アンソニー・エドワーズが歓迎するラメロ・ボール加入「僕がボールを運ぶ必要はない」 ウルブズ新司令塔との共存に自信
NBAのミネソタ・ティンバーウルブズが、新たなシーズンに向けて大きくチームの形を変えようとしている。
その中心にいるのがアンソニー・エドワーズだ。そして今季、エドワーズとともに攻撃を組み立てる役割を担うのが、ラメロ・ボール。これまでプレーメークまで背負ってきたエドワーズにとって、純粋なポイントガードの加入は自身の負担を軽減するだけでなく、プレーの幅を広げる大きな転機になりそうだ。
▪️エドワーズが歓迎する「本職ポイントガード」
ウルブズはオフシーズンにベテラン勢を整理し、エドワーズを軸とした若いチームへとシフトした。
その中で大きな意味を持つのがラメロの加入だ。
ここ数年のエドワーズは、得点だけでなくボール運びやゲームメークまで担う場面が増えていた。しかし、本人は必ずしも自分をポイントガードタイプだとは考えていない。
「僕は生粋のシューティングガード。ずっとコーチからパスを出すように言われてきたけど、自分にポイントガードの素質があるとは思っていなかった」
だからこそ、ラメロの加入を素直に歓迎する。
「ラメロが来てくれて最高にうれしいよ」
この言葉には、スター同士のポジション争いとは正反対の考え方が表れている。
▪️「僕がボールを運ぶ必要は全くない」
エドワーズにとってラメロの存在は、単純に得点力のある選手が1人増えるという話ではない。
ボールを託せる司令塔がいることで、自身がより得意とする仕事に集中できるからだ。
これまでエドワーズは、攻撃を組み立てながら得点も狙い、さらに守備では相手のエースを追うという負荷の高い役割を担ってきた。
「最近はボールを運んでプレーメークをして、得点を狙うことも多かった。そうするとディフェンスに使うべき体力まで削られていた」
そこでラメロがボールを預かれば、エドワーズはより自由になる。
「ラメロという真のポイントガードがいれば、僕がボールを運ぶ必要は全くない」
その結果として期待されるのが、エドワーズの守備力とトランジション能力のさらなる向上だ。
▪️「コーナーで待って相手のエースを守る」
エドワーズは、ラメロが攻撃を組み立てる間、自分がオフボールで待機する場面も歓迎している。
何ポゼッションか連続してコーナーに立ち、無駄な消耗を避ける。
そして、守備では相手の最も危険な選手を担当する。
これまで以上に攻守の役割を明確にすることで、エドワーズ自身のパフォーマンスも変化する可能性がある。
「今シーズンは僕自身のパフォーマンスの評価基準が大きく変わる年になる」
得点数だけでエドワーズの価値を測る必要がなくなるということだ。
▪️ラメロの守備力をどう補うか
一方で、ラメロには守備面での課題も残る。
ウルブズはフィジカルなディフェンスを武器としてきたチームだけに、攻撃型のポイントガードであるラメロが守備面でどこまで適応できるかは重要なポイントになる。
ただ、エドワーズはそこにも大きな不安を感じていない。
「1対1の守備が強いウイングが僕、ジェイデン(マクダニエルズ)、JK(ジョナサン・クミンガ)の3人いる」
さらにベンチにも守備を得意とする選手がいる。
エドワーズが注目しているのは、ラメロが常に1対1で相手を止めることではない。
「ラメロだってオフボールのディフェンスは上手い」
周囲の選手が守備の負担を分担することで、チーム全体としてラメロを生かす構想が見えてくる。
▪️膝の状態も回復「今は万全」
エドワーズ自身にとって、今季はコンディション面でも重要なシーズンとなる。
昨季は膝の痛みを抱えながらプレーを続け、出場は61試合。キャリア6年で最も少ない数字となった。
プレーオフでも膝の問題を抱えた状態で戦い続けた。
シーズン終了後には約2カ月間の休養を取り、その後はトレーナー陣と治療、リハビリに取り組んだという。
「今は万全のコンディションだ」
自身の健康状態に手応えを感じているからこそ、新シーズンへの期待も大きい。
若い選手が多く、運動量を生かして走ることを目指すウルブズ。
エドワーズは自身をユーモアたっぷりに「チームのおじいさん」と表現した。
ジェイデン・マクダニエルズやクミンガらが速攻で先頭を走り、レイアップやトランジションスリーを狙う。
その後ろからエドワーズが追いかけ、攻撃に加わる――。
もちろん、実際にはエドワーズが「おじいさん」になるとは考えにくい。
むしろラメロによって攻撃時の負担が軽くなれば、エドワーズは守備から一気に速攻へ移る場面で、さらに破壊力を増す可能性がある。
▪️エドワーズが求めるのは個人タイトル「MVP」よりチームの勝利
マクダニエルズは今季のエドワーズに対して、MVP獲得を期待している。
「もう7年目だから、本気でMVPを取ってほしい」
しかし、当のエドワーズは個人タイトルへの執着を見せない。
「個人としては目標も期待もないよ」
エドワーズが求めているのは、あくまで勝利だ。
そして、もしマクダニエルズが自分にMVPを求めるのであれば、自分はマクダニエルズにオールスターを要求する。
「僕はどんな形であれ勝ちたいだけ。ジェイデンが僕にMVPを求めるなら、僕は彼にオールスターになることを求めるよ。それだけの実力がある選手だからね」
エドワーズとラメロ。
得点力に優れたエースと、ゲームを操るポイントガードという組み合わせは、役割が重なるようにも見える。
しかし、エドワーズ本人はむしろ逆だと考えている。
ラメロがボールを支配することで、自分は守備とトランジション、そして勝負どころでの得点に集中できる。
ウルブズが狙うのは、スター同士がボールを奪い合うチームではない。
それぞれの長所を最大化しながら、若さと運動能力を前面に押し出すバスケットボールだ。
ラメロの加入によって、エドワーズがどこまで「エースとしての仕事」に集中できるのか。
そして、その変化がウルブズを年明けプレイオフ優勝戦線へどこまで押し上げるか。


