RWS = 中村寛選手と王者ベクレフが約30分の激論 KO宣言から「病院でビール」まで飛び出す異例の舌戦
ラジャダムナンスタジアムのベルトを懸けた一戦を前に、
会見場が早くも“戦場”と化した。
10月10日にタイ・ラジャダムナンスタジアムで開催される「RWS KNOCKTOBERFEST」。同大会でラジャダムナンスタジアム認定ライト級タイトルマッチ5Rを戦う王者イゴール・ベクレフ選手(ロシア)と挑戦者・中村寛選手(BK GYM)が、6日の記者会見で激しく火花を散らした。
4つのタイトルマッチが組まれる中でも、ひときわ異彩を放ったのが両者のやり取りだ。会見は異例ともいえる約30分に及び、互いにKO勝利を予告するだけでなく、戦い方や実力、王者としての価値を巡って一歩も譲らない応酬が繰り広げられた。
先に口火を切ったのはベクレフ選手だった。
前戦をわずか35秒で終わらせた王者は、今回も早期決着を見据え、
「前回は35秒で終わった。今回もできるだけ早く終わらせたい」
とKOへの自信を示した。
対する中村選手も譲らない。
ラジャダムナンスタジアムというムエタイの聖地で行われるタイトルマッチに向け、自らも早期決着を宣言。さらに会見場を沸かせたのが、スポンサーに絡めた“要求”だった。
「KOしたらレオ・ビアを1年分もらえないか」
タイのビールブランド「LEO BEER」を引き合いに出し、KO勝利の“ご褒美”を要求した中村選手。これにベクレフ選手が即座に反応した。
「試合後にビールを飲む場所は、病院のベッドになるだろう」
強烈な挑発だった。
しかし、中村選手は動じない。
「それは自分のことを言っているのか?」
と笑いを交えて切り返すと、「自分は絶対に諦めない」と強気の姿勢を崩さなかった。
▪️ロシアのクズバス出身の王者と中村選手がファイトスタイルを巡って応酬
両者の言葉は、やがて互いのファイトスタイルを巡る攻防へと移っていく。
ベクレフ選手は、自身がロシア・クズバス地方の出身であることに言及。クズバスは炭鉱業を中心とする工業地帯として知られる地域で、厳しい環境化で育った事が屈強である強さとアピールした。
真正面から打ち合う覚悟を示し、中村選手に対しても「逃げずに向かってこい」とばかりに真っ向勝負を迫った。
これに対し、中村選手はベクレフ選手の戦い方を独自の視点で分析。
ロシアンスタイルについて「前に出て攻撃を続ける単調なスタイル」と評し、クズバスで培われたファイトスタイルについても「ワンパンチで仕留めるタイプ」と表現した。
さらに人気漫画『ONE PIECE』のキャラクターまで引き合いに出し、中村選手ならではの言葉選びで王者を刺激する。
ベクレフ選手が「ムエタイではすべての武器を使う」と応じれば、中村選手も「強いものは強い。ルールは関係ない」と返答。会見とは思えないほど、両者の言葉は次第に激しさを増していった。
中村選手はさらにベクレフ選手の戦い方について、
「一歩も下がらないと言っているが、映像を見るといつも下がっている。
一歩も退かないならバカだ。まあ、自分もバカだから、バカ対バカの試合だ」
と笑いを誘いながら挑発した。
さらに「自分と話せることは有名になるチャンス」とまで言い放ち、
王者との舌戦そのものを楽しむ余裕を見せた。
もっとも、ベクレフ選手も一歩も引かない。
「お前がこれまで戦った中で、俺が最も強いファイターだ」
と、自身の実力に絶対的な自信を示した。
▪️「日本チャンピオン」と「RWS世界王者」ベルトの価値を巡っても火花
両者の対立は、ファイトスタイルだけにとどまらなかった。
ベクレフ選手は自身がRWSの世界王者であることを強調し、中村選手との実績の違いを主張した。
「お前は日本のチャンピオンかもしれない。でも俺はRWSの世界王者だ」
と、王者として積み上げてきた実績を前面に押し出す。
これに中村選手は、目の前に置かれたベルトを手に取りながら反論。自身も世界王座を懸けた戦いに向けて強い自負を示し、「本当の強さが何なのかを土曜日に分からせる」と言い切った。
さらにベクレフ選手について、
「思っていたより頭が悪いことに少し失望した」
とまで発言。
「自分の方が上だ」という両者の主張は、会見の終盤まで交わることがなかった。
▪️最後は中村選手が「トイレに行っていい?」 王者も苦笑
約30分に及んだ激しい応酬だったが、最後まで中村選手らしさは失われなかった。
ベクレフ選手との舌戦が続く中、突然、
「水を飲みすぎてトイレに行きたくなった。行っていい?」
と発言。
そのまま席を立つという異例の展開に、会見場からは笑いが起こった。
中村選手が姿を消した後、ベクレフ選手も「本当にトイレに行きたかったんだな」と苦笑。本人がいないところでの発言は控えるという趣旨の言葉を残し、長時間に及んだ舌戦は、ここで幕を閉じた。
拳を交えるのは10月10日。
会見では、互いにKO決着を予告し、相手の実力や戦術、さらには王者としての価値まで否定し合った両者。リング上では、言葉の応酬がどのような攻防へと姿を変えるのか。
約30分にわたって激しい火花を散らした中村選手とベクレフ選手。
ラジャダムナンスタジアムのベルトを懸けた一戦は、試合開始前からすでに熱戦の様相を呈している。
【文:高須基一朗 瞬刊モッツ 編集部】


