけでなく、苦しい状況でも勝ち切る力を取り戻したことを示す大会となった。

